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閑話 メイド長リア(後編)

 それから私は仮眠を取り、朝には何事も無かったかの様に眠そうなメイド娘達に指示を出します。


 どうやら彼女達は寝不足の様ですね。まぁ朝方まで起きて居たのですからそれも仕方ありませんか。今回は不問にしましょう。



 リョウ様はリュードにあるダンジョンに赴く様ですね。賑わっている街は基本的にダンジョンの影響力が大きく反映していて、ここ、リュードも例外ではありません。


 故に街に恵み、お金をもたらす冒険者という職業は憧れの対象でもあります。危険な魔物と戦う能力が必要不可欠なので完全な実力主義の世界ではありますが。


 そして一晩共に過ごして(聞き耳を立てていただけ)分かりましたがリョウ様は男としての格が違います。何より私をここまで惚れさせる事が出来るのはリョウ様以外あり得ません。


 お嬢様もリョウ様が側に居れば心配など無用でしょう。昨日の様子を見る限り護衛のシェリーさんは役に立ちそうにありませんし。


 全く、メス犬ってなんですか、はしたないです。



 ・・・ヒナ様の事ではありませんよ?



 と、ここで一つ問題が起きた様です。


 どうやら執事のミスマルさんがリョウ様の言葉に不信感を抱いたみたいです。確かに何も知らなければリョウ様が言ってる事は荒唐無稽と言わざる終えません。しかし私達メイドは昨日嫌という程、リョウ様の包容力を感じ、包まれていました。(抱かれた訳ではない)その絶大な力に私の身体と心は意図も容易くリョウ様に堕ちてしまいました。


 この感覚はメイドで無ければ分からないのでしょうね。何故ならリョウ様はお嬢様やシェリーさんを自身のメイドにして可愛がっていたようなのです。私自身がメイドである為共感出来、私も、その、お嬢様の様に愛される事になるのだろうと想像出来たのです。


 しかし幾らリョウ様が温厚だからと好意に甘える訳にはいきません。


 ミスマルさんの言動は遥かに度を超えています。はっきり言わせて頂くと、物凄く不愉快です。


 私はミスマルさんに苦言を呈し、お嬢様も同様にミスマルさんを厳重注意していました。


 その様子を隣で待機して見ているいるイヴ達も怒り心頭の様で、頭を縦にぶんぶん振ってミスマルさんを非難していました。当たり前ですね。



 全く、真面目なのは結構ですが人を見る目は無いようですね。








 本日の夕食にはリョウ様がダンジョンから手に入れた戦利品であるドラゴンのお肉が、リョウ様のメイドであるフィア様方の手によって振舞われました。それも私達使用人に迄です。


 ドラゴンのお肉?


 ドラゴンと言えばワイバーンなどの亜竜もドラゴンですがお肉がドロップするなど聞いた事もありません。


 詳しく話をして聴くとダンジョン最下層のフロアボス、ブラックドラゴンからドロップしたらしく、そのドラゴンの大きさはレッドドラゴンの倍、50メートルはあると言うではないですか。


 ドラゴンとは災害級の魔物です。それもそれ程となれば国が滅んでもおかしくない被害をもたらすでしょう。


 普通なら馬鹿馬鹿しくて聞き流す所ですが実際に現物があり、リョウ様が嘘をつく必要も全くありません。ましてや私がリョウ様を疑うなどあり得ません。


 それでもミスマルさんはまだ疑いの目を向けている様です。本当に情けないですね。



 リョウ様のご厚意で私達使用人も同じ席に着き食事を共にします。使用人が席を共にするなど本来ならあり得ませんがリョウ様の願いを断る事の方が私にはあり得ないのです。


 テーブルに並べられたドラゴンのお肉の料理の数々。見栄え、香り、味、全てに於いて超一流であり、王族に出されても何らおかしくない、いえ、王族ですら口に出来ない逸品なのです。これ程の物が頂けるなど何と言う贅沢でしょう。


