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神眼の支配者 ~ハズレスキル【鑑定】が覚醒したので、俺を見捨てたSランク(予定)パーティを底辺から置き去りにします~  作者: イヌの名前はあとむ


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第29話:不滅の忠誠、ふたたび

「私は……一体、何を……」

地を揺るがすほどの質量を誇っていたガウェインの巨躯から、禍々しい赤黒いオーラが完全に霧散していった。代わりに立ち上ったのは、静謐でどこか厳かな、黒銀の清らかな魔力だった。

カシャリ、と重厚な音を立てて漆黒の兜のバイザーが跳ね上がる。そこから現れたのは、深い皺と幾多の戦場を潜り抜けてきた男の渋みを湛えた、一人の老戦士の顔だった。その瞳からは、先ほどまでの狂気は完全に消え失せ、澄んだ知性の光が灯っている。

ガウェインは自らの大きな黒い手甲を見つめ、それからゆっくりと視線を上げ、目の前に立つ青年の姿を捉えた。

少年の瞳は、この世界の誰とも違う、妖しくも美しい黄金の輝き──【神眼の支配者】の光を放っている。世界を構築する『システムコード』そのものを掌握する、絶対的な支配者の輝き。

「貴殿が……私の、千年に及ぶ永い呪縛を解き明かしてくれたのか。神の加護を持たず、自らの力だけで世界のルールを書き換える者よ……」

ガウェインの声音には、深い驚愕と、それ以上の深い敬意が込められていた。

彼はゆっくりと立ち上がると、愛用である身の丈を超える黒銀の大剣を、儀式場の硬い石床へと深く突き立てた。そして、ガシャリと重い金属音を響かせながら、レイの前に深く、深く片膝を突いて頭を垂れた。

「我が名はガウェイン。千年前の守護騎士長にして、理不尽なる魔王の呪いに魂を売った愚者なり。……加護なき偉大なる主よ。これより我が不滅の肉体と剣、すべてを貴方の『逆襲の盾』として捧げよう」

【鑑定対象:ガウェイン(不滅の黒騎士)】

状態:完全復元(呪縛解除に伴う初期化およびレイの魔力への最適化完了)

固有スキル:『不滅の盾壁(ランクA)』『呪霧無効』

忠誠度:最大(システム上、決して裏切らない絶対の騎士)

『条件達成:神話級遺物の救済および因果の改ざん。レイのレベルが大幅に上昇します。Lv 28 → Lv 32』

レイの脳内に、世界システムからのアナウンスが静かに響く。しかし、レイにとってレベルの数字など、副次的なものに過ぎなかった。

「はじめまして、ガウェインさん。……辛い呪いから解放されて、本当によかった」

レイはしゃがみ込み、ガウェインの硬い手甲に、自らの白い手をそっと優しく重ねた。

「ガウェインさんのその立派な剣と盾、僕たちのために貸してくれるなら、とても心強いな。これから一緒に歩いてくれるかい?」

「御意に、我が主。この命が尽き、魂が霧散するその瞬間まで、私は貴殿の影となり、盾となりましょう」

ガウェインが力強く応じる。その横で、アルテがフッと表情を和らげ、ブリュンヒルデが嬉しそうに黄金の雷を微かに爆発させた。

「やるな、レイ! これで俺たちの前衛は完全に無敵じゃねえか!」

トールが自分の『竜殺しの戦鎚斧』を肩に担ぎ直し、豪快に笑う。

「うん、そうだね。これでみんなを守る壁が、もっと頑丈になった。……さあ、島のお掃除も終わったことだし、ゼノスの街へ帰ろうか。オズワルドさんが心配して待ってくれているからね」

レイは優しく仲間たちの顔を見渡すと、呪いの消え去った、澄み渡る孤島の空を見上げて微笑んだ。


神のシステムから弾かれ、世界に見捨てられた者たちが、レイの元へ次々と集結していく。それはやがて、世界の全てを震撼させる、最強の軍勢パーティへと変貌していくのだった。

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