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ミィのダンジョン体験学習

 カルーアに戻って来たが時刻は2時過ぎ。


 まずは宿に戻りミィのメイド服を仕立てる。その後少しダンジョンに行ってミィのレベルを上げて来るか。


「一旦宿に戻るぞ」


「はい、旦那様」

「はい、ご主人様」


 2人の返事を聞いてから空間転移で宿の部屋に飛んだ。部屋の中は生活で使う必要な荷物は置いてあるが別に取られても痛くない物だけだ。貴重な物はアイテムボックスに収納されている。


「ここでこれからミィも生活する。フィア」


「はい、旦那様」


 フィアに部屋の中にある家具をミィに説明させる。部屋にある照明の魔道具は明かりがあまり強くないのだ。ゴブリン等からドロップする小さな魔石を使っている為だ。俺は錬金術でオーガからドロップした魔石を素材に照明を作った為、明るく長時間の使用ができるのだ。勿論ツマミで明るさの調整も可能だ。


 この世界の魔道具はまだまだ改良の余地が多分にある。そもそも魔道具自体にあまり良い素材が使われていないのも原因だ。それだけ冒険者のレベルが低いのか錬金術のレベルが大した事ないのか。


 ダンジョン25階層にある岩石エリアは今や温泉のテーマパークだ。


 ミスリル鉱石やオリハルコン鉱石は完全に熱や冷気を遮断する。これは温泉に使えない。だがこのエリアにある岩石は質も良く温泉にぴったりだったのだ。


 辺りの魔物を間引いて結界を張り、錬金術で一面を温泉地仕様に形成する。魔法でお湯をはりタンクを作ってノズルを繋げて魔石を取り付ければシャワーが出来る。


 こうしてダンジョンの一区画は別荘扱いになっているのだ。冒険者もやって来ないし自由に行き来できる。だが城に住む気はない。あれは失敗だったな。フィアが頑なに家を作るならあの城じゃなきゃ駄目だと言うもんだから「俺達には一緒になった時の思い出の宿があるだろう。街を出るまではここに住もう」と押し切り、結局宿生活になってしまったのだ。俺は普通の家で良いんだがな。


 フィアがミィに説明している間にミィのメイド服を仕立てた。ミィの小柄な体に大きく自己主張する魅力的な胸を大胆に着飾るメイド服だ。


 あれ?これは夜用かな?


 少し露出度が激しかった様だな。いかんな。結局フィアとお揃いのメイド服仕様に落ち着いた。


 ふむ、メイド姉妹のメイド服はこれでいいか。他にもミニスカメイドや巫女メイド、水着メイドなど各種、各色取り揃えているがフィア達の外出用には向かない。と言うよりフィア達の肌を他の男共に見せるわけにはいかない。これが元々開放的な格好をしている女性ならここまで躊躇いも無いのだが。


「これがミィのメイド服だ。これからはフィアがミィの姉だな」


「はい、旦那様。ミィ、よろしくお願いしますね」


「はい、ご主人様。フィア姉様、これからよろしくお願いします」


 着替えたミィのメイド服姿は素晴らしかった。ミィの可愛さが倍増だ。なに?なんなの?神なの?ってレベルでメイド服を着ると可愛いさのレベルが上がる。このまま食べたいのを我慢して、当初の予定通りダンジョンに向かうことにした。


 その前に最初が肝心だからな。ミィに宣言しておく。


「ミィもこれで俺のメイドだな。フィア共々俺に尽くせ」


「はい、ご主人様! 地上全ての王で有りこの世の神であるご主人様に生涯の忠誠を誓います。この命尽きるまでどうかこの身をお使い下さい」


 ん?王? 神? フィアめ、そこまで説明したのか。全く、忠誠も過ぎると大変である。そこもまた可愛いのがいけない。俺が何も言えなくなるじゃないか。


「ああ、当然だ。ミィはもう俺の物だからな」


「はい、ご主人様!」


 ミィを抱きしめてから口づけをする。ミィもフィアと同様これから俺を神と崇めるのかもしれないな。


 だが俺は神ではない、ただのメイド達の主人なのだ。








 ダンジョン25階層フロアボス、ミスリルゴーレムと対峙する。


 ミィにも経験値を「能力共有化」により上がるように設定してある。いきなり強力な魔物を相手にするのは危険なので少しずつならしていくのだ。


 勿論職業もメイド職を全て揃えてフィアと同様の完全メイド(パーフェクトメイド)と化している。


「ブオォォォォォォォォ!」


 鈍重な声が響き渡りミスリルゴーレムが威嚇して動き出す。


「あれがミスリルゴーレムだ。見ての通り物理防御も高いし魔法も効きづらい魔物だ」


「ミスリルゴーレム、大きいです。それにミスリル鉱石はかなり貴重だと聞いた事があります」


 ミスリルゴーレムは3mを超える大きさだ。巨大な魔物を初めて見たら普通は怖がると思うがミィは一切動揺していない。なかなか度胸のある娘だったんだな。


「ミィ、見ていろ」


 迫るミスリルゴーレムに右手を翳して手を握り込む。ミスリルゴーレムの周囲に張られた円球状の空間が、ミスリルゴーレム諸共一瞬にして圧縮されてドロップアイテムに変換された。


