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メイドが生まれた日

 今回の件でお金が大量に手に入った。当分は金に困る事は無いだろう。


 とは言え別に困らない程度に有れば俺は構わない訳で今回の様に大量に請求したのはギルドマスターであるガランを困らせる為である。きっとこれを機に反省しているだろう。



「そういえばフィアは寮に住んでるって言ってたよな」


「そうです。でも出て行かないといけないですね」


「それじゃあ荷物を取りに行くか」


「旦那様、確かに少なくとは言え一度には運べません。処分しないといけない物もありますし」


「問題ない。行けば分かる」


 俺はそう言ってフィアに寮まで案内させる。フィアはそれ以上何も言わずに従ってくれた。


 ユニークスキル「能力共有化」


 俺のスキルをチームを組んだ仲間で共有する事が出来る。基本的経験値能力をチーム全体で共有する為の物だったがアイテムボックスでも使える筈だ。


「旦那様、此処です」


 フィアに案内されて部屋に入る。綺麗に片付いた無駄の無い部屋だった。確かに余計な物は置いてないんだな。


 部屋には強そうな弓が置いてある。フィアはエルフ弓術士だもんな。


「フィア、アイテムボックスを使ってみろ。イメージすればスキルが使える。収納は触れてる物、取り出しは頭に収納されてる物のイメージが浮かぶからそれで選べば取り出せる」


「旦那様、ですが私はアイテムボックスのスキルを持っていません」


 頭を振るフィアだが


「今俺がフィアにスキルを授けた。問題なく使える筈だ」


「っ!?」


 俺に言われフィアはでは、と机に触れてアイテムボックスを発動する。触れていた机は見事に収納された。


「っ! 凄いです旦那様!」


「使えただろう。この事は誰にも言うなよ」


「はい、勿論です。旦那様!」


 アイテムボックスがどれ程有能な能力か言うまでもないだろう。フィアが言うには商人も固有の収納スキルがあるらしいが、収納スペースはかなり狭いようだ。無限収納は正しくチートスキルなのだ。


 アイテムボックスを使えるようになったフィアは次々と荷物を収納していく。楽しそうだ。


 ん、これは。


「あっ! 旦那様!」


「どうしたフィア」


「その、私の下着で、遊ばないで下さぃ」


 声が小さくなりながらも必死に訴えてきたので仕方なくフィアに渡す事に。


「いい下着だな。今日はそれを着けてくれ」


「・・・はぃ、わかりました」


 顔を赤くしながらも頷いてくれる。


 フィアは素直で可愛いのだ。








 寮を引き払った以上は住む場所が必要だ。金はあるがこの街に定住する気は無いので宿を取る事にした。


「フィア、宿は何処がいい。やっぱりツバメの宿か」


 ツバメの宿はフィアのおすすめで泊まった宿だ。値段は知らない。フィアが払ってくれたのだろう。お金はあるし、幾らか預けておくか。


「そうですね。値段も良心的で質も良いのでこの街では1番かと。勿論お金を出せばそれ以上の宿もありますが」


「成る程な。そういえばフィアが宿の代金を支払ってくれたんだろう。フィアに預けておくから必要な分はこれから使ってくれ」


 そう言って手に入れた金貨の一部、金貨100枚をフィアに渡す。


「足りなくなれば言ってくれ」


「こっ、こんなにですか。宜しいのですか」


「当然だ、金の管理はフィアに任せる」


「はいっ!お任せ下さい!」


 フィアは嬉しそうに返事をした。お金を預けるのは信頼の証だからな。フィアも頼られて張り切ってくれるだろう。


 俺はフィアに面倒事を押し付けただけなんだがな。


 フィアおすすめのツバメの宿に到着し受付を済ませる。


「まさかフィアラルちゃんに旦那が出来るなんてね。頑張んなさいよ」


「はい、勿論です。旦那様の為に全身全霊を尽くします!」


 宿の店主の奥さんはフィアの知り合いだったようだ。フィアと仲良く話していた。



 フィア、頑張るのは良いが無理の無い範囲でな。









 宿も取れたし早速ダンジョンに行こう。フィアもアイテムボックスに弓は収納してあるし装備も問題ない。


 だが俺はフィアに確認する事があった。


「フィア、チーム編成はどうするんだ」


「はい、旦那様。頭の中で意識すれば送りたい相手にチーム申請が出来ます。相手が承諾すれば完了です。結果をステータス画面で確認出来ます」


 ふむ、成る程。そして未だ受付嬢口調が抜けないフィア。いや悪くないな。メイド服を着せればもっと合うんじゃないか?


