33 コーヒー豆だよ
「もしかしてコレってコーヒーノキじゃないですか?」
広場のような場所で見つけた木に目が釘付けになった。
「名前は知らないが実が少ないから誰も気にしてないよ好きならお食べ」
「実じゃなくて種に用があるんです。コレ採っても良いですか?」
「そこいらじゅうにあるよ、好きなだけ持って行きな」
私は考えた、私が少しばかりのコーヒー豆を作って持ち帰るより
ここでその方法を教えて作って貰えば
手に入れやすくなるんじゃないかと
その方が安定していつでも飲めるようになるんじゃないかと
「あのぉ、お願いがあるんですが聞くだけ聞いて貰えませんか」
「なんだい改まって、聞くだけなら構わないさ言って見な」
少しだけ怪訝そうな顔をしたおばちゃんに
実践しながら説明をした。
コーヒーチェリーを魔法で乾燥させ
周りの実を取り除き次にコーヒーの種を乾燥させる。
「今は手っ取り早く魔法を使ってますが
天日干しの方が出来れば良いんですよ。
それにこの種は
乾燥させ過ぎるのも良くないのでこの位の感じで
それからこの剥がした部分は肥料や餌に使えます。」
そう言って出来上がったコーヒー豆をおばちゃんに見せた。
私の魔法での作業の一連を見て驚いたおばちゃんは
「魔法使いって言うのは凄いことも出来るんだね」と言った。
「ああ、私は錬金術師なんですよ」
そう言ってニコッと笑って見せる。
「それでそのコーヒー豆って言うのをどうするんだい?」
「ここから先は色々と道具が必要なので
出来れば調理場を借りられるといいのですが」
「それなら私の家へおいで」
そう言って連れて行かれたのは
町一番の高台にあり門番までいる大邸宅だった。
呆気に取られている私をよそに
さっさと中へと入って行くので慌てて後を追った。
「マーサ様お帰りなさいませ」
そういう挨拶を受け流しながら
ズンズンと進み案内された調理場もかなり広かった。
「ちょっと邪魔をするよ」
調理場に居た人たちにそう言うと私に続きを促した。
私は比較的隅の方を選びフライパンを借りコーヒー豆を煎っていく
「この煎り具合で味も香りも変わるんですよ」
そう言いながらじっくりゆっくりと中煎り位で取り出す。
しかしコーヒーミルが無いのに気づき
錬金釜を取り出しコーヒーミルを作る。
抽出法はサイフォンにしようかドリップにしようか悩み、
ネルドリップ方式を採用しその道具も作っていく。
そうしてお待ちかねのコーヒーを入れてマーサ様に早速薦める。
「私はこれにミルクを入れて飲むのも好きなんですが
濃さを調整したり砂糖を入れたり飲み方は色々あって自由なんです」
久しぶりのコーヒーを口にしながら
飲み方の説明をするとマーサ様も恐る恐る口にする。
「何だか苦いね」
「初めて飲む人は大概そう言います。
でもこれはリフレッシュや眠気覚ましに効果があると言われ
ついつい飲みたくなってしまうんですよ。」
「それでコレを私に飲ませて何を頼もうと言うんだい?」
「そうそうすっかり忘れるところでした。
この豆をこの地で作って頂けませんか。
そうすれば私はここへこのコーヒー豆を買いに来るだけで
いつでもコーヒーを飲めるようになります」
私がそう言うと
しばらく何かを考えていた様だったが傍に居た人に向かて
「エルンストを呼んで来てくれ」そう言うと私に向かい
「ミルクはヤギの乳でも良いのかい」そう尋ねてくる。
「大丈夫だと思います。と言うかヤギの乳があるんですか?」
「この辺の山道を歩く時は
荷物を持たせたりするのにはヤギが一番だからね」
「そのヤギの乳も私に売ってください。」
私は自分の生活の向上を夢見て次々と構想を広げていた
読んでくださりありがとうございます。
しばらくは1日何度かUPさせて頂きます。




