表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうしようない毎日だけど、転生しないで生きてみます。  作者: 山河國破


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/36

第二十九話 追放の儀式。

僕はそのまま、職員室横の重苦しい空気が漂う会議室へと促された。

中には校長先生と三田村先生が、裁判官のような顔をして座っていた。そして壁際の一角には、なぜか黒丸君、二階堂君、さらには花菱さんまでもが、見世物を楽しむ観客のように並んで座っている。


着席を促されると、校長先生は僕の目を見ようともせず、手元の書類をいじりながら言った。


「……そういうことだから、悪く思わんでくれ」


「僕は、何も悪いことはしていません」


僕は絞り出すような声で答えた。


「校則違反も、不当な欠席もありません。母さんは、僕がこの学校に通っていることを誇りに思ってくれていました。……どうか、続けさせてください」


僕は机に額をくっつけるようにして、深く頭を下げた。喉の奥が熱い。


「うーん、そういうことじゃないんだよ。そこが分かってないから『退学』なんだよなぁ」


三田村先生の、粘りつくような声が響く。


「お前がいるとな、学校の質が下がるんだよ! 分かれよ!」

「貧乏人が紛れ込んでるだけで迷惑なのよ、早く消えなさい!」


黒丸君や花菱さんたちの、野次のような罵声が僕に浴びせられる。


ああ、そうか。今回も、この人たちが僕を「退学」へといざなっているのか。


「もうそろそろ、三田村君」


校長先生が促すと、三田村先生は勝ち誇ったように身を乗り出した。


「というわけで、今日をもって退学だ。お前、もう荷物をまとめて帰れ」


そうか、ここでどう粘ってもどうにもならないのか。そう悟った僕は静かに立ち上がり、深々と一礼をした。その時、ガラリとドアが開き、一人の老人が入ってきた。


「り、理事長!?」


校長先生と三田村先生が、弾かれたように立ち上がる。


「どうかされましたか!?」

「いや、ちょっと用事がありまして。……それより、何事だねこれは?」


「はっ、不要な生徒……千葉司を処分していた所でございます」


校長先生が慇懃に説明する。


「うむ、結構」


理事長は短くそう言い、僕を道端のゴミでも見るように一瞥すると、すぐに興味を失ったように目を逸らした。

僕は「失礼します」とだけ告げ、会議室を後にした。

その時背後から、理事長の独り言のような声が聞こえた気がした。


「千葉、司……。ちば……つかさ……。Tsukasa Chiba……?」


廊下に出ると、意外な人物とすれ違った。


「よう」


軽く手を挙げたのは、後見人の阿倍さんだった。


「どうしてここに……?」

「呼び出しだよ。まあ、俺もちょっと用があったしな」


僕が驚いて立ち止まると、背後の会議室から、これまでに聞いたこともないような理事長の絶叫が響き渡った。


「不要なのは貴様だ!! クビだ!! クビだッッッ!!」


地鳴りのような怒号。おそらく、僕の「クビ(退学)」について、まだ何か言い足りないことがあるのだろう。

僕は、後ろ髪を引かれる思いで、足早に校舎を出た。


思っていたのとは全く別の形で、僕の短い高校生活は幕を閉じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