 私達はリョウ様に感謝して頂く事にしましょう。


 リョウ様の合図で私達も早速ドラゴンのお肉を味わいます。


 素材の味を知るなら先ずはステーキからでしょうか。味付けは塩と胡椒を付けただけのシンプルな味付けです。


 小さく一口大にカットして、一口。


 パク。


 ゴク。



 目を見開き驚くとはこの事でしょうか。私は極上肉など高級過ぎて食べた事がありませんが恐らくは、いえ、間違いなくそれ以上の美味しさです。


 そもそも食べ物で感動するなど初めての経験なのですから。


 周りのイヴ達メイド娘達は夢中になって手に取りドラゴンのお肉を食べています。その顔は本当に幸せそうです。


 彼女達ならば極上肉も口にした事があるかも知れません。その子達が夢中になって食べているのです。それだけの魔力がドラゴンのお肉にはあるのです。


 ですが少しほうばり過ぎですよ、イヴ。


 メイド(使用人)としてのマナーをしっかり教えたつもりでしたが少し締め直さないといけないみたいですね。


 ミスマルさんは何か信じられない物を見るかのように、そして取り憑かれたみたいに一心不乱に食べています。彼は本当にこの屋敷の執事なのでしょうか。


 品、格、能力で選ばれた筈ですがあれではイヴの方がまだ数倍はましですね。





 その日から私は気合を入れて見回りを行います。


 その為にいつもよりも早く仕事を終わらせました。


 いえ、これも仕事なのです。だから何も問題ありません。



 私は昨日と同じ扉の前に立ち耳を澄ませます。


 中から聞こえる音と声は私の胸の鼓動を高鳴らせ同時に締め付けます。


 ああ、もし私があの場所にいるならば。そう思わずにはおれません。



「愛してるぞミィ」


「みい〜♡」



 ゾクッ



 ブルッ



 ・・・もしも。もしも今の言葉が私に告げられていたなら。



「愛してるぞリア」



 はうあっ!?



 いけません。まさか鼻血が出るなんて。なんて威力ですか!


 メイド長たる者常に周りの手本で無ければいけません。少し興奮してしまったようですね。



「あ、やっぱりもういるよ」


「ほんとだ、さすがドスケベメイド長ね」



 どうやらイヴ達も来たようですね。ですがやっぱりってなんですか。ドスケベメイド長もです。まさか私の事だとでも言うのでしょうか。全く、失礼な子達ですね。貴女達程スケベじゃありませんよ。


 彼女達は見回りお疲れ様です、と声をかけて自然に私の隣に陣取り直ぐに耳を澄ませて聞き入ってます。


 本来ならばお客様、それもリョウ様の部屋の扉で聞き耳をたてるなどクビで済む話ではありません。ですが今の私達には正常な判断など出来る筈も無かったのです。恋に生きる乙女は常識なんて簡単に踏み越えて行くものですから。


 その日もまた寝不足に悩まされる事になりますが、おあずけを食らっている心と身体が少しだけ満たされたのも事実なのです。










 リョウ様は朝からダンジョンに出かけますがお昼はフィア様方と共に帰ってきてお嬢様と昼食を取ります。メイドであるフィア様方も一緒の席に座られるのはそれだけ親密な関係だからでしょう。彼女達の立ち振る舞いは超一流で優雅さとその美貌は使用人の枠を遥かに超えています。ドレスで着飾れば何処かの国の姫と言われても納得する程です。


 そしてこの場には同じくメイド服を着たこの屋敷の主人であるアリスティアお嬢様と、その護衛騎士であるシェリーさんが席を同じくしています。



 ・・・お嬢様と護衛騎士がメイド服です。



 既にお嬢様とシェリーさんはリョウ様のメイドであると私達に知られてしまった所為か開き直って常にメイド服を身につけているのです。


 お嬢様とシェリーさんが着てるメイド服は私達の着てる物とは違い明るい赤色でとても可愛らしいふりふりが沢山付いていて2人にはとても似合っています。ですが少し露出が多い気がしますね。あまり胸元や足を見せるのははしたないです。


 あれでは男達の視線が釘付けになるに決まっています。そうなればお嬢様が男達に狙われて危険ですね。なら代わりに私が着て注意を逸らすのがいいのではないでしょうか。そうなればお嬢様は安全ですしリョウ様であれば私もいくら見られても大丈夫ですし、その、脱げと言われても従えますから。


