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ミィセン・オロトス

 

 ダンジョン攻略が始まり1週間が経ち、カルーアダンジョン最下層、55階層のフロアボス、レッドドラゴンレベル89を倒したのが今日だった。


 レッドドラゴンのドロップアイテムは豪華で、レッドドラゴンの爪、牙、鱗、血、そしてボーリング玉程ある、巨大で真っ赤な魔石だった。


 巨大魔石、「レッドドラゴンの紅玉」。これに込められた魔力は相当な物だ。


 街中で爆発させたら軽く街が吹っ飛ぶな。危険極まりない。


 最下層なのでこれ以上の階段はなかった。本来ならカルーアダンジョンのラスボスなのでかなり強い筈なんだがレベル257ある俺の空間圧縮の前に、儚くも一撃で出番を終えた。レッドドラゴンを1体倒しただけでレベルが5も上がり262になった。ドラゴン種は経験値が美味しい、その上、上位種であるレッドドラゴンは経験値スキルもあって最近上がりにくくなったレベルも簡単に上がる。30分のクールタイムさえ無ければぶん回る所だ。


 フィアも俺とのレベル差はほぼ無くなり今回で260迄上がっている。フィアには弓系統と魔法系統の職業を全て与えてある。しかし賢者や空間魔術が与えられなかったのはやはり何か満たさなければいけない条件があるのだろう。それでもステータスチートによって弓の威力だけでなく魔法もとんでもない威力を誇る。職業は変わらずメイドだが。


 美味しい狩場も出来てフィア共々一週間もかければレベルも300は軽く届きそうだ。


 取り敢えずもこれでダンジョン攻略も一区切りはついた。今日はフィアとデートにでも出かけて英気を養おうか。


「フィア、今日はダンジョンはやめて遊びに行くか」


「はい、旦那様」


 フィアは可愛い。フィアが今着てるのは俺のお手製のメイド服だ。可愛いフリルが沢山付いていながらも露出は控えめで丈の長い上品な仕上がりだ。フィアが着ると、うん、実に良い!


 フィアはメイドなので当然常にメイド服を身に付けている。寝るときだって当然だ! (夜用のメイド服だが)


 それくらいフィアはメイド服が好きなのだ。俺も大好きだ。それにしても、


「フィアは可愛いな」


「旦那様」


 つい褒めてしまうのは仕方ない事だろう。フィアも嬉しそうに甘えてくるし。


「フィアはどこか行きたい場所でもあるか」


 せっかくの休日だ。普段から働き者のフィアを労ってやらねば。


「それでしたら服を見に行きたいです。旦那様に選んで頂いてよろしいですか」


「当然だ。フィアをコーディネートしてやろう」


「はい!フィアをこーでぃねぃと、して下さい」


 分かっているのかどうか。意味は通じたようだが。これからフィアをこーでぃねぃとしに行きますかね。








「旦那様、こちらはどうですか?」


「ああ、確かにいいな。しかしフィアはそう言うのが良いのか」


 フィアが連れて着たのはランジェリーショップだった。確かに服か。そして今フィアが試着しているのはセクシーな大人の下着だ。


「はい、旦那様が好きみたいなので喜んで欲しくて」


 確かに大好きだが。それはもう喜びますよ?いや、しかしせっかくのフィアの期待に応えねばなるまい。


「確かに良い、だがそれならフィア。こっちを着てくれ」


 そう言って片手に握ったそれをフィアに差し出す。


「旦那様、これ紐、面積も小さいですね」


 フィアが照れながら着替えてくれたそれは正しく純白の天使の降臨だった。素晴らしい。試着したエロい下着はもれなく全てお買い上げする事になった。フィアへのプレゼントだ。







