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ダンジョンを進む

 ベッドの上で目を覚ますとフィアが挨拶をしてくる。


「んぅ、旦那様。おはようございます」


 フィアの挨拶は朝からとても濃厚だ。こっちもフィアに応えてやる。


「おはようフィア」


 朝はフィアを優しく抱き締めながら頭を撫でるのが日課になりそうだ。


 悪戯心が芽生えてフィアの細長い耳を咥える。


「ひゃん」


 フィアは耳がとても弱いのだ。


「ん〜、だんなさまぁ」


 普段の出来る女のフィアもいいが、甘える女の子のフィアも可愛いのだ。


 フィアを愛でながら今日の1日が始まった。






「旦那様、今日はどう過ごされるのですか」


「今日もダンジョンに行くぞ。昨日は15階層まで行ったからその続きからだな」



 15階層までの階層ではフラワーバタフライやキングビー、カラーマンティスなどがいた。


 特にフラワーバタフライは「絹(極)」と「フローラル」の2つのアイテムをドロップした。絹はメイド服の素材に出来るしフローラルは上品な香りの香水でフィアによく合う。勝手に大量に貯まったから全てフィアにあげたら


「旦那様!フローラルは換金すれば金貨1枚になる高額な物ですよ、こんなに貰えません!」


「まじか!バタフライ1匹が金貨1枚ってみんな大金持ちになるじゃねぇか!」


「・・・旦那様、この階層にバタフライを狩る冒険者はいらっしゃいますか?」


 マップを確認する。


「・・・いないな」


「はい、特に危険な魔物ですので」


 そうなのだ。キャタピラーの上位種であるフラワーバタフライは鱗粉を風魔法で撒き散らす。鱗粉は幻覚、催眠効果があり耐性が無ければ出会っただけで即死級の魔物なのだ。


 対策に風魔法を使える魔法使いを連れて来るかしなければいけないが、風魔法をチーム全体を広範囲に展開出来る程の使い手がどれ程あることか。


 故に倒せるのは高ランクの冒険者で耐性持ちや魔法使いがいるなどの対策が出来るチームに限られるのだ。結果アイテムの値段が高くなるのだ。


「じゃあ「絹(極)」ってかなり高いんじゃないのか」


「はい、旦那様。そうなんですが違います。普通は「絹(上)」がドロップします。「絹(極)」がドロップするのは旦那様だけです」


 それはつまり最高の品で最高のメイド服を作れるという事か!最高じゃないか!


 やはり俺のフィアには最高のメイド服を着てもらわねば!


 俄然やる気が出てきたのだ。








 18階層に入り森林エリアに沼地エリアが加わり人型のトカゲの魔物であるリザードマンが出現する。


 森林エリアには新しくフォレストウルフとオーガが追加された。


 1フロアは広いと言っても魔物の種類が多い為、魔物同士で戦わないのかと思ったが、魔物はそれぞれの縄張りがあるので喧嘩はしないみたいだ。


 オーガとフォレストウルフの集団、いい勝負をしそうだが。


 魔物のレベルは25前後だ。オーガが28と少し高いくらいか。


「取り敢えずオーガでも倒してみるか」


「はい、旦那様」


 フィアを引き連れオーガに会いに行く。オーガって何をドロップするんだろうな。肉は何となく嫌だな。なんか強い武器をドロップしないだろうか、使う訳ではないが。なんとなく欲しくなるよな。


「ヴオォォォォ!」


 オーガは結構大きかった。5m12㎝はあるな。細かい?スキルの所為か知らないが何故か分かるのだ。オーガの威圧スキルも中々の迫力だ。そのまま走って迫ってくるが。


「圧縮」


「ガァッ!」


「素敵です、旦那様」


 オーガは止む無くドロップアイテムに変換された。俺が戦うと戦闘ってなんだろう?って感じになるよな。戦ってる感がないんだよな。一撃で終わるし。フィアはいつも賞賛してくれるし。


「フィア」


「はい、あっ、んっ」


 フィアを抱き寄せキスをして解放する。普通ならそんな余裕無いだろうがこれは流石にチート過ぎる。他の5人(女神の使徒)もこんな感じなのだろうか。


「ドロップアイテムは何だ」


 オーガを倒して変換されたアイテムを確認する。そこには大きな声で石が転がっていた。


「魔石か」


「はい、旦那様。オーガのドロップアイテムは魔石です」


「これだけか」


「はい」


 そうか、石だけか。こんな石ころになんの価値があるんだ、全く。武器がドロップするんじゃなかったのか?(誰も言ってない)こんな物捨てちまえ。


「オーガの魔石は何に使えるんだ?」


「これ程大きな魔石は通信魔道具などの特別な魔道具に使われますから換金すればかなりの額になると思います」


 そうか、まぁ金になるならいいか。






 20階層は岩石エリアだ。ゴーレム系の魔物が沢山いる様だ。他にはストーンパペットやストーンスライム。ロック鳥はどうやって飛んでるんだろうな、重くて墜落しそうだが。いや、他の魔物も大概だがな。


