閑話 ミィセン
私はミィセン・オロトス。男爵家の娘でした。
でしたと言うのは私が家を出たからです。もう二度と戻る事はないと思います。
何故貴族の家を出てしまったのか?ですか。簡単な話です。オロトス家当主ライオット・オロトスの正妻であるドナ・オロトスは庶子の娘である私が気に入らなかったから殺そうとした。それだけの話です。
平民を下に見る貴族は幾らでもいますし基本的に貴族の婚約は貴族同士の繋がりを作る為にある程度爵位を合わせて婚約するものなのですが、下級貴族なら商会の娘と資金援助の為に婚約する事も良くあります。
では私の母は?
そんな事ありません。普通の平民だった母の美貌に惚れて無理やり娶ったのです。それがドナの逆鱗に触れたのです。実際彼女からしてみれば面白くないでしょうね。自分よりも美しい女性が平民で、夫がそっちに夢中になると言うのは。
母が亡くなる迄はドナも嫌味は幾らでも言ってましたが直接的には何もありませんでした。母は私に何も語りませんでしたが母と父の関係もドナが私に嫌味と共に吐き出すので、幼いながらも自分の置かれた立場は理解していました。
母が亡くなりドナの私に対する当たりが強くなりました。服装すら平民の様な服を着るようになりました。私、貴族の娘ですよね?
私はそれでも耐えていましたが街を歩いてる際に暴漢に襲われて殺されかけてしまいます。
その暴漢に私を殺すように依頼をしたのが執事のロジーでした。
ご主人様はロジーの単独犯かドナが関わっているかは分からないと言っていましたが私はロジーがドナの忠実な下僕であるのを知っているので、ドナが関わっているのは間違いないと思っています。
私を殺すと言う事実に私は心底絶望してしまいました。殺される位に憎いのかと。怖く、悲しくなりました。
ですが彼等には感謝しなくてはなりません。だって貴方達のお陰で私はご主人様に会えたのですから。
ご主人様は私に彼らをどうしたいか聞かれました。私を殺そうとした人達ですが私に彼らを殺す覚悟はありません。ですがお父様には私をどう思っているのか直接聞きたかったのです。私を放置して距離を取っている以上期待は出来ませんでしたが、直接的に私に害のある行動を取っていた訳ではありませんから。
ご主人様にその話をすると周りの景色はお父様がいると言うローザリアに変わっていました。
そうなんです。ご主人様は非常識の塊だったんです。私の中にある常識はこの時から崩れ去っていきました。暴漢達の記憶を抜き取って映像を見せる魔法も凄かったですがどうやってお父様の居場所を探ったのか、どうやって一瞬にしてローザリア迄移動出来たのか?信じられない事ばかりです。
私の姉になるフィア姉様は私にご主人様はレッドドラゴンを一撃で倒すと自慢気に語っていました。レッドドラゴンって竜族の上位種ですよね?人間が勝てる相手なんですか?
ご主人様の話をするフィア姉様は本当に幸せそうでまるで恋する乙女のようでした。私は羨ましくなり、私もそうなりたいと嫉妬と、ご主人様は本当に凄いんだ、と言う尊敬の感情で一杯になってしまいました。
だって私が怖くて泣いてる時に助けてくれるなんて惚れても仕方ないと思うんです。それに優しくてとっても強いですし、素敵です。
ご主人様はお父様と話の場を設けてくれました。
お父様は最初は心配してくれていましたが話が進むにつれ私の存在が邪魔だと言う話になりとうとう軟禁すると言い出しました。
それに怒ったご主人様は私を引き取ってくれるようにお父様に話てくれて私はご主人様のメイドになったのです。
僅か数時間前に会った人に私は助けられ恋をした女がその人のメイドになるんです。感動です。もう一生を捧げて尽くすしかありません。私もフィア姉様に負けないようにご奉仕するつもりです。
その後ダンジョンに行きました。どうやらご主人様は空間転移と言う魔法で行った事のある場所を自由に行き来出来るみたいなのです。薄々分かっていた事とは言え改めて凄いと思います。だってそんな魔法を使えるなんて話、聞いた事もありませんから。
ですがまだまだ驚きのオンパレードです。巨大なゴーレムやオーガ、サイクロプスと言った魔物をご主人様は一撃で倒してしまうのです。
ご主人様強すぎです。
そして私に沢山のスキルを授けてくれました。私が魔法を覚えられるなんて自分でも信じられません。えっ?メイドのご奉仕スキルってご主人様、そう言う事ですよね?
そしてご主人様はカルーアダンジョン最下層55階層のフロアボス、レッドドラゴンのいる部屋に案内してくれました。
正直私がご主人様からレベルや職業を授かっていなければレッドドラゴンの威圧だけで死んでると思います。ですが今の私には少し強い程度の圧力を感じるだけで全く怖くありませんでした。全長25mもあるレッドドラゴンをです。
それには私自身が信じられません。
そしてそんな巨大なレッドドラゴンを片手で捻り潰すご主人様。信じられない光景です。レッドドラゴンは何もしていません。
フィア姉様の大げさに盛った話では無かったのです。ごめんなさいフィア姉様。本当かなって少し思ってました。私もそんなご主人様が欲しいなーって思って聞いてました。
そしたらそんなご主人様が出来ちゃいました。
「凄いだろ」
そう言うご主人様は出来て当たり前と言った感覚でしかないようです。
凄いですよ、本当に!
いえ、凄いなんて言葉じゃ表せないないくらいです。
その日ご主人様との初めてを迎えました。フィア姉様も勿論一緒です。
その日のご主人様はとっても優しかったです。最初は。その後はちょっと言葉では言えません。でも一晩中ご奉仕できた私はとても幸せです。
これからフィア姉様と一緒にご主人様を精一杯支えていきます。そして私は
フィア姉様に負けません!




