表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
38/49

第三十八話 カゲの正体

「ふーっ……ここが今日のパーティー会場か? 随分としけた雰囲気じゃねえか。ほれ、特別ゲストが来たんだ。酒の一杯でも出しやがれってんだ」


「ユリウス様!? どうしてここに!?」


「僅かだったが、奇妙な魔力がこの国に入ってきたのを感じてな」


 魔力を感じる……?

 私にはよくわからないけど、ユリウス様ならわかるのかな?


「おや、その時点で気づかれていましたか。聖女の魔力の中なら、絶対に気づかれないと踏んでいたのですが」


「そこらへんの連中なら、わからねーだろうけど、ワシは天才だからな。それに……肉親のことがわからない奴が、どこにいやがる?」


「に、肉親? ユリウス様、いったい……」


「ほれ、うら若き乙女が疑問に思ってんぞ。いい歳して、疑問一つにも答えられないほど、落ちぶれたのか?」


「相変わらずですね。いいでしょう」


 マントの男は、ふっと小さく笑いながら、マントのフードを取ると、どことなくレオン様やユリウス様に似た、知的な男性の顔が外界に晒された。


「……まさかとは思っていたが、やはりか。これが悪夢なら、さっさと目覚めて、気分転換に一杯飲みたい気分だな」


「そんな寂しいことを仰らないでください。今のこの体なら、いくらでもお付き合い出来ますよ?」


「下戸のお前がか? 冗談じゃねえ。てめえとそんな時間を過ごすくらいなら、研究をしている方が、百万倍有意義だ」


「ユリウス様、知り合いなんですか?」


 気になりすぎて、話の間に入って聞いてみると、ユリウス様は小さく頷いた。


「奴の名は、ガイウス・ヴァルハザード……ワシの実の弟だ」


「えっ!?」


 ちょ、ちょっと待って。私の聞き間違いじゃなければ……今、弟って言ったよね!?

 それに、ガイウスって……どこかで聞いたことがある名前……そうだ! いつだったか、社交界でその名前を聞いたことがある!


「あれ、でもおかしいですよ! 確か、ガイウス・ヴァルハザードは……十年前に、処刑されたんですよね!? もしかして、私の記憶違い……?」


「私についてお詳しいのですね、セシリア嬢。光栄の至りです」


「相変わらず、心にもないことばかり言いやがる。魔力体になっても、そこは変わらないのか」


「魔力体?」


「奴は人間じゃない。体の全てが、魔力で出来ている。簡単に言えば、意思を持った魔力の塊だ」


 人間じゃないってことは、オバケ!?

 魔力とか言ってるけど、結局のところはオバケだよね!? 私、オバケダメなのに~!


「ははははっ! さすが、我が尊敬するユリウス兄上! この短い時間で、私の状態に気づくとは!」


「隠すつもりもないくせに、よく言うぜ。付き合う身にもなれ」


「良いではありませんか。家族のスキンシップですよ」


「世界一気持ち悪いスキンシップだな。目的は……どうせくだらないものだろうから、聞く必要はないな。どうやってその状態になったかは知らんが……この場で改めて処刑してやる」


「あなたに出来るのですか? 」


「出来ないと言ったら?」


「ふふ……あなたなら言いませんよ」


「なら聞くんじゃねえよ」


 互いににらみ合い、一歩も動かない中、ユリウス様がほんのわずかに足を動かした瞬間、ガイウスは指を鳴らそうとした。

 しかし、その前にユリウス様は懐から薬を取り出して、それをばらまく。

 すると、植物のつるが生まれ、ガイウスを拘束しようとしたが、避けられてしまった。


「死角からの攻撃だったのに……あの人、戦いにかなり慣れているの?」


「ふふっ、生身の体を無くしたことで、身軽になったのかもしれませんね」


「生身……あの、あの人は何故処刑されてしまったんですか?」


「民とは仲良くってやり方だった兄貴やワシと、恐怖と武力で最強の国を作るやり方だったガイウスで、王家は二極化していてな。それがある日、ガイウスが強硬手段に出たことで身柄を拘束され、処刑された」


「死の谷から突き落とされた時は、流石にダメかと思いましたが……私は奇跡的に生還しました。しかし、体はもうダメだった。だから、私の全てを込めた魔力体を作り、後を託したです」


「しぶてーやつだ」


「そこまでして、王家として国を強くしたいんですか!?」


「それは、過去の私です。私今のの目的は、現王族を完全に破壊し、その後に世界を全て私のものにすること。この騒動は、始まりでしかありません」


「そりゃご大層な夢だな。ぜひもっと聞かせてほしかったが……時間切れだ」


 ユリウス様がそういった瞬間、部屋の扉がぶち破られ、私の愛しい人が飛び込んできた。


「……待たせたな」


「いや、良いタイミングだ、レオン。いまならカッコつけられるぜ」


「レオン様!!」


 レオン様が無事だったのも嬉しいけど、この状況で来てくれるのが、本当に心強いよ! もっと好きになっちゃう!


「おやおや、これは強力な増援ですね」


「お前は、昔から変わらないな。丁寧な物腰だが、本質では他人を見下し、ペラペラと喋って自分に酔い続ける。美学だかなんだがしらんが、だからお前は負けるのさ」


「品位を無くした時点で、全ての世界の王に立つ資格などありません」


「ちょっと、さすがに不味いんじゃ無いかしら!?」


「そうですね。流石に彼ら二人を相手にするのは厳しい。そろそろお暇しましょうか」


「ガイウス叔父上。あなたの魔法の腕は、存じております。しかし、俺の剣と叔父上の魔法薬から、逃れることはできない」


「ふふっ、成長しましたね。しかし……あなたには出来ない。ええ、この先もずっと……」


「それはどうかな?」


 吸っていた煙草の煙が、ゆらりと歪んだかと思った瞬間、彼らの足元に魔法陣が組み上がっていた。

 あれって、さっき私がかけられた、拘束魔法だよね?


「これで逃げられないだろう? さて、相手は魔力体だし、封印するのが手っ取り早いか」


「……ユリウス兄上は変わりませんね。しっかり手を回せても、肝心なところで詰めが甘い。だから……あなたは負けるのですよ」


 拘束魔法を受けたはずのガイウスは、一瞬でその場からいなくなってしまった。

 それから間もなく、私の前に現れると、光が体を包み込んだ。


「では、名残惜しいですが……今回の演奏はここまで。また次回を、お楽しみに」


「やっ、なにこの光!?」


「セシリア!! 手を伸ばせ!!」


「レオン様!!」


 光に包まれそうになっていた私は、急いでレオン様に向けて、手を思い切り伸ばした。


 ――しかし、その手は無情にも届くことなく、そのまま光に包み込まれ……意識を失ってしまった。

ここまで読んでいただきありがとうございました。


読んでいただいた方々に、お願いがございます。5秒もかからないので、ぜひ☆による評価、ブックマークをよろしくお願いします!!!!


ブックマークは下側の【ブックマークに追加】から、評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタッチすることで出来ます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