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召喚少女は魔王様?  作者: 橘可憐
ダムデム国

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72 日本語の謎


「そう言えばさ、この王都にラーメン屋さんって無かったよね。」


「そう言えばそうですね。」


「どういう事だろう?」


私はラーメンってもうこの国では知れ渡っている物だと思ってた。

でも、この王都に無いって事はあの街だけって事で

召喚者様があの街で開発したって事?


よくよく考えたらあの壁に貼られた日本語のメニューも不自然

だってこの世界に転移して言葉も文字も

この世界の物が普通に通じる様になっているのに

むしろ日本語で書く方が変だよ。

って事はアレに何かしらの意味があったって事?


確認しなくちゃ


「チャリオット、ティンバに帰る前に寄り道しても良い?」


「別に構いませんよ私は」


チャリオットがそう言ってくれたので

シヴァ様ダンジョンの街ナルシェに戻りラーメン屋に行った。


「すみません、もしかしてここに召喚者様が居るのでは?」


私は店主に向かって思い切り尋ねていた。


「どうしてそんな事を?」


「日本語のメニューですよ。始めは感動してただけですが

考えてみたら何かの暗号かなって思って

私も召喚された日本人なんです。」


「何度も食べに来てくれていましたよね。」


「覚えていてくれたんですか。」


「たぶん召喚者だろうと思ってました。」


店主はそう言って説明し始めた。


この店は逃げている召喚者達を探し保護するために出した店で

日本語のメニューはこの世界の人には

ただの飾りにしか見えないが召喚者には通じるはずだと

そう思って壁に掛けているそうだ。


普通にどこかの村に溶け込み暮らせていれば良いし

逃げるのに疲れている様なら保護するし

その辺は召喚者の様子を見守る事を基本にしているらしい。


すでに何人かを保護しているそうなので

私は新たな情報を伝えた。


「名前って変えられるんですよ、

私のステータスの名前始めは日本語でしたが

周りの人にアオイと呼ばれる様になったら

ステータスの名前がアオイに変わってました。

だから冒険者ギルドでギルド証も普通に作れたんです。

なので身分証が無くて国外へ出られない様なら

一度この手を試して欲しいです。」


私がそう伝えると、盲点だったと呟いた。

始めから作れないものだと思い込んでいたと。

これで逃げ回る必要もなくなると喜んでくれた。


召喚者達の行く末を案じラーメンを再現し

この店を出したと言う召喚者様に是非とも会いたくなった。

良かったら紹介してくださいと頼んだら快諾してくれ

店を閉めると召喚者様が住むと言う家まで案内してくれた。


考えてみたら凄い人だよね。

いったいどんな人なのか心を躍らせながら家を訪ねた。


「旦那、お客さんをお連れしました」


店主はそう言いながら、

街の大分外れにある少し大きめな木造の建物のドアを開けた。


中に入るとそこは製麺場だったらしく、

男女含め5人程で麺を作っていた。

うどんの麺を作る要領で作っていて、

小麦粉を捏ねた塊を一生懸命踏んでいる人も居れば

綿棒で生地を伸ばす人も居たりとそれぞれに忙しそうだった。


「ああ、今ちょっと待ってろ」


忙しく働いている人達の一人がそう言って返事をした。


見たところ30歳を超えている感じで

短く刈り上げた髪が清潔感を漂わせてはいるが

何処にでも居そうな中年初期男子と言った感じなのだが

何故かびっくりする程のオーラを漂わせ

そのせいかオーラの圧でむせ返る程だった。


本当にびっくりした。

見えないオーラをこんなに感じた事など無かったので

ある意味初体験で衝撃だった。


私は吸い寄せられる様にふらふらと傍に寄り話しかけてしまった。


「これってうどんの製法ですよね?」


「そうなのか?前にドラマか何かで見かけたのを覚えてたんだ」


「だったらうどんも作れますね」


「ダメだ、うどんだと麺が固すぎてどうやっても食べ辛い」


そうか、うどんって確か中力粉だったっけか?

でもこの製法のお陰でコシが出せるのか。


「かん水は使わないのですか?」


「かん水ってなんだ?」


「ラーメンの麺を作るのに必要な水ですよ」


「そんなのが必要なのか!知らなかった・・・」


そう言うとガックリと肩を落とし作業を中断させた。

そして私に向かって手を差し出し


「俺は朝霧翔太25歳」と自己紹介してきた。


「私はアオイ21歳です」


翔太君の手を握り私も自己紹介をした。


「ところでかん水ってどこで手に入れるんだ」


結構食い気味に私に聞いてきた。


「確か昔は木の根を燃やした灰を溶かした水を使ったとか

何処かの井戸水を使ったとか聞いたと思います。

元の世界ならかん水として売ってるんですけど」


「そうなのか、お前結構物知りだな。」


「ドラマやアニメで得た情報ばかりですよ。」


「俺と同じか」そう言って笑った。


そこで、さっき店で話した身分証の話や

王都に新しく出来たダンジョンで採取出来る食材の話や

塩ラーメンがうまく作れないと言った話などをして

その場は分かれる事にした。


「また、ラーメンを食べに来ます。」


「おお、絶対に来いよ。」


そう言って建物の外に出てから心の中で深く頭を下げた。

25歳だったのに中年男子だなんて本当にごめんなさい

かなり苦労をしたんだねきっと

次に来る時はお詫びに何か疲れが飛びそうな差し入れをするよ

そう心に誓いチャリオットとティンバの街へと帰ったのだった。



読んでくださりありがとうございます。

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