74 商業ギルド
商業ギルドの執務室でギルド長と面会をしていた。
ギルド長はグレーの髪と顔の皺が人生の歴史を感じさせたが
スタイルの良い紳士然としたナイスミドルなイケおじだった。
「初めまして、ルックベス・マーキュリーと申します
これからは気軽にお付き合い頂けると幸いです。」
そう言って握手を求めながら優雅にほほ笑んだ。
「初めまして、アオイと申します、
こちらこそ、よろしく、お願いします。」
何故か硬くなりながら挨拶をし握手をした。
「アオイさんのお噂は彼方此方から伺っておりますよ
大変な博識だそうですね。」
って、なんの話をしてるんだこの人は?
「商標登録の制度は早速取り入れました。
お陰様で登録の申し込みも増えております様で
商業ギルドも忙しくさせて頂いてます。」
ああ、あのモーデル国で知り合ったフィガロ様関連か
それにしても仕事が速いと言うか情報が速いと言うか
この世界も満更でもないな。
そう思っていると
「久しぶりだねチャリオット、元気にしている様で何よりです。」
って、チャリオットと知り合いなの?
「ご無沙汰して大変失礼しております。」
と、チャリオットがやたら丁寧に挨拶した。
間の抜けたような顔をしていた私に向かい
チャリオットが説明してくれた。
「僕の叔父さんだよ。」
そう言われると何となく納得する感じ
チャリオットもこんなナイスミドルになるんですねそうですか。
「忙しいアオイさんにお時間を取らせるのも申し訳ないので
早速本題に入らせて頂きたいのですが、
アオイさんはとても珍しい素材やお薬をお持ちだとか
是非私に買い取らせては頂けないでしょうか。」
誰に聞いたのかって考えるまでもなくチャリオットだろうけれど
ナイスミドルが提案してくる。
「危険な素材や薬なんかもあって手放せないのですが」
私がそう答えると
「絶対に悪用はしないと誓いましょう。
有効な使い方と言うのがちゃんとある物なのですよ。」
そう言われたので、まぁいいかと開き直り
素材管理や売り払い作業が面倒くさくなって来ていたのは確かなので
マジックポケットの管理画面を見せた。
しばらくの間チャリオットとナイスミドル様で画面を確認しながら
時折『おお』とか『信じられない』とか呟いていた。
こっちにもあるよと
ポーションなどのアイテムの入った方の管理画面も見せたら
さらに驚き歓喜の声を上げていた。
「この『改・万能ポーション』や『復活のポーション』は
値段の付けようがない代物ですよいったいどういう経緯で」
と、絶句しているので
「私が作った物ですよ。」
と答えるとナイスミドル様はさらに驚いていた。
いやいや普通に考えて私が持っているんだから
私が錬金術で作ったって考えられない物なのかな。
そんな事を考えていたのが分かったのか
「錬金術で作れるとしても作れる錬金術師はそうそう居ませんし
ましてや素材を手に入れる事はとても難しいはずです。」
チャリオットがそう解説してくれた。
「改めてアオイさんの凄さを感じました。」
何故か嬉しそうにチャリオットがそう言った。
そうして私の手持ちの薬のすべてと
改・万能ポーションや復活のポーションを除くポーションすべて
そして食材や素材の私が必要とする分を除くすべてを買い取ってくれた。
もの凄い金額になった。
桁を数え直してしまったくらいのびっくり金額
こんなの元の世界で宝くじを当てても無理だろう
っていうか、なんに使うんだこんなに?
ナイスミドル様は国家間の取引でもこれほどでは無いと
深くため息をつき商業ギルドへの登録をしてくれた。
取引のお金を振り込む口座を作るためだ。
冒険者ギルドに口座があると言ったら、
情報が他に流れてしまう危険があり私の安全も考えての事だと
丁寧に説明してくれた。
そのうちに改・万能ポーションや復活のポーションを
是非買い取りたいので金額を考えておいてくれとお願いされたが
そんなの私に決められる訳ないじゃないと思っていた。
そしてここでも当たり前のように話題になる
アイテムボックスとマジックバック。
商品の流通の上で劣化しないと言うのがとても良いとおだてられ
必要な量が簡単に確保出来て流通しやすくなると
それぞれの街や国にとっても良い事だらけだと説得され
結局無理のない程度でと制作を約束させられてしまった。
しかし考えようによっては
口座の金額は凄い事になったが、マジックポケットは軽くなった。
問題がまた一つ片付いた様で気持ちも軽くなった。
これでまた新たな気持ちで冒険が始められる。
マジックポケットがまた一杯になったらいつでも押し付けられるし
ここの商業ギルドとの取引は、
私にとっても悪い事じゃ無いかもしれないと思えた。
読んでくださりありがとうございます。




