75 美味しいは楽しい
商業ギルドでの取引を終え家へ帰ると
夜になっていた事もあってか
ケント君とニックさんも帰って来ていた。
「アオイさん、お帰りなさい」
そう言ってケント君とニックさんも出迎えてくれた。
やっぱり『お帰りなさい』は嬉しいかも
「ただいま、変わりは無かった?」
私がそう挨拶すると
「丁度話したい事があったんだよ」
ケント君がそう言って話し始めた。
自分は商人になりたいと
その為に仲良くなった商人の弟子として
護衛も兼ねて付いて行きたいと
冒険者としてしばらくダンジョンに潜ったが
自分が本当にやりたい事は違うと感じ出し
そしてあれこれ考えた末の結論だと言う。
勿論私は反対はしないよ
と言うか、
むしろやりたい事が見つかって良かったって応援するよ。
「それでこの家は自分の実家だと思っても良いかな」
と遠慮がちに聞いてくるので
「そんなのあたり前じゃない」そう答えた。
すると今度はニックさんが
「僕もやりたい事があるんだよ」
そう話し始めた。
ミノル君の薬草畑の手入れを手伝ううちに
育てる楽しさに目覚めたそうで
自分の実家が酪農関係の仕事をしていた事もあり
余っている土地を貸してくれるなら農業でも始めたいと言う
そこで私はふと思いついた。
だったら鶏を育てるのはどうだろう?
もしあのダンジョンから持ち帰った卵を孵す事が出来たなら
卵の生産に困らないよね?
モーデルのヤギとかあのダンジョンから牛を持ち帰れたなら
牛乳だって可能になるよね。
ああダメだ私の方が興奮してきたよ。
早速卵をマジックポケットから取り出し
私の考えをニックさんに聞かせた。
ああ、そうだその前に孵化機を作らなくちゃダメか?
いやそれより錬金術で孵化させる事は可能か?
そうだ餌も必要だし飼育する環境はどうする?
「まあまあ、取り合えず落ち着いて下さい」
チャリオットにそう声を掛けられ少し冷静になった。
「どちらにしても明日じっくり話し合いましょう」
チャリオットの言葉に納得して
今夜はお土産があるんだよと新しく手に入れた食材を伝え
何が食べたいかリクエストを聞いた。
チャリオットがどうしてももう一度牛丼を食べたいと言うので
牛丼と豚の生姜焼きと唐揚げとご飯と海鮮丼とオムライスと言う
中高生男子でも食べきれるのかと言う内容の料理を作り
皆で夢中になって食べた。
自分で作っておきながら感動の美味しさだった。
やっぱり美味しい物は大勢で食べるとさらに美味しいね
心からそう感じていた。
読んでくださりありがとうございます。