「良し、作ろう!」


 俺好みのふりふりの可愛いメイド服だ。フィアに似合うに決まってる。


「? 何をですか?」


 フィアは頭に?マークを浮かべているが完成したら泣いて喜ぶに違いない。


「いや、こっちの話だ。それでこれでいいのか」


「はい、受付出来ました。ステータスでも確認出来ます」


 こっちでも確認出来るな。


 フィアラルレベル29 エルフ弓術士


 これで試せるな


 実はレベルが上がってから女神の使徒の職業選択に「仲間職業選択」が増えていた。


 フィアのステータスには



 フィアラル


 職業 エルフ弓術士


 選択可能職業あと2まで選択可能



 と書かれているが選択出来る職業が空欄になっている。これではなにも選択出来ない。


 バグったのか。いや、待てよ。


 俺は「能力共有化」スキルでフィアになって貰いたい職業をイメージした。すると。



 フィアラル


 職業 エルフ弓術士


 選択可能職業あと2まで選択可能



 メイド・上級メイド・特級メイド・万能メイド


 戦闘メイド・暗殺メイド



 メイド系の職業が表示されたのだ。


 メイドの職業はこれで全てなのか。自分の職業欄を確認するがこれで全てのようだ。何故か俺もメイドの職業を持ってる謎仕様だが。


 恐らく俺はこの世界で就ける職業を全て持っているのだろう。何故なら俺は魔族でも獣人でも龍族でもないのに、魔王だの獣王だの龍王だの、どんな王様にも就く事が出来るのだ。ステータスの上ではだが。


 早速フィアの職業をメイドに変更する。


 職業の大きなメリットは2つある。1つはステータス補正だ。当然上級職程ステータスは高くなる。剣士なら筋力が、魔法使いなら魔力がと言った具合だ。


 そして2つ目が職業補正だ。これは単純に職業が剣士なら剣の扱いが上手くなる。魔法使いなら魔法のコントロールの精度が上がるなど単純ながら効果は高い。つまり職業を3つもメイドにするフィアはそれだけでメイド技能が格段に上がるのだ。


 そして完成したのが特級メイド・万能メイド・戦闘メイドの職業に就いたフィアだ。


 フィアはこれから最高のメイドになるのだ。



 因みにだか「能力共有化」スキルを使ったが、フィアを勇者や魔王には出来なかった。恐らく特別な職業は何かしらの条件があるのだろう。


 







 フィアが就いていた職業はエルフ弓術士。エルフ固有の職業で上位職になる。


 固有職だが並の上位職とステータスは変わらない。


 だが勇者や魔王と言った固有職(ユニーク職業)の最上位職はステータスが突出している。同じ最上位職の賢者や剣聖を上回るステータスなのだ。


 恐らくは魔族で1人など持てる条件の厳しい職業はステータス補正も高くなるのだ。


 まぁ魔王ってだけでラスボスってイメージがあるからな。


 そしてフィアは上位職の戦闘メイド、最上位職である特級メイドと万能メイドの統合したステータスになる。それは以前の約5倍程のステータスだ。


 以前が300前後のステータスがいきなり1500を超えるんだからかなりの戦力強化になるよな。ゲームのパワーバランスをぶっ壊す力技だ。この反則をチートと言う。


「フィアにはこれから俺のメイドとして頑張って貰う事にした」


「旦那様?」


 突然の宣言に戸惑うフィア。だがこれは決定事項だ。異論は認めない。


「ステータスを見てみろ」


 俺に言われて確認したフィアは、自身の職業が戦闘メイド、特級メイド、万能メイドに変わっている事に驚く。


「旦那様! 職業がメイドになってます。しかも3つもメイドの職業に就いています!」


「ああ、俺の能力でフィアの職業をメイドにした。上位職が1つと最上位職が2つだ。ステータスがかなり上がってるだろう」


「はい、まさかそんな。ステータスが1500を超えています。今迄300だったのがこんなに上がるなんて凄いです!」


「これが俺の能力だ。今のフィアに勝てる奴はそうはいないだろうな」


 自慢気に言う俺。


「ありがとうございます!旦那様!」


 素直に喜ぶフィアが可愛いくてつい抱き締めてしまう。くすぐったそうに胸に顔を埋めるフィアを撫でて和む。


 往来の中だが気にせずに今の幸せを楽しむのだ。


 そして思う。





 早くメイド服を用意しなければ!



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