S30型フェアレディZ
ドアを開け車内に乗り込む。
内装の黒やスピードメーター以外の色々なメーターの並んだダッシュパネルが其れがスポーツカーであることを主張している。
チョークレバーを引き、アクセルペダルを3回踏む。
これは”加速ポンプ”と言い、アクセルを急に踏む事により、キャブレターからエンジンのシリンダー内部に向け水鉄砲の様にガソリンがぴゅーっと送る装置だ。
急加速時にキャブがの燃料供給が追い付かない事の対策で付いてるものだが始動時にも抜群の効果を出す。
キーをオンにして耳を澄ます・・・・
キュイーーーン・・・・燃料ポンプがソレックスの40パイのキャブレターにガソリンを送る音だ。
ちょっとしてからアクセルをちょっとだけ踏みセルを回す。
キュルル・・・ブゥォォォォォォ・・・・
エンジンに火が入る。
まだエンジンが冷えているのでチョークは引いたままだ。
回転が上がってきたらチョークを戻していく。
令和の車であればそれは全てECUがやってくれるがこの車は昭和の50年代の設計の車なので自分の5感が頼りだ。
人間がエンジンの音、旧排気音を聞き、自分の手や足でエンジンと会話しながら車の状態を把握して運転を行わなければならない。
パワーステアリングもブレーキの倍力装置もない重いハンドルとクラッチとブレーキの車・・・・
そんな車なだけに男らしさを感じる。
チョークレバーを完全に戻しても安定したアイドリングになった。暖気完了だ。
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「おー、和、免許取れたんだって?おめでとな。んじゃZ取にりに行くべ、」
「忙しいのに悪いな、柔兄貴」
「別にいいよ、金貰ってるし、」
10日の誕生日に速攻で免許を取りに行き、急いで帰って来た。
早く自分の車に乗りたいからだ。
家に向かいに来てもらい、車屋の事務所に向かう。
車屋の駐車場の一番前には俺のZがもう出れるようになっていた。
「こんにちわ、」
「柔君の弟か、こんにちは、このZ当たりだよ。なかなか良い車を買ったね。」
「有難うございます。友達のお影ですねー。」
「きっちり板金して塗装しといた。綺麗に出来ただろ?」
Gノーズが付いたフロント。パテ埋めしてない黒のオーバーフェンダーとリアの羽根。
そして紫色に似たマルーン色に黒のツートンの塗装したてのぴかぴかなS30Zがあった。
「ワタナベの15インチのホイールにタイヤはP7。強化サスにカヤバのショック。こっちでアライメントは取っといた。」
「エンジン開けるよ?」ガチャン・・・
「エンジンはノーマルのL20エンジンだけどソレックスの40とタコ足ね。あと、パワーコイルが付いてプラグは希望通りのNGKのプラチナ。あと赤のプラグコード。」
「ソレックスもファンネルじゃなく弁当箱付けてごみ入らないようにしてセッティングもOK。ばっちり街乗りもできるよ。」
「うわー、超きれいで格好いい!」
「おー、すげえな。」兄貴もびっくりしてる。
「見てな?」店長さんが乗り込みエンジンを掛けて吹かす。
エンジンは1発で掛かりアクセルを煽るとキャブからの吸気音のが「クゥオン」「クゥオン」とする。
そして排気側とバランスが取れているようでアクセルと100%同調して排気音が「フォン」「フゥオン」と鳴く。
「うわー、レスポンスいいなー。」
「でしょ?、これキャブ40パイにして正解だよ。」
とても調子がよさそうで素人目でも分る・・・
「色々有難うございました。」
「こちらこそ、任意保険も入って貰って有難う。大事に乗ってね。後何かあったら店に連絡くれれば相談受けるよ。」
「はい。」
お金は兄貴経由で店に払ってある。保険だけ最終手続きしたけど。
「んじゃ俺忙しいから帰るわ、」
「あー兄貴、これ手間賃、夜家族で良い物でも食ってくれw」っと1万渡した。
「おー、気を使わせてわりーな、ま、何かあったら俺も相談乗るよ。今度Z乗せろよ?」
「おお。」
俺はZに若葉マークを付けて車に乗り込む。
「んじゃ有難うございました。」
「気を付けて、車大事にしてなー。」
店長が暖気をしてくれてたお蔭ですぐに出れる状態なのでセルをすぐ回してエンジンを掛ける。
カークーラーは付いているがこの時期の車はクーラーを使うと一気に馬力が落ちる。
なので窓を全開にする。
パワーウインドウまでなかったのでパワーウインドウキットをつけてパワーウインドウにしてある。
車のコンポのカセットデッキにレベッカの歌が入ったカセットを入れる。
そしてギアを入れて発進する。
やや硬めの足回りだが乗り心地はそんなに悪くはない。
窓の外からは排気音、車のコンポからは音楽が流れる・・・・・・
「これ、これだよ!!やっぱ車はいいわー!!!!!」
「おっし、晶子んとこ行くべ。」
