34 ヤギの乳フルコース
「それでエルンストお前はどう思う?」
私の入れたコーヒーを飲みながら
話のあらましを聞いていたエルンストさんに
マーサ様は意見を求めていた。
「そうですね、
この実の採取や乾燥は子供たちや女たちの仕事に出来ます。
焙煎は鉱山を引退した男たちや
外に出られない老人にも出来そうですし、
この道具類は街の細工師などに発注も出来そうです。
そうなれば国内の雇用事情も大分改善されると思うのですが
しかし問題は
このコーヒーが受け入れられ売れるかと言う所です。」
「そうだね、
私もそこが一番の問題だと思ってはいるんだけどね」
コーヒーにヤギの乳を入れたカフェオレを飲みながら
呑気に話を聞いていた私に向かってマーサ様は聞いてきた。
「あんたはどう思うんだい?」
私は少し考えて正直に話してみた。
「私はそんな国家プロジェクトには興味は無いのですが、
コレはあくまでも嗜好品です、
その辺は商人に聞いてみたらどうですか。」
私がそう言うとマーサ様は最もだと考え、
お抱えの商人を呼ぶ事にしたようだ。
コーヒー豆生産の話が長引きそうなので
仕方なく自分の分は自分で作るしかないかと諦め、
出かけようとマーサ様に退出の挨拶をすると引き留められた。
「何を言ってるんだい、
ここから先はもっと大事な話になるんだから
お前さんにもちゃんと居て貰わなくちゃ困るよ」
「私には自分用のコーヒー豆の確保と
ヤギの乳を使った石鹸の制作と言う
大事な用事があると言うのに私も困ります。」
そう言って断ろうとしたらさらに突っ込まれた。
「なんだいその石鹸ってのは?」
何だか物凄く面倒くさい話をしてしまった事に気づき後悔した。
そして商人が来るまでこの家に滞在する様に懇願(命令)され、
仕方なくそれまでこの街の探索をすると決めたのだった。
ゲルがあると断ったが案内された客間は結構豪華な感じだった。
部屋も広く調度品もお高そうでベットなどフカフカでフワフワ。
こういう体験もそうそう出来ないだろうと
有難く滞在させてもらうことにしたのだが、
なんとびっくりマーサ様はお后様だった。
ホントびっくりだよ、
ただのおばちゃんではないだろうとは思っていたが・・・
時間があれば街の出入り口で鑑定を使って
出入りする人のチェックをしているそうで
危な気な人や怪しい人は密偵につけさせ
監視したり排除したりもしている様だ。
鑑定が使える人がそうそう居ないので
ついついお后様自ら出向いているそうだ。
そこで鑑定出来なかった私に声を掛けたと言う訳だが、
考えてみたら称号のお陰で認識されづらくなって居るはずなのに、
てっきりお后様が私よりレベルが上なのかと
そんな風に考えたりもしちゃったよ。
チェックし漏れが無いように気配察知してるなんて
かなり力を入れているとしか言いようが無い。
何故そんなに厳重なチェックをしているかと言えば、
当然排除された悪人を鉱山送りにするためで
かなり過酷な労働をさせられるそう。
しかし望んで鉱山で働く人も居て、
採掘した鉱石の30%ほどを現金で支払われ
国民には結構有難がられて居たりもするそうだ。
何なら私も鉱石発掘のため鉱山に入っても良いと言われたが、
好き好んでむさ苦しい男たちのいる穴倉に
わざわざ潜るわけ無いだろうと断ったよ。
そうそう、
後で忙しい王様が時間を取ってくれると言う話は丁重に断った。
当然だよね、面倒くさいのは本当にごめんだ。
滞在すると決めたら現金なもので
ここでどんな料理が食べられるのかそっちの方が気になり出し、
夕飯が楽しみになってしまったのは仕方のない事だろう。
で、その夕飯をここの人たちと皆でと言われたが当然断った。
それって王家の方々とって事だよね
そんなの美味しい料理もちゃんと味わえないわ!
使用人達と一緒の食堂か
それか自室でと丁寧にお願いして食堂にして貰えた。
そして食べた料理はシチュー
そうヤギの乳を使ったシチュー
ゴロゴロ野菜と肉たっぷりのシチュー
それから、芋でもかぼちゃでもない
何か甘い感じの野菜のポタージュ(ヤギの乳入り)
そしてステーキに乗ったソースも
ヤギの乳をクリームにした感じのソースで、
これでもかと言うほどのヤギの乳のフルコースと言った感じ。
どれもこれも美味しかったし嬉しかった、
食べたいと思っていた料理だけど・・・・・
私がよっぽどヤギの乳が好きだと勘違いされたのか、
コレはさすがにやり過ぎだろう。
思わず質素に普段通りでとお願いしてしまった。
何なら外で食べても良いしね。
そんな事を言いながらも、
しっかりとレシピと材料は手に入れたのだった。
読んでくださりありがとうございます。
しばらくは1日何度かUPさせて頂きます。




