第10話:蠢く陰謀と、新たなる依頼
レイが最強の武器を手に入れ、王都の安宿で休息をとっていた頃。
王都の高級住宅街にある、地方貴族『バルト家』の屋敷の一室。
「……申し訳ありません、伯爵。ガイ様が、冒険者ライセンスを永久剥奪されました」
闇に紛れた密偵の報告に、豪華な椅子に座る初老の男──ガイの父親であるバルト家当主が、持っていたワイングラスを握り潰した。
パリン、と赤い液体が絨毯に広がる。
「馬鹿な……! 我がバルト家の次男であり、将来はSランクも確実と言われた天才のガイが……資格剥奪だと!? 原因は何だ!」
「『レイ』という、Fランクから急浮上したCランク冒険者の告発によるものです。そのレイは、第5層の階層主をソロで討伐したとの噂も……」
バルト伯爵の目が、憎悪に燃え上がった。
「Fランクのゴミ虫風情が、我がバルト家の顔に泥を塗りおったか……! 階層主のソロ討伐など、何かしらの不正を働いたに決まっている。おい、裏のギルド(闇ギルド)に連絡しろ。あの生意気なガキの首を持ってこさせろ。ついでに、その『眼』の秘密も暴いてやる」
「御意」
密偵の影が、静かに消え去った。
◇
翌朝。
レイは新調した黒大剣を背負い、ギルドへと赴いた。
Cランクに上がったことで、受けられる依頼の掲示板が変わり、報酬の桁も上がっている。
「レイ君、ちょうどいいところに!」
受付嬢のミーシャが、血相を変えて駆け寄ってきた。
「どうしたんですか?」
「緊急の指名依頼が入ったの。王都近郊の村が、大量の魔物に襲撃されているわ。それも、ただの群れじゃない。誰かが意図的に魔物を操っている形跡があるの。現在、王都にいるCランク以上の冒険者に、一斉に強制招集がかかっているわ」
レイは掲示板の依頼書を見つめた。
【緊急クエスト:ルミナ村の防衛および、魔物暴走の首謀者討伐】
報酬:金貨100枚。
(魔物を操る首謀者……か。面白そうだ)
「受けます。今すぐ向かいましょう」
レイが不敵に笑う。
彼が向かう戦場には、バルト伯爵が放った闇ギルドの暗殺者たち、そして、想像を超える「世界の悪意」が待ち受けていた。
しかし、今のレイにとっては、それすらも自らのレベルを上げるための「経験値」に過ぎないのだった。
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