第13話:仕掛け(ギミック)の書き換え
「化け物め……!」
術師は恐怖に顔を歪め、村の裏手にある森の奥へと脱兎のごとく逃げ出した。
「追うぞ、トール」
レイは驚異的な脚力でその後を追う。術師が逃げ込んだのは、森の奥にひっそりと佇む、古代の『未発見の小規模ダンジョン』の入り口だった。
「レイ、待て! 未知のダンジョンに入るのは危険だ! 凶悪な罠が仕掛けられているかもしれない!」
トールが制止するが、レイは迷わず足を踏み入れた。
「トール、俺の眼を忘れたのか?」
洞窟に一歩足を踏み入れた瞬間、レイの視界に、ダンジョンに仕掛けられた無数の罠が、透過した設計図のように浮かび上がる。
床を踏めば壁から矢が飛び出す仕掛け。
触れれば爆発する魔法のルーン。
通常の冒険者なら、盗賊スキルを使って慎重に解除していくところだが、レイは歩みを止めない。
「トール、俺の3歩後ろを歩け。……よし、この床のルミナス・ルーン(爆発の罠)だが」
レイは歩きながら、床に刻まれた魔法陣を【神眼】で凝視した。
【爆発の魔法陣】
・構造:【踏む】→【起爆】の順序で構築されている。
↓
改ざん:【術師が通る】→【起爆】にパーツを組み替える。
レイの瞳が金色に明滅する。彼は罠を解除するのではなく、罠の「動作条件」をパズルのようにカチリと組み替えたのだ。
数秒後、レイたちの遥か前方、暗闇の奥から「ギギャァァッ!?」という術師の悲鳴と、凄まじい爆発音が響き渡った。
「自分で仕掛けた罠に引っかかったみたいだな。行くぞ」
「お、おう……。お前、もう罠師も廃業させる気か?」
トールは引きつった笑みを浮かべながら、レイの後を追いかけた。
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