73 部下でも嫌だよ
ティンバの街の拠点へと戻ると
家の脇に作られた薬草畑は丹念に手入れされていて
ミノル君の頑張りを伺わせていた。
家に入るとミノル君は薬作りに没頭している。
「頑張ってるね」そう声を掛けると
「アオイさん、お帰りなさい」と返って来る。
何だか『お帰りなさい』が心地よかった。
リビングのテーブルで作業をしているミノル君を見て
作業部屋が必要だと思い
新たに家の隣に作業小屋を作ることにした。
外に出て老婆の小屋を思い出しながら作った。
大きめの作業机と棚を多めに作り
この先鍛冶師の作業を始めても困らない様に
余裕を持ったスペースも作って置いた。
「これで作業に集中できるよ、本当にありがとう」
ミノル君はお礼を言ってくれた。
「家賃は取るからね」
私がそう言って笑うとあたりまえだよと答えた
何だかミノル君が大分変った気がするのが嬉しい。
「ケント君とニックさんはどうしてるの」
私が聞くと、もうすぐ帰ってくると思うと言うので
冒険者ギルドに顔を出してからまた来ると伝えて
私たちは冒険者ギルドへと向かった。
チャリオットは受付のお姉さんにウインクすると
当然の様にギルド長の執務室へ入って行く。
私も慌てて後を追いながら入ると
インテリ様が忙しそうにしていた。
「ああ、思っていたより早いお帰りですね」
そう言って執務机から立ち上がり出迎えてくれた。
私のマジックバックの評判が噂になり
スライムダンジョンでお金を稼ぎマジックバックを買って帰る
そう言う冒険者も増え
街もとても潤っていると報告してくれた。
むしろこれ以上冒険者が増えると
ダンジョン内でいざこざが増えると言う懸念が出ていて
その辺の規制が必要じゃないかと考えている所だと言う。
「早速マジックバックの追加をお願いしても宜しいですか」
インテリ様が早々に言ってくるので
「いくつ位用意したら良いですか」
私がそう訊ねると、
「さっきの話をちゃんと聞いてました?」
と、キレられた。
「この街に来ればマジックバックを手に入れられる
そう言う噂を聞いて冒険者達が集まって来ているのに
マジックバックがありませんじゃ困るんです。」
インテリ様が声高に言い募る。
何だかその物言いにカチンときた。
「それって私に関係あるの?
私は開拓した土地の管理と税金のために協力していて
冒険者のためになればと考えてはいるけど
別に何ならきちんと税金払うよお金あるし」
勘違いされたら困るよ、私はただの冒険者だよ。
あなたに使われてる部下じゃないよ
腹が立つって言うかイラっとする。
私のそういう雰囲気を感じ取ってチャリオットが言った。
「エリックもその辺にしておきなさい、
アオイさん彼も忙しすぎて余裕が無かったのだと思います
私が言うのも変ですが許してあげてください。」
チャリオットはちゃんと分かっているじゃない
そう言われちゃうと私も怒れなくなるよ。
「でも税金はちゃんと払うよ、いくらになるか計算して
管理もこれからは自分でするから大丈夫
やっぱり貸し借りの様な関係は良くないよね反省した。」
インテリ様は何かを言いかけたがあきらめた様だった。
「それでマジックバックの制作はどうしますか」
チャリオットが聞いてくるので
「無理のない範囲での依頼なら受けるよ」
私はそう答え執務室を出て受付へと行き税金を払う手続きをした。
ついでにこの先は私の口座から自動的に引き落としてくれる様に
お願いしてその手続きもした。
しばらくして執務室から出て来たチャリオットが
出来れば商業ギルドへも顔を出してくれると嬉しいと言うので
何のためにと尋ねるとギルド長が挨拶をしたがっているとの事
何だか面倒くさい感じしかしないので断ったが
冒険者ギルドより商業ギルドの方が
私の手持ちの素材の整理が出来るだろうと唆され
結局会うことにした。
私って本当にチャリオットに甘いと言うか
チャリオットが私の扱いに慣れてきたと言うべきか
どっちにしても良くない気がするなと思った。
読んでくださりありがとうございます。




