82 不便な旅
昼頃に馬を休ませるためと私たちの食事のために
馬車を止めて休憩をした。
「この先の進路はどうしますか」
「そんな事聞かれても私にはまったく分かりません。」
「夜は宿屋のある町に泊まるか、野宿で最短ルートを行くか
それで日数も変わって来ますから」
そう御者席に座る一人が説明してくれた。
私だけならゲルがあるから問題ないけれど
親しくない人をゲルに入れるのはちょっと躊躇うし
かといって自分達だけって言うのも躊躇う
「私は何も知らないのでお任せします」
私がそう答えると今度はチャリオットに意見を求めている。
出発前に決めてなかったのか?
そんな行き当たりばったりでいいのか本当に
この先が思いやられるよ。
「君たちのいつものルートで良いですよ」
チャリオットが答えている。
何だいつも通りと言うルートが決まってたのに
一応私たちに気を使って確認してきたと言う所なのか
そんなに気を使って頂いては私も何かお礼をしないと
そう思ってクッションを作ることにした。
私自身もかなりお尻が痛い
御者席となったらお尻所か腰も大分痛いはず
スライムゼリーは撥水効果があるけど
長時間座ったままだと何だか蒸れそうな気がするし
私の手持ちでクッション性と快適性を考えると何かないかな
マジックポケットの中を探す。
ああ、これはどうだろう
ちょっと煩いかも知れないけれどクッション性と通気性は良いはず
皮は薄くて丈夫そうな猪の皮を選び中に蕎麦殻を詰めて
お尻も腰もきっちり保護できるように座椅子型にして仕上げ
早速御者席の3人に渡した。
「ちょっと使ってみてください、少しは楽になると良いのですが」
始めは何を渡されたのか分かっていなかった様だが
理解すると喜んでくれた。
「喜ぶのは使ってからにしてください
一応試作品ですから改良点などを聞かせてくださいね」
そう言ってお礼を牽制しておいた
実際中身蕎麦殻なのでゴワゴワかもしれないし
煩いのが思った以上煩わしいかも知れないしね
でもお陰で大量の蕎麦粉を作る事も出来たし良かった良かった。
取り合えず昼食は作り置きのサンドイッチで済ませ
水を飲みエサを食べた馬に一応ヒールをかけ
最短ルートで王都に向かうことになった。
夜野営ポイントに着くと早速の様にお礼の嵐
座椅子型クッションは実に快適だったようだ。
「これなら王都には思ったより早く着きそうです」
って、なんで?
実際座っているのが大変で休憩をする回数が増えるのが
日数を伸ばす要因になっているそうで
馬を休ませると言う名目で自分達も休んでいたと言う事だ。
「そんなに使い心地良かったですか?」
柔らかすぎず適度にフィットするのが本当に快適だそうで
お尻が痛いのはずらして誤魔化せるが
腰が痛いのはどうしようもなかったので本当にありがたいと
心から喜んでくれている様子に
作って良かったと私もとても満足した。
やっぱり喜んでもらえるってとっても嬉しい
ましてやこの旅が快適になるなら尚更
夕飯はチャリオットが牛丼が食べたいと言うので
超高級じゃない普通の牛丼を作って出した。
高級和牛の在庫が乏しくなってきたのだから仕方ない。
これからはそう簡単には振舞えませんからね。
そしていざ寝るとなって聞いた話に驚いた
普段の旅だと御者さんと商人さんは御者席で
そして護衛の冒険者さんは荷台で
毛布に包まり座って寝るのが定番で
冒険者さん達は交代で見張りもするそうだ。
この世界の人達はそんな窮屈な旅をしているんですね
知らないって怖い。
ぶっちゃけ土の上に直座りもどうかと思って
簡易的なので良いからアウトドアチェアが欲しいとか考えたけど
座って寝る世界もどうかと思うよ
テントとか寝袋とかないのかと聞いてみたらやっぱり無いらしい
天気の悪い日は一体どうするんだよ
って、皮のコート羽織って凌ぐってどんだけ辛い修行だよ
これはもう普通にテントとか荷馬車に取り付けられるテントとか
折り畳みチェアとかレインコートとか
旅の快適グッズを色々考えて提案しなくてはと心に誓い
折角の貴重な体験だとばかりに
以前スライムダンジョンで使ってた寝袋を取り出し
荷馬車の脇で結界を張って寝た。
ちなみにチャリオットは荷台で寝てた。
読んでくださりありがとうございます。