 私がそんな妄想をしていた所、リョウ様がお嬢様やフィア様方にプレゼントを渡していました。


 流石リョウ様は分かっています。いつものひと時にちょっとしたサプライズ、なんて素敵なんでしょうか。


 それも大好きなリョウ様からなら何を貰っても喜ぶに決まってます。



 お嬢様方はリョウ様からのプレゼントに涙を流して喜んでます。


 ヒナ様とシェリーさんも「これでご主人様のメス犬になれる」ととても悦んでいました。


 何故2人が声を揃えてメス犬と言ったのかと言うと、プレゼントの正体はチョーカー(首輪)だったからです。


 普通女性への贈り物と言えば宝石をあしらった首飾りや指輪などですが首輪はまずありません。何故かと言うと首輪をつけるという事はその人の所有物となるという事を意味します。つまりは奴隷です。


 お嬢様方がねだってリョウ様に直接首輪を付けて貰っています。


 ああ、これでもうお嬢様はリョウ様の完全な奴隷です。何という事でしょう、高貴な身分を持ち、国に尽くす立場の貴族であるお嬢様はその責務を捨てリョウ様の物になったのです。


 シェリーさんも既に騎士の誇りなどなく嬉しそうにリョウ様に嵌めて貰った首輪を指で愛おしそうに撫でています。



 2人にとってはリョウ様から「俺の奴隷になれ」と言われた様な物です。それを泣いて喜ぶなんて2人はおかしいのです。


 と、そう思わないと私は自分が保てません。



 ・・・だって、私もリョウ様に首輪を付けて貰いたいなんて思ってるなんて口が裂けても言えませんから。



 愛するご主人様に、身も心も捧げて尽くす事がメイドとして最高の幸せなのです。



 リョウ様はいつ私にも首輪を付けて下さるのでしょうか。




 ちなみにお嬢様が街を歩いても奴隷に見られる事はないでしょう。リョウ様がプレゼントした首輪は一般的な奴隷が付ける物とは違い一目で高価な物だと分かるからです。貴族が装飾として付ける分には特に問題は無いでしょう。








 その日の夜も日課になった見回りとして扉の前に居ます。勿論イヴ達がいるのはもはや当然と言っていいでしょう。彼女達も私と同じ、気持ちを共にする同士なのですから。



 その日はいつもと趣が異なりリョウ様の強い加虐嗜好とお嬢様方の強力な被虐嗜好が絡み合い普段よりも何倍も激しい様子でした。


 これもプレゼントの影響でしょう。ここからでも聴こえます。メス犬メイドを躾、調教する激しい音が。首輪を付けられ、リードに引っ張られ鳴き声をあげて悦ぶ声が。


 ・・・これは、寝付けそうにありませんね。


 私の身体は熱くなるばかりです。火照った身体を冷ますすべを私は一つしか知りません。


 早くその日が来ることを私は待ち望んでました。









 ここ数日身体が、心がおかしいのです。



 やけに熱くて疼いてしまうのです。



 それも毎日の日課の所為でしょうか。



 それにしても今日も一段と激しい様ですね。





 はしたないですよ、お嬢様。










 翌日いつものように仕事をこなします。


 メイド長である私はみんなの見本でなくてはいけませんから。


 ですが無理をしているのを気付かれたのか執事のミスマルさんが珍しくお茶に誘ってくれました。



 ミスマルさんは「何か悩み事はないですか?」と。



 ありますよ?


