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さよならの後で  作者: 月城キナ


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9/12

009:異常

 外では朝の喧騒が聞こえている中で、逆に静まり返った室内。そこで俺の意識が脳波計のカタカタカタと規則的に動いている音を拾った。視線を向ける。やはり脳波計が動いている。俺はエマからゆっくりと手を離して脳波計に歩み寄る。


 なぜ動いているんだ?


「故障か?」


 いや。それなら規則正しく計測なんて、し続けるとは思えない。


 脳は活発に、または正常に動いている?


 エマの肉体に視線を向ける。


「生きている?」


 いや。でも……エマは動かない。呼吸もしていないように見える。


 だが、脳波計だけはしっかりと動いている。


「死んでない?」


 分からない。だが……エマはまだそこに居る?


「エマ?」


 呼びかけてみるが返事はない。エマの固くなった手に触れてみる。やはり冷たい。


「エマ……」


 やはり返事がない。


「何が……起きているんだ?」


 その後も脳波計は止まることなく動いている。エマの肉体は動かないし呼吸が止まっているのにも関わらずだ。何故だ?


 考えても答えの出ない疑問。


 そこにゴーレムはいつも通り、何事もなかったかのように朝食を運んできたが、食欲がないので片付けさせる。


 エマの肉体は俺に抱きしめられていた状態のままで固まっているから体勢が不安定だ。もうどうすることも出来ない。いちおう倒れないように布団や枕で固定する。


「エマ」


 返事は当然ない。


「ふぅ……ちょっと、疲れたな」


 肩や首をグリグリと回して今後どうするかを考えていたが、思考は上手く回らない。


 しょうがないのでエマの隣で、少し寝ることにした。


「おやすみ。エマ……愛しているよ」


 エマの冷たくなった手を握ると、そこにエマはまだ居るような気がした。規則的に刻まれる脳波計の音が、やけに近くで鳴っているような気がした。

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