第17話:機神の性能鑑定
王都の安宿の一室。
純白の装甲と銀の髪をなびかせ、ベッドの上に佇む美しき機械人形──アルテ。
そのあまりに現実離れした光景に、相棒のトールは開いた口が塞がらない様子だった。
「れ、レイ……。お前、さっきのガラクタから、一体何を作り出しちまったんだよ……?」
「作り出したんじゃない。本来の姿に『戻した』だけさ」
レイはアルテを見つめ、自身の【神眼の支配者】の意識を集中させた。甦った伝説の遺物のステータスが、金色の光とともに脳内へと流れ込んでくる。
【アルテ(機神の巫女)】
状態:完全復元(動力源:極光の聖魔石)
HP:5500 / 5500
MP:2400 / 2400
筋力:420
耐久:480
敏捷:510
【固有スキル】
・『絶対障壁(ランクB)』:あらゆる魔法・物理攻撃を遮断する光の盾を展開。
・『魔力収束砲(ランクB)』:体内の魔力を高密度に圧縮し、ビームとして放つ。
【マスター(レイ)への恩恵】
・『機神の加護』:レイの【神眼】の演算速度が2倍になる。
(強い……。レベル25の俺を遥かに凌駕するステータスだ。特に敏捷510は、王都のAランク冒険者でも追いつけないぞ)
しかも、動力源として組み込んだ『極光の聖魔石』のおかげで、現代の魔力環境にも完全に適応している。
「アルテ、今の体調──いや、機能に問題はないか?」
レイが問いかけると、アルテは無表情ながらも、どこか愛らしく小首を傾げた。
「肯定。マスターの『神眼』による復元プロセスは完璧です。エネルギー充填率100%。いつでも戦闘行動に移行可能です。……なお、現在のマスターの装備について、提案があります」
アルテの視線が、レイの背負う黒大剣へと向けられた。
ドワーフのバルカンから譲り受け、一時的に『対構造切断刃』へと覚醒した、あの錆びついた大剣だ。
「マスターの帯剣──【神殺しの未完成刃】。その内部構造に、千年前の我が同胞である『機神兵』の骨格パーツが使用されていることを検知しました。私が持つ古代の記述をマスターの眼と同期させることで、その剣を『第二段階』へと半永久的に解放することが可能です」
「何だって……?」
レイは目を見張った。あの黒大剣もまた、千年前の神話の残滓だったのだ。
普通の鑑定士では一生気づけない歴史の繋がり。しかし、神話の遺物であるアルテと、それを読み解くレイの神眼が合わされば、ゴミの山から最強の武装が次々と生まれ変わることになる。
「面白い。アルテ、さっそくやってくれ」
「了解。マスター、『神眼』のリンクを要請します」
アルテがレイの手をそっと握る。冷たいはずの機械の手から、驚くほど温かで、膨大な「古代の設計図」の情報がレイの脳内へ流れ込んできた。
(見える……! この黒大剣の本当の叩き方、魔力の通し方が……!)
レイは神眼の力を大剣へと注ぎ込んだ。
ジジジ、と黒い錆が火花となって散り、大剣の刃が美しい「漆黒の鏡面」へと変貌していく。重量はそのままに、より鋭く、より強固に──神の記述が書き換えられたのだ。
構造変更完了:【黒耀の神殺し刃(ランクB装備)】
特性:魔力吸収効率が3倍に上昇。常時、攻撃力+150。
「おいおい……宿の部屋で伝説の武器と美少女が同時に生まれるなんて、どこの神話だよ……」
トールが頭を抱えて苦笑する。
「よし」とレイは新調された黒大剣を背負い直した。
「戦力は整った。トール、アルテ。……そろそろ、ギルドから回ってきた次の『大型依頼』に行こうか」
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