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続:乙女 転生の加護を受けただけです!  作者: 浦 かすみ
スイート編

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21/29

添い寝?


温かい…。何だろうこれ。いつも朝は魔力が体に溜まってて、肩が凝ってたりして頭もボンヤリしていることが多い。


今日はよく寝たのか…スッキリしている。モゾモゾと体を動かした時に手に何が触れた。硬い…温かい?ゆっくりと手を動かして行く。


私の魔力がスルリと硬い何かに吸い込まれた。意識が覚醒して視界にキラキラ光る銀髪が目に入った。


「おはよう、ヒルデ」


ルル様だああぁっ!そういえば昨夜、そ…そい、添い寝してっそのまま寝ちゃってた!?


私は飛び起きると三つ指をついてルル様に深々と頭を下げた。


「すみませんっすみませんっすみませんっ!」


「…どうした?」


ルル様は朝のけだるさを身にまとい…寝起きのエロチシズムを発揮しながら、ゆっくりと体を起こしてきた。


「昨晩から軍人に有るまじき取り乱し方をしておりましてっ…!」


深く下げた私の頭をルル様が優しくポンポン…と撫でてくれる。私の魔力がスルスルとルル様に流れていく。体が軽い…肩コリも寝起きの頭痛もまったくない。魔力の相性が良いって…自分の魔力が原因での体の不調も緩和されるということなの?今、初めて実感した…。


一家に一台ルル様…!


ふざけている場合じゃないか…しかし何故、頭ポンをしているのか?


「あ、あのルル様?」


私がそう声をかけるとルル様は、ハッとした魔力を放った後に手を離した。


「いや…悪い。出かけるんだな?まだ時間はあるだろう?」


「あっはい。そうだ、朝食を準備しますね」


私は脱衣所でパジャマからジーンズとタートルネックセーターに着替えると、昨日スーパーで買ってきた、大根と納豆のパックを冷蔵庫から出した時に気が付いた。


し…しまった。


ルル様の朝食のことがすっかり頭から抜けていて外国人?の方の朝食には不向きなジャパニーズな食べ物の納豆しかないなんて…。


私は納豆パックを冷蔵庫にしまうと寝起きでまだぼんやりしているっぽいルル様の前に行った。


「ルル様~。今日は外食にしましょうか?朝からモーニング…えっとナジャガルで何て言うのかしら?兎に角、朝から出かけましょう!」


「ん…分かった」


まだ起き抜けだからかな~素直で可愛いねルル様!


……。


朝は某ファストフードのモーニングセットを食べに出かけた…のだが、明らかにモーニングの範疇を逸脱している量のハンバーガーをもりもり食べるルル様を前にして圧倒されています。モーニングセット2人分と更に単品でビッグ系バーガー1つをお一人で食べてます。見ているだけで胸焼け起こしそう…。


え~とサラリーマンのお兄様やOLさんから私達は熱い視線を受けています。あのカッコイイ銀髪の外人さん、朝からすげぇ食べてるね!…というところかな?


私はコーヒーを飲みながらアップルパイを食べている。懐かしいねこの味…学生の時によく食べたなぁ。


「ヒルデまずはどこに行くんだ」


店内にいる人達の魔質がこちらに集中しているのが分かる。そうですよね、イケメン外人さんが日本語話してるものね、気になるのは分かります。


『まずは図書館に行ってみたいと思います』


私はナジャガル語で言葉を返した。するとルル様も『了解』と瞬時にナジャガル語で返してくれる。多分言葉の加護が働いているんだよね。


『えっとその後は〇〇区立△△△中学校に行ってみたいと思います。もう当時の生徒達は卒業していませんが、校舎とかを見てみたいかな~とか』


『生徒、個人個人には会いに行かないのか?』


『はい、今から行方を捜すのは無理ですしそれに私のこの姿で会いに行っても…迷惑ですしね』


ルル様は優しい目で私を見ている。口はモグモグ動いているけどね…。そしてあのすごいハンバーガーの量が胃のどこに収まったんだ?というようなしなやかな動きで食べ終わると、颯爽と某ファストフード店から外へ出た。


店内を移動している時に女の子やお兄さんの悲鳴?歓声のようなものが聞こえていたがルル様は我関せず、ゆったりとしている。


まずは私の勤め先の中学校があった区域の図書館へ移動することにした。そして電車で移動中にルル様に聞いてみた。


『ルル様って慌てて狼狽したり、びっくりして叫んだり…大笑いすることってあるんですか?』


ルル様は目を丸くした後、ものすごく渋い顔で私を見てきた。何だよ、ルル様?


