003:デートをしようか
どうやらそのまま翌日の朝まで寝ていたようだ。エマは既に起きてゴーレムと一緒に家事をしているようで、階下から生活音が聞こえる。ベッドを抜け出してカーテンを開けると綺麗な青空が広がっていた。結晶化した木も光を反射して綺麗だ。
「おっ。久しぶりの晴れ間か」
エマの機嫌も直りそうだな。今日の予定を考える。一瞬。研究室に戻るかとも思ったが、さすがにそれをしたらエマに愛想を尽かされてしまうだろう。ここで時間を作らないと、また後回しにしてしまうかも知れない。
「せっかくの天気だしエマとデートに行くか!」
うん。それがいい。外出用の服に着替えて階下へと降りるとエマが迎えてくれた。
「あら。ロイ。おはよう。今日は綺麗な青空よ。って出掛けるの?」
「あぁ。久しぶりに太陽を見た気がしたからね。それでなんだが……よかったら一緒に出掛けないか?」
「あら、久しぶりね。一緒に出掛けるのは。どれくらいぶりかなぁ」
ちょっと意地悪な質問をされてしまった。ここは素直に謝る。
「すまない……えぇっと。半年ぶりぐらい……か?」
「もう! 1年と3ヶ月ぶりよ!」
「お、おう」
「そういえば結婚記念日もすっぽかされたしねぇ」
視線が泳ぐ。そう言えばそういう記念日もあったなぁみたいな。
「その様子だと頭に思い浮かぶことすらなかったようね」
「……ひ、一言あれば、きっと思い出したさ」
「もう! それじゃダメでしょ!」
「……すまない」
全面的に俺が悪いので謝ることしか出来ない。家庭用のゴーレムがエマの怒りを感知してオロオロしているのが分かる。ちょっとマジ怒りのようだ。ここは話題を変えよう。
「それで、その……今日デートに、行かないかなぁって……」
白い目とムスッとした表情。だが、そこがちょっと可愛いと思ってしまったので素直に口に出してみた。
「お、怒った顔が可愛いと思った俺は異端かな?」
するとエマ。一瞬キョトンとした表情をした後で、盛大に笑い出した。
「あっはっは。ちょ、怒っている妻の顔を見て可愛いって……」
また何時ものプリプリした怒り方に変わった。どうやらさっきまでの怒りは解けたようだ。
「あぁ、すまん。でも、なぁ?」
「なぁって聞かれても」
そう言って溜め息を吐かれた。
「もう! しょうがないから許して上げる」
うん。俺の奥さんはやっぱり可愛い。
「ありがとう」
「どういたしまして」
そう言って、2階へ上がっていくエマ。
「着替えてくる」
「あぁ。朝食も外で摂ろう」
「えぇ、そうね」
準備にしばらく掛かるだろうからゴーレムを軽く整備でもしようか。
「ん?」
ゴーレムに細かな結晶片が付着している。外で結晶の掃除でもしていたのだろうか。




