出発
ミィを加えてカルーアダンジョンに入って一月が経とうとしていた。
既に俺のレベルは732迄上がっている。フィアも同様だ。ミィも702と一気にレベルが上がっている。何故なら俺の経験値スキルの効果にある。経験値は俺が魔物を倒してもパーティーと共有されるがフィアやミィでも同様だ。そしてレベルが上がっている以上フィアとミィが魔物に遅れを取るはずもない。只の素人だったミィも魔法を覚えて簡単に魔物を狩れるようになった。
本人は何故か体術や暗殺術が気に入っているようだが。
効率を上げる為に俺は55階層、フィアが54階層、ミィが53階層を担当にして毎日時間の限り狩尽くす。レベル300迄1週間は掛かると思われたレベル上げも1日で達成してしまった。
パーティー編成の戦闘で経験値スキルと能力共有化スキルが合わさるととんでもないチートスキルになる事が証明された。レベルの爆上げである。既にフィアとミィ1人で国1つ落とせるレベルだ。やろうと思えば魔法1つで街も消し飛ぶだろうな。
こうして当初の予定通りレベル上げも出来た事で街の外で活動する為の安全マージンも充分稼げただろう。これから街を出て旅をする事にしたのだ。
先ずは此処から馬車で2週間程の距離にあるリュードの街に向かう事にした。リュードは王国で2番目に大きい街だ。その街を発展させたのは当然リュードの中央にあるダンジョンだ。大抵大きな街はダンジョンの恵みを受けているものが多い。リュードも勿論例にもれない。
とは言え旅支度をするにも持ち物は全てアイテムボックスに収納されている。ちなみに今の所予定は無いがフィアやミィがパーティーを外れた場合アイテムボックスが使用出来なくなる為、商人の収納スキルで自分の持ち物を持たせる様にした。商人の収納スキルはスペースが狭い欠点があったが、それはレベル依存の様でフィアとミィのレベルならアイテムボックスと何ら変わらない性能を発揮している。(無限ではない)
行こうと思えばマップと空間転移の併用で一瞬にしてリュード迄着く事が出来るが、それでは旅と言えないので錬金術で馬車(オリハルコン製)を作り馬型のゴーレムも作成した。これでのんびりとメイド娘たちと旅行を楽しめると言うものだ。
錬金術が便利過ぎる!
旅行中に食べる食材もダンジョン産の物なら幾らでもあるし、ダンジョンには温泉もある。馬車の中は空間魔法で広くなっていふので寝るのにも困る事はない快適な旅だ。
「それじゃあ出発だな」
「はい、旦那様」
「はい、ご主人様」
フィアとミィと一緒に馬車に乗り込んだ。
「暇だなー」
旅がしたいと言っておきながら早速この有様である。
出発当初は
「緑がいっぱいで気持ちいいな」(ダンジョンに入り浸っていたから)
「なんか強い魔物でも出ないかなー」(出てもゴブリンやフォレストウルフ、そしてフィアかミィに目視された瞬間に首が飛ぶ)
何て言っていたのだが面白い事など起こるはずもなく景色を眺めながら座っているだけなので手持ち無沙汰なのだ。
やる事と言ったらフィアとミィを撫でるくらいだ。フィアとミィはいつでもいい声を聴かせてくれる。
「それにしても街の外はもっと物騒だと思っていたが案外そうでもないんだな」
俺はカルーアに行くまで森で少し魔物と戦っただけだもんな。その時も対して強い魔物はいなかったし今マップで確認してもゴブリンキングレベル32くらいしかいない。ゴブリンは別にいいな。
「旦那様、街を繋ぐ街道沿いでは強力な魔物はそうそう出て来ません。深い森に行けばオークキングくらいならいるかも知れませんが」
オークキングか。おしいな、ゴブリンキングなら直ぐそこにいるんだが。
「フィア姉様、オークキングなんて出たら普通の冒険者では相手になりませんよ」
「何だ、今時の冒険者は極上肉も倒せないのか。フィアとミィでも一撃なのにな」
オークキングのドロップアイテムは「肉(極)」だ。その味は食べたら病みつきになる事間違いなしだ。リョウはダンジョン生活でオークキングを大量に倒していて、アイテムボックスにストックが大量にある状態だ。ダンジョンの魔物=ドロップアイテムであり、オークキング=極上肉の図式がリョウの中で出来上がっているのだ。
「私たちも旦那様のメイドで無ければ一撃では倒せません。旦那様が特別なのです」
「はい、ご主人様が私たちをご主人様のメイドにして下さったおかげで私たちは強くなれたのです」
フィアとミィが可愛い事を言ってくれたので撫でてやる。
決して調教スキルによるものでは無いだろう。
ちなみに女神の加護とは別に魅了スキルも覚えてしまっている。まぁこっちは魔法だから発動したら周りにバレるから、隠密性でいえば女神の加護の方が上なんだよな。当然効果が切れたらそれまでだからやはり女神の加護に軍配は上がるか。
そもそもリョウは知らない事だが女神の加護はリョウが好きになって欲しいと好意を抱いた相手にしか効果を発揮しない。ただそれが可愛いな、とかこの人には嫌われたく無いな、くらいの軽い気持ちでも効果を発動している為厄介なのだ。勿論意識すれば効果は調整出来るのだが。
「旦那様、そろそろ野営の準備を始めた方が良いかと思います。暗くなる前に場所を確保しましょう」
「そうだな、分かった。場所は任せる」
「はい、畏まりました。ミィ」
「はい、フィア姉様」
フィアとミィもすっかりメイドが板についてきたようだ。メイド姉妹、いいね!