『俺だって…気持ちが乱れたり、動揺したり……制御出来ないこともある』


へぇ…剣豪ルル様でも自分を律したり出来ないこともあるんだね。


『例えばどんな時に制御出来ないのでしょうか?』


ルル様は、幽体のアレでも吹き飛ばせそうな魔圧と眼力を私に向けてきた。何故、そんなに威嚇するの?殺気は無いけれど。


『……擦り寄られたり、匂いを感じたり…笑いかけられた時だ』


意味不明だ。まるで禅問答のようだった。流石、剣豪ルル様…奥が深い。


降りる駅に着いた。流石に約20年で駅の所在地は変わっていないようだ。過去の記憶を頼りに駅を出て、図書館に向かう。


「意外と憶えているものですね~あ、こっちです」


私は図書館の建物を見つけるとルル様を誘った。


「なるほど…なかなかの蔵書の数だな」


図書館に入り、ルル様と一緒に新聞の閲覧をしようといたら…何だって電子書籍化?慌てて司書の方に声をかけてパソコン操作の説明を受けながら新聞の閲覧を始めた。


「大丈夫ですか?日本語の新聞は読めますか?」


司書のお姉様に心配そうに声をかけられて、頬が赤くなる。


「こう見えましても日本生まれの日本育ちでして…読み書きは大丈夫です。お手間かけてすみません…」


司書のお姉様は、笑顔でカウンターまで戻って行った。穴があったら入りたい…。但し縦穴を2メートルは掘り下げないと入れないけれど…。


「え~と…19年前の5月…の地方版に…無いのかな」


自分の亡くなった事故の記事が載っていないかと思ったけど、私如きの死亡では新聞に載らないようだった。客観的な私の死亡経緯が知りたかったのだがまあ仕方ない。


そう言えばルル様は?ルル様は本棚の間をウロウロとされているようだ。そして何か魔質の揺らぎがあった…どうしたんだろう?と思って顔を上げたら、『歴史、日本史』の棚の辺りで興奮?しているようだった。歴史で興奮?何だろう。


ヒョイ…と棚の間を覗き込んでルル様を見ると、何か書籍を熱心に見ている。


「何か気になる本でもありましたか?」


ルル様は…まあ珍しい!頬を染めて私を見た。


「この本に童子切が載っている」


ルル様の手に持っている本を見ると『日本の名刀 天下五剣とその歴史』と書かれていた。おおっ!そんな本があるのですね~。


「童子切は鬼を切ったり…アヤカシ…ギュウキという魔のモノを切った伝説の剣のようだな…凄い」


「厳密に言えばこの童子切安綱は全く同じという訳ではないですが…」


「どういうことだ?」


これは説明が難しいな…恐らく勇者の剣の童子切は童子切安綱を模した『神の作った模造刀』というところだろうし。


「本物のという言い方おかしいですが、この刀は日本の国宝でして通常は国の管轄の博物館に貯蔵されています。つまりルル様の持つ童子切は…神のお創りになられた神刀…という存在だと思われます」


ルル様はパアァ…と魔質を輝かせて…満面の笑みを浮かべると、ヨジゲンポッケに手を突っ込んだ。


ちょっと待て。


私はルル様の手をヨジゲンポッケごと、パシッと掴んだ。


「こんな所であのお面を出すつもりですか?あんな怖いお面を見てニヤニヤしている外国人なんて即、通報されてしまいますっ!もしやうっかりまかり間違って変身でもしてしまったらっ?即刻変質者扱いですよっ!自重してくださいませっ!」


ルル様は、しょんぼりした魔質を出してきた。どれほど萎れた魔質を見せてきても、ここ日本では奇行は断じて許しませんよ?


私はしょんぼりしたルル様を連れて図書館を出ると、元教鞭を取っていた中学校に向かった。


ところがだ…


「学校が無い!?マンションになってるっ!?」


中学校が建っていた場所がマンションになっている!?もしかして移転したの?え…どうしよう…。するとルル様がスマートフォンを見せてきた。


「ケンサクというのを使ったらどうだ?」


そ、そうかっ!確かえ~とスマートフォンを開いて…。


「ヒルデ違う、ここを触って話しかけるんだ」


「ええっ?」


話しかけるの?電話に向かって?自分のスマートフォンでは話しかける画面が出て来なかったので(恥)…ルル様のスマートフォンに向かって中学校の名前を叫んだ。


すると…。


画面に〇〇区立△△△中学校移転、合併統合の文字が出てきた。


「合併統合…学校無くなったんだ…」


「ガッペイトウゴウって何だ?」


「あ…色々原因はありますが、例えば生徒の数が少なくなってきたとか、校舎が老朽化して立て直すにも資金が足らず、学校を別の所に移転させるとかなどがあります」


「じゃ学舎はこのマンションという集合住宅に変わったのか…」


私は気落ちしてしまった。そりゃ約20年も経てば景気やら環境やらが変わってくるだろうとは予想していたけれどまさか、合併統合されていたなんて。


「大丈夫か?」


ルル様に声に顔を上げた。本当にここ最近ずっとルル様に心配ばかりかけている気がしている…。何とか笑って見せた。


「はい、大丈夫です。ではもう少しお付き合い下さい。後は私の実家…両親の住んでいる家ですが…」


と言っても少しここからは時間がかかる…。少し時間は早いけど…


「先に昼食を頂きましょうか?」


私がそう言うとルル様の魔質がパッと輝いた。そう言えばナジャガルのスイーツ皇子と言えばナッシュ殿下だけど…警邏のアイドル、ルル様は食べることに関してどうなんだろう?


「ルル様は食べ物…特に好きな食材とかはあるんですか?」


「肉だな」


即答だった。迷うことなく一言だった。だったらお昼はこれだな。


「焼肉食べ放題に行きましょうか!」


ルル様の魔質が最高潮に輝いた。


すみません、イチャコラ成分が不足しています

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