「凄い! 凄いです、ご主人様!」


「旦那様なら当然です。レッドドラゴンですら同じ様に一撃で倒されるのですから」


 自慢気に語るフィア。素直に驚くミィ。


「本当ですか! やっぱりご主人様は凄いですねフィア姉様!」


「ええ、旦那様は凄いんです」


 仲良いな2人共。ミィにもレッドドラゴンは一撃で倒せると話した筈だが、目の前で見て実感が湧いた感じか。


「え? え? ご主人様? 私沢山スキルが!」


「ミィ、説明したでしょう。旦那様の神の力によってあなたに複数の職業を授けられたのです。スキルはレベルが上がれば解放されます。この力で旦那様を支えていくのです」


「! はいフィア姉様!」


 ミィのレベルがミスリルゴーレム1体で42迄跳ね上がった。このステータスならレッドドラゴンの威圧で気絶する事は無いだろう。


 次は28階層フロアボス、ツインサイクロプスにするか。こいつは頭が2つ、腕4本でやたらでかいと言う力自慢の魔物だ。大きさも5mもあると中々圧倒されるものだ。


「ガァァァァァァァォァ!」


 ツインサイクロプスの雄叫びは威圧効果が高いが、ステータスが高くなったミィにはただ五月蝿い声にしか聞こえない。


「凄い雄叫びです」


「ああ、うるさいだけの魔物だ。ミィ、お前にはフィアと同じ力を授けた。今からフィアにこいつを倒させるからよく見てフィアからどうやるのか教えて貰え。フィア」


「はい、旦那様」


「分かりました、ご主人様」


 フィアには魔法を使って倒す様に指導している。矢は消耗品で買い足さないといけないが、魔法ならば魔力が尽きない限り使い放題だ。それに実践レベルになると魔法の方が遥かに優秀なのだ。弓でも強力な攻撃はあるが威力も飛距離も中途半端だ。


「ミィ、よく見ていなさい。あなたも旦那様から魔法を授かった筈です」


「はい、フィア姉様」


 フィアはツインサイクロプスに向かって無詠唱で風魔法の真空刃を放つ。


 ツインサイクロプスは2つの首を胴体から落としてドロップアイテムに変換される。流石の再生能力も首が2つ落ちれば効果はない。


「ミィにも同じ事が出来る筈です。やってみなさい」


「はい、フィア姉様」


 ミィはフィアに言われて魔法を発動する。風魔法のエアカッターだ。エアカッターは石の壁に巨大な直線の傷を作った。


「凄い、私が魔法を」


 初めての魔法の行使にミィは興奮している様だ。


「やるじゃないか。初めてでこれだけ強い威力で魔法が使えるなら才能があるぞ」


 ミィを褒めながら頭を撫でてやる。正直職業を3つ付けているミィなら当然の威力である。


「ご主人様ぁ」


 ミィも幸せそうに目を細めて気持ち良さそうだ。褒めて伸ばすのが俺の教育方針だからな。


「旦那様ぁ」


 こっちの拗ねたエルフメイドにも同様に頭を撫でてやる。フィアも気持ち良さそうだ。


 こうしてダンジョンで穏やかな時間を過ごしながらレベルを上げて行くのだ。







 そして当初の予定通りに最下層55階層フロアボス、レッドドラゴンと対峙する。


 既にミィはレベル85まで上がっている。俺とフィアは2しか上がらなかったが。いくら400倍でもレベルが上がると莫大な量の経験値が必要になり、雑魚をいくら倒しても上がらないのだ。その点レッドドラゴンは1体で確実にレベルが上がるボーナスモンスターだ。これからお世話になる魔物なのだ。


「グオォォォォォォォォォォォ!」


 レッドドラゴンの咆哮は正に魔物の覇者に相応しい圧力を感じる。他の魔物とは格が違うのだ。そんなレッドドラゴンもミィには。


「初めてレッドドラゴンを見ましたが、その、確かに大きくて強いのでしょうが想像以上の圧力感はありません」


 そりゃそうだ。既にミィはレベル85で、最上位職を2つ、上位職を1つ付けているから実質通常職の冒険者の5倍のステータス差があるのだ。つまり通常職で言えば実質レベル400以上はある事になる。威圧?効くはずないだろう?


 だがミィ、レベル3で対峙したら威圧だけでショック死するからな。


「それは旦那様がミィに力を授けて頂いたお陰です。ステータスをご覧なさい」


「! 凄い上がってます!」


 おい! 確認してなかったのかよ。まぁいい。


「よく見てろよ、ミィ」


「はい、ご主人様」


 いつも通りにレッドドラゴンに空間圧縮を発動する。ステータス値が低ければ弾かれるかも知れないが25000を超える魔力を持つ俺の空間魔術をレッドドラゴンはレジスト出来ない。


 巨大な翼が歪み球体が体積を無視して圧縮されていく。限界を超えて圧縮されたレッドドラゴンはドロップアイテムに変換される。


「どうだ、一撃だっただろう」


「はい!本当に凄いです!」


 流石に25mもあるレッドドラゴンの圧縮劇は見応えがあるからな。ミィも大満足だ。フィアもミィを見て頷いている。


 引き続きレベル上げに励みますか。




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