 さて圧縮、圧縮っと。


 次々にドロップアイテムに変換されていく魔物達。本来なら緊張の連続の筈だが俺がやるのは作業みたいだな。


 マップを開いて配置を確認。魔物を倒してフロアボスの部屋まで空間転移で移動する。僅か15分から20分の作業で1フロアを攻略していく。


「フィア、普通はワンフロアを攻略するのに時間はどの位掛かるんだ」


「高ランクのパーティーなら低階層であれば1時間〜2時間位です。ここは中階層ですから5時間は優に掛かると思います。それに帰る時の余力も残さないといけませんから深い階層に入れる冒険者は少ないです。僅か10分程度で攻略できるのは旦那様以外不可能です」


 そう言えばそうか。誰でも空間転移出来る訳じゃないからな。なら高ランクでも15階層迄の距離を単純計算でワンフロア1時間として15時間もかけるのか。


 大変過ぎるな。俺は一瞬なのにな。


「そうか、冒険者ってのは大変なんだな」


「それを物ともしない旦那様が凄いのです」


 フィアは俺の太鼓持ちだな。本心で言ってくれてるから悪い気はしないがな。







 25階層のフロアボスはミスリルゴーレムだった。


 ミスリルゴーレムは魔法耐性を持っていて尚且つ物理防御も高い。レベルも38あり面倒な相手だ。高火力のスキルを持つ仲間が居なければまず倒せない初見殺しの魔物だろう。


 残念ながら俺には圧縮されてアイテムになったが。


 ドロップアイテムの「ミスリル鉱石」はかなり大きくてフィアが「これ1つで家が建てられます」と言ってたから創造魔法があったから発動して家を建ててみた。


「旦那様!」


「ああ、まさか俺も出来るとは思わなかったよ」


 目の前には家と言う名の城が出来ていた。俺はぼんやりしたイメージで作ったんだが、勝手に補強されたのかその作りは細部まで細かく作られていた。


 凄いな、これは確かに凄い。そしてかなりの量の魔力を使った。MPを1000近くも消費するとか大魔法になるぞ、空間圧縮でも50だからな。


 面白そうだから中にも入ってみた。中も間違いなく城そのものだった。部屋も沢山あり、100人規模でパーティーを開ける程広い会場もある。玉座の間も置かれてありこれ誰が座るの?って感じの巨大な椅子が鎮座していた。


「旦那様がここに座るのですね。素敵です!」


 笑顔で言うフィアを無言で撫でながらここには座る事は無いなと思うのであった。


 俺が王になっても統治なんて出来ないからな。そんなの部下に丸投げだ。その時はフィアに全てお任せだな。きっと全力でやってくれるだろう。







 ダンジョン攻略は問題無く進みフィアのレベルも93迄上がっている。そろそろフィアにも戦わせてみるか。


 35階層のフロアボス、キングミノタウロス。レベル52でミノタウロスの上位種だ。見た目通りパワータイプの魔物なので接近して攻撃してくる。


「フィア、戦ってみろ」


「はい、旦那様」


 フィアは俺より前に出て、アイテムボックスから取り出した自分の弓を構える。弓の矢が淡く光る。必中スキルと貫通スキルを発動させたみたいだ。


 必中スキルは命中補正だ。必中スキルと言いながら必中ではなく確率上昇スキルだ。貫通スキルはその名の通り矢の貫通力を高めるスキルだ。単純に威力が上昇する。


「はっ」


 矢は高速でキングミノタウロスの頭に命中し大きな頭を吹き飛ばす。貫通ではなく爆散した。


 自身が放った矢の威力にフィア本人が唖然としている。流石にこれだけの威力を自分が出せるとは思わなかったのだろう。ステータスは上がっていても実感はしてなかったと言う所か。


 フィアのステータスは軒並み5000を超えてるからな。素手でも殴り殺せそうだな。


「いいな、やるじゃないか」


 褒めて伸ばすのが俺のやり方だ。フィアは珍しく呆けていたがはっとしたように気を取り戻して真面目な顔で。


「旦那様のお陰です。こんなに強くなれるなんて思っていませんでした」


「それならフィアのお陰だな。俺はフィアが大好きだからな」


「旦那様!」


 フィアの戦闘能力は充分そうだな。これなら問題無く進んでも良さそうだ。


 カルーアの最下層は何階なんだろうか。暫くは楽しめそうだ。


 フィアを撫でながら思うのだった。




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