女神の愛
冒険者ギルドに戻って来たが丁度混む時間帯だった様だ。
フィアラルが受付をしている列に並ぶ。フィアラルは大丈夫だろうか。
「は、はい、こちらが報酬の大銅貨2枚と銅貨3枚です」
「フィアラルちゃん顔赤いけど大丈夫かい?」
「本当に赤いな、熱があるんじゃないか」
「だっ、大丈夫、です」
もう直ぐリョウ様が来る筈ですから、と小さな声で呟くフィアラル。
「そうか、気を付けてな。フィアラルちゃんの顔が見れないと寂しいからな」
「そうだぞ、フィアラルは俺たちの癒しだからな」
中年冒険者達がフィアラルに心配そうに変えをかけている。フィアラルは万年低ランク冒険者である彼等の心のオアシスなのだ。
「あり、がとぅ、ございます」
発情状態のフィアラルは声を震わせながらも何とか受け答えをして仕事をこなす。その姿は既に限界に近かった。
(随分効いてる様だな。まぁあと少しの辛抱だ。それまでは我慢しろ)
前の冒険者の報酬の支払いが終わって俺の番になった。それじゃあお待ちかねの換金タイムだな。200体は倒したからな、どれくらいの金額になるか。
「リョウ様っ!」
俺の姿を見た途端大きな声を上げてしまうフィアラルに周りの視線が集まる。が、今のフィアラルはそんな事は気にしない。
「ああ、今戻った」
「はい、リョウ様。おかえりなさいませ」
まるで自宅で夫の帰りを待つ妻の様な受け応えをするフィアラルだが先ずは換金が先だ。
だがその前に確認しておかなければ。
「宿は取れたか」
「はい、勿論です。ダブルで取りました」
「「「!!!!」」」
「そうか、それじゃあ換金を頼む。その後一緒に行くか」
「はいっ!」
さっきまで苦しそうだったのが、突然元気よく嬉しそうな声を上げて、幸せそうな表情に変わるフィアラルにエミリアは訳も分からず戸惑う。周りの冒険者達もその光景を不思議そうな表情や嫉妬の顔で眺めていた。
換金総額は銀貨15枚と銅貨8枚だった。
フィアラルが内訳を説明してくれたが早口過ぎて良く分からんかった。
どれくらいなのか分からんな、宿の値段も知らないしな。ヘルプ機能のスキルでも貰っとくんだったか。
まぁいいか。
「それじゃあ行こうかフィアラル」
換金を済ませたのでギルドには今日はもう用は無い。フィアラルも退勤していいだろう。
「はい、リョウ様」
そのまま受付を出てこちらにくるフィアラル。
「せ、せんぱい、待って下さいよぅ。まだ仕事終わってませんー」
慌てて引き止めるエミリアだが
「今日は後はエミリアに任せますね」
にっこり笑ってエミリアに言うフィアラル。
「そんなぁー」
叫ぶエミリアを置いて俺達はギルドを後にした。
「宿に案内してくれ」
「はい、リョウ様」
フィアラルに女神の加護を使ったが何となく聞いておきたくなった。
「フィアラル。俺はお前を抱こうと思うがお前は俺でいいのか」
我ながら女々しいがどうしても確認しておきたかった。その答えも分かっていながらだ。
「はい、その、私初めてなんです。男性を好きになったのは。私、リョウ様を見た瞬間分かったんです、私の運命の人だって。だからお願いします。私を抱いて下さい」
女神の加護「好意」、「発情」を受けるとはこう言う事なのだ。
女神ツゥアハートとの会話を思い出す。
「加護の力を使って抱いて悪かったな」
「なんで? 私の加護を否定するの?」
怒った様に言うツゥアハート。女神の加護とは彼女その物だからだ。
「いや、そう言う意味じゃない。ただ無理やり征服してしまったようでな」
「そんな事ないわ。勿論誰も加護に抗う事は出来ないでしょうけど。私の加護は愛の加護なの。あなたの愛情が相手に向かない限り効果は発揮されないわ」
「だがそれは一方的な押し付けじゃないか」
「そうね、でも愛ってそんな物よ。それでも気に病むならあなたが愛(加護)を押し付ける相手に相応しい男になりなさい。王様になれって言ったけど英雄でもいいわよ」
「王様も英雄も遠慮する」
「ふふ、少なくとも私はあなたに抱いて貰えて幸せよ。愛の女神が愛を知ったんだから」
愛を押し付けるに相応しい男か。王様も英雄も遠慮が、まぁそう好き勝手するつもりはない。
「ああ、お前を抱く。フィアラル、俺の物になれ」
「はい、旦那様っ!」
俺達はそのままツバメの宿に行き食事も断り部屋に直行する。
部屋に入り直ぐさまフィアラルを抱きしめて口づけをする。
「発情」状態だったフィアラルは既に限界だった。
「愛してるよ、フィアラル」
「旦那様っ!」
実を言うと俺もフィアラルに一目惚れだったのだ。欲しいと思ってしまった。即物的に手を出してしまったが、大切にしようと思ったのだ。
「よろしく頼む」
「はいっ!」
こうしてフィアラルは俺の女になった。