「実に良い店だったな。知ってた所なのか」


「はい、話しは聞いた事がありましたが行くのは初めてでした。旦那様に喜んで貰いたくて」


 はにかみなが言うフィアを思わず抱き締めてしまうのは仕方ないだろう。俺もどうやらフィアに女神の加護を食らってるのかもしれないな。


 幸せいっぱいに手を繋いで歩いていると路地裏から悲鳴が聞こえてきた。


 あまり近づきたくないが知らんぷりをするのもな。


「フィア」


「はい、旦那様」


 どうやらフィアも聞こえていたようだな。レベルが上昇したのに加えてメイド技能も上がっている。元々高い気遣いレベルも俺の視線で察する程だ。


 フィアと一緒に路地裏を走る。直ぐに声がした現場を見つけた。


「やめて下さい。あなた達は何なんですか」


「なんだ、分からないのか。お前は俺達に売られたんだよ」


「そう言う事だ。残念だったな」


 男達が少女に迫る。身のこなしはどうやら全くの素人と言うわけじゃなさそうだ。冒険者崩れか。


「まぁ待てお前ら」


 取り敢えず声をかける。こっちを向いた隙にフィアに少女を確保させる。


「なんだお前は。さっさと消えろ、殺されたいか」


「今からこいつを・・・どこに行った?」


「何をしたガキ!」


 少女が突然消えた状況に気づき声を荒げる男達。


「気にするな。それより何でお前らは彼女を襲ったんだ」


「ああっ、何言ってやがる。女はどこにやった。死にたくなきゃ答えろ!」


 どうやら答える気は無いらしいな。


「それでフィア、その子は大丈夫か」


 フィアに聞く。フィアは意図を察して少女に尋ねる。


「大丈夫ですか。怪我は無いようですが」


「はい、ありがとうございます」


「構いませんよ、所で何故ここで襲われたのですか」


「・・・分かりません」


 首を左右に振って知らないと言うが、その顔はどうやら訳ありのようだな。


「おい、てめぇら無視してんじゃねぇ!」


 男達が短剣片手に迫ってくる。レベル7しかないひ弱が何を言ってる。


 俺に斬りかかろうとするが懐まで入れる筈も無く、男達は倒れてイビキをかきはじめた。


 催眠魔法を発動して彼らには眠って貰った。平和的な処理をしてしまったが別に俺は彼らに恨みがある訳でもなく興味も無いのでわざわざ痛め付ける気も起きない。


「それじゃあこいつらに聞くか」


 彼等に精神系の索敵魔法を発動して記憶を探っていく。どうやらこいつらは碌でもない連中の様だな。この少女を襲ったのも依頼を受けたようだ。他にも人攫いや強姦など幾らでも悪事が出て来る。


 依頼を受けた現場を幻影と模倣の複合魔法でテレビ画面のようなスクリーンにだしてフィア達に見せる。


 画面では老執事が目の前で気持ち良さそうに寝ている男達に金を渡しながら依頼をしている所だ。


「それではくれぐれも失敗のなきようにお願い致します」


「ああ、わかったわかった。俺達が小娘1人やるのに失敗する筈ねぇだろ」


「ミィセンは奥様にとって目障りな存在でしかありません。奥様も御子息も我慢していましたがそろそろ限界のようでしてね。早く処分しなければなりません」


「俺達は貴族のごたごたなんて興味ねぇよ。金が貰えるならどんな依頼だって受けるぜ」


「それも女をやれる依頼なんて最高じゃねぇか」


「人攫いも悪くないが楽しむ時間がな」


「良いですね。失敗は許されませんよ。ミィセンには昼頃使いに出させます。そこで仕留めて下さい」


「ああ、たっぷり可愛がってやるから安心しろ」


 最低な言葉を口にしながら笑って金を受け取って立ち去って行った。


 映像を見た少女。ミィセンは顔を青くしている。かなりショックだったみたいだ。


「あの執事に心当たりはあるか」


 ミィセンは首を縦に振り答えた。


「あの男は男爵家の屋敷で働く執事です。私は・・・そこの三女になります。庶子の娘なので良くは思われていません」


 今分かるのはミィセンが言った言葉が全てだろう。彼女は男爵の妻から嫌われていて、妻が執事を使って依頼を出してミィセンを殺そうとしたのか。それとも執事が勝手に暴走したのか。どちらにせよ今が良い状況で無いのは明らかだ。


 洗脳魔法って力技で解決する事も出来るがミィセンがどう考えているかが重要だな。


 彼女の意思にそうものでないと意味が無いか。


「それでミィセンはどうしたいんだ。殺されかけた復讐でもするか」


「・・・わかりません。ただ、お父様とお話がしたいです」


 そう言えば父親は男爵だったな。ミィセンは貴族のお嬢様って訳か。それにしてはみすぼらしい服装だが。庶子の娘だとこうも扱いが酷いのか。せめてメイド服を着せてやりたいものだ。ミィセンならきっと似合うだろうな。いや、それは俺の趣味か。


 ミィセン・オロトスの父親。マップ上でオロトスで検索してヒットした7件の中にライオット・オロトスがいた。


 ライオット・オロトス男爵。34歳の若い当主だ。今は隣街のローザリアにいるようだ。


 想像はしていたがミィセンの母親はヒットしなかった。


 縋れるのは父親だけか。良い父であって貰いたいものだな。


「どうやらローザリアにいるようだな。どうする、行くか?」


「! はいお願いします」


 そう言ってミィセンは頷いた。なら力になってやるか。今日はちょっと寄り道をしようか。




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