フィアとミィはテキパキと作業をこなし、あっという間にテントが建ち、魔物よけの香を焚き、料理まで作っている。
俺はそれをコーヒー(ダンジョン産)を飲みながら眺めるだけのVIP待遇だ。何故なら少しでも手を出そう物なら。
「「旦那様(ご主人様)は休んでいて下さい!」」
と、この様に怒られてしまうのだ。これもメイド調教の所為なのだろうか。
仕方ないのでマップを見ながらエリア内に存在する魔物を空間魔術で圧殺しながら遊んで時間を潰す。
ここら辺の魔物も強くてレベル30台が何体かいるくらいで弱い魔物しかいないようだ。
ジャイアントナーガからドロップしたのは「ウナギ肉」だった。うなぎ? ジャイアントトードはそのまんま「カエル肉」だったんだが。カエル肉?美味しかったよ、勿論。まぁヘビもウナギも一緒か、明日はフィアに頼んで蒲焼きにしてもらおう。
ダンジョンにいなかった魔物のドロップアイテムなので楽しみだ。
「旦那様、お食事が出来ました」
「分かった、今行く。今日は何だ?」
「はい、ご主人様直伝の極上肉を使ったハンバーグです。あとはサラダはと野菜スープです。
サラダはご主人様が好きなマルティーさんが育てたトマトとレタスを使ってます」
ミィが今日の献立を教えてくれる。マルティーさんはローザリアで農家を営んでいるゴツイおっさんだ。彼の作る野菜は他所で売られている物とは比べ物にならないくらいの一品だ。甘くて美味い!その味に感銘を受けミスリル製のクワを進呈した。(賄賂)
フィアとミィには旅立つ前に大量に買い込んでおくように指示を出している。勿論無くなれば補充しに戻らねばなるまい。(旅と言いながら空間転移で自由に行き出来るからな)
フィアとミィは今日も仲良く一緒に料理を作ったようだ。2人とも譲らないから当番制じゃなく一緒にやるようになったようだ。
2人の料理の腕は世界一だ。(贔屓じゃないぞ)
素材が良いのは当然として、料理スキルが張り切ってるからな。何より隠し味の愛情が沢山詰まっているのだ。(いや、隠されて無かった)
美味しくご飯をたべたらお風呂に入る。
土魔法で囲いと簡易脱衣所を作る。アイテムボックスから湯舟を取り出し魔法でお湯を入れる。
簡単露天風呂の出来上がりだ。
ダンジョンの温泉に行ってもいいんだがそれだと旅をしてる感じじゃ無くなるからな。
片付けが終わったフィアとミィが来て服を脱がしてくれる。
なんか今更だが介護を受けてるみたいだよな。勿論俺はVIP待遇だと思う事にしてる。(じゃないと精神的にちょっとな)
軽くお湯を流しお湯に浸かりフィアとミィを抱きしめる。
「たまには露天風呂もいいな」
魔物は近くに居ないが動物たちの鳴き声は聞こえてくる。超、自然である。
「はい、んっ。気持ち、いいです」
「私も、お風呂はっ、すきっ、です」
フィアとミィも自然と一体化した露天風呂の素晴らしさに感動して悦んでいるようだな。
「ほらフィア、ミィ。まだ夜のお勤めもあるんだ。今日はまだまだこれからだぞ」
「はぃぃぃぃ」
「みぃぃぃぃ」
露天風呂は開放感があってとても良かった。明日も楽しみだ。
勿論フィアとミィはテントでも頑張ってくれた。やはりメイドは素晴らしかった。