 ありますけど、お嬢様の恋人が気になってるなんて、ましてや欲情しているなんて口が裂けても言えません。


 それも私を含めたメイドたち全員がです。


 ですがそろそろ理性の限界が近いのかも知れません。


 昨日も部屋に飛び込んで行きそうな子がいましたし。ですがそれ以上はいけません。メイドである以上踏み越えてはいけない領域があるのです。


 私は何とかミスマルさんの追求を躱して席を立ちました。


 彼には申し訳ありませんがこれはどうしようもない事なのです。



 そう、どうしようもない。もう止まらないのです。


 サラと交わした約束を果たすため、そして私の為に作戦を決行しました。


 それはフィア様方にメイド指導をして頂くという物。その流れでリョウ様の目が私達に止まれば、という考えで思い付き、現在こうしてアピール合戦を繰り広げているという訳です。


 ですがアピールが露骨過ぎていけません。イヴもサラもそんなお尻を振るなんてはしたないです。全く、うちのメイドたちは暴走(発情)して仕方ないです。


 フィア様方が笑って流しているのが救いですか。


 肝心のリョウ様は終始優しい笑顔で「頑張って」と私達に声をかけて下さいました。





 貴女達、何声を掛けられただけでいってるんですか。


 私も濡れてますけど。








 リョウ様が席を立ちました。フィア様方も続きます。恐らく入浴に行くのでしょう。


 1日リョウ様に近づいた所為か私の身体はとっくに悲鳴を上げています。それは他のメイド娘たちも同じようです。


 もはや歯止めなど効きません。私達はリョウ様の前に出て 想いを口にする。


「リョウ様、私達はまだ最後の指導を受けておりません。どうか私達もお供させて下さいませ」


 リョウ様!どうかお願いです!お情けを!


 フィア様とミィ様、ヒナ様に睨まれますが引くことなど出来ません。


「ふむ。それがどう言う意味か分かっているのか」


 リョウ様は私達の決意がどれ程のものかまだ分かってないようです。ですが私達は首輪を付けたお嬢様方を見てリョウ様がいかにお嬢様方を大切にしているか分かっています。毎晩のお勤めを耳にすれば嫌でも分かってしまうのです。


「勿論で御座います。私供は メイドです。メイドは愛するご主人様が居なくては生きていけないのです。生涯身も心も捧げて尽くす所存です。何卒どうかお情けをお与えください」



 もう限界なんです!無理なんです!ずっと我慢してきたんです!



 リョウ様は頷き「それはつまり俺のメイドになると言う事か」と私達に問いかけます。


 答えなどずっと前から出ています。



「「「はいっ!」」」



「良いだろう。フィア達を見て学びなさい」


「「「!!!」」」


「はいぃぃ!ありがとうございますぅ!」



 ああ、ついにやった!



 リョウ様とフィア様の後に続いて私達も浴槽に。


 フィア様、ミィ様、ヒナ様がリョウ様に優しくお湯をかけ流します。その後今までは声だけだった扉の向こう側をこの目で見る事になりました。熱くなった身体が一層熱くなりますが目は離しません。


 そしてフィア様方がダウンしてしまいました。


 リョウ様が湯船を出てこちらに来ます。


「壁に手を当てて尻を突きだせ」


「「「はい!」」」


 え?


「壁に手を当てて尻を突き出せ」


 再度リョウ様から指示が飛びます。その言葉の意味を理解して私は直ぐに従いました。


「はいぃリョウ様ぁ〜」


「違う、ご主人様と呼べ」


「はいぃぃ、ごじゅじんさまぁ〜」


 耳元でご主人様が私に命令します。それのなんと心地の良い事でしょう。まるで媚薬のように作用します。


 ああ、私の中で抑えていた感情が爆発します。


「ご主人様っ、リアを、リアを沢山使って下さい!」


 私は自分の事を名前で呼んだりしません。ですが私は最近の日課からご主人様がどうすれば喜んでくれるか分かっていたのです。


 だから、はしたないと分かっていてもお尻を振ってしまうのです。



「・・・リアは可愛いな」



 その一言だけで私の身体は震え上がります。



「っ、あっ、んっ!」



 ああ、幸せですぅ!





 その後部屋でもお勤めをさせて頂きました。こんなに胸一杯の幸福感が得られるなどメイドになって初めての事です。


 この幸せを手放すなど考えられません。


 申し訳ありませんお嬢様。私はご主人様の物になってしまいました。これからはご主人様の(メイド)として仕えさせて頂きます。



 ああ、身も心も捧げた愛しの主様。






 だからご主人様、絶対手離さないで下さいね。



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