晶子には車の納車は内緒にしといた。夜に遊ぼうと言って晶子の家近くで待ち合わせをしている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・むっちゃん、これどうしたの?」
「拾ったw」
「いや、祭りの時に言ってた車でしょ?取りにいったの?」
「そーそーw晶子を一番に乗せたくってな。まあ乗れよ。」
中からドアを軽く開けてあげる。
「・・・結構古臭いね。」
「うち親が車買ってくれる家庭じゃないからな。良い車は買えんwでも100万掛かってるぞ?」
「ひえー・・・」
「それにこの車は硬派な車だからな、こんなもんだ」
「後で後ろに縫いぐるみ置いていい?」
「あー、晶子のか、いいんじゃね?」
「あと土足厳禁じゃないんだね。」
「あれ面倒でしょw」
当時の車は家の部屋扱いみたいな所があって中はぬいぐるみ、内装はおしゃれにして土足厳禁で靴は靴置きトレーに置いてわざわざ脱いでいた車が多かったのだw
「ついでに土禁だと足の匂いする奴乗せると地獄になりそうだからな・・・・」
「・・・・」
晶子を乗せて車を走らせる。
「カセットどんなのあるの?」
「ボウイとレベッカ、あと何故か松田聖子もあるw」
「でも、新しい曲聞きたいなら以外とFMラジオが良いよ?」
「じゃあラジオ流しとこうw」
カセットを入れ替える。
夜は窓を開けたくらいがちょうどいい気温になっている。
車内のBGMはラジオから流れる聖子ちゃんw助手席には晶子。
運転しながらも色々と晶子の手を握ったり色々ちょっかい掛けている。
「むっちゃん…運転慣れてるねえ・・・・何このタクシーに乗った感?」
「気のせいですよwそれはそうと今日は何時に送ってったら良い?」
「えー、そんな私が邪魔?」
「んな訳ねえじゃんw一緒に泊まりたい位だけどお泊りセットないだろ?」
「・・・じゃじゃんwバックに入ってるのでしたw」
「んじゃお泊りコースで良い?」
「うん、」
国道を走り、高速の泉美インターチェンジに乗る。
ドアを閉めてクーラーを掛ける。
「うわー、涼しい。ところでむっちゃん、どこ行くの?」
「それは内緒だなw」
「えー、またエッチな所行こうとか考えてるんでしょw」
・・と「俺の」シフトノブに手を掛ける。
「やめれw変な気になっちゃうべw」
ラジオからは本田美奈子の歌が流れてる・・・・
「ワンウェイジェネレーション好きw」
「あー、本田美奈子可愛いよなー・・・」
「あ、浮気者だー!!」
「歌手は別枠だよーw」
「私も美奈子ちゃんみたいな感じにするかなー、」
車内ってのはバイクと違い話がちゃんと聞こえる。そしてペアシートみたいである。
そんな車内なだけに会話が弾む。
途中東京郊外のパーキングエリアに寄る。女性は男と違う為トイレはトイレだけじゃなく身だしなみ直しとかがあるのでマメに休憩することにしている。
「むっちゃん…トイレ」とか言わなくって済むようにってのもある。
「高速のパーキングってなんかワクワク感あるね。」
「ほら、小学校の遠足で帰りに毎回寄るからあのイメージのせいだよ。」
「あー、それそれw」
フランクと缶コーヒーを買って車内で食べる。フランクをかじる晶子がえっちだw
「むっちゃん・・・何見てるの?」
「いえ?何も・・・」
「なになに?こんな感じにしてほしい?それともこんなの?」
晶子さんがフランクを使いシュミレーションしている。晶子は基本ノリが良い。
「だーっはっはっはw」
思わず笑いが出る。
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湾岸線に入ったのでアクセルをやや開ける・・・・・
30Zはキャブレターの吸気音とデュアル管の排気音が絶妙なシンフォニーを奏でる。
「うわー、むっちゃん、出銭ランド!!」
「あ、千葉県抜けた!」
湾岸線を辰巳JCから箱崎、そこから環状線内回りを通る。
ギアは2-3速辺りを多用する様なコーナーが続き、車も多い為速くは走れない。
流す程度で走る。
「・・・わー!夜景が綺麗・・・なんかすごい所に来たね。・・・東京タワーすご!・・・」
一周してまた箱崎を通り辰巳JCを羽田方面に曲がる。
ここのコーナーはなかなかきついが強化した足回りの為に難なくクリアする。
クリアするとすぐに有明出口で出てそこから10分程度のお台場海浜公園へ向かう。
当時のお台場はまだ何もなくって人気もなくまさしく「森」だった。
しかし、東京23区でも少ない砂浜っぽい所がある場所でそれだけにカップルの穴場だったのである。
車を止めて「晶子、ちょっと外へ出よう!」と言い一緒に外へ出る。
大きな駐車場は無料であり、カップル対象なのか車の移動販売の店舗が1台いる。
「むっちゃん、あそこで飲み物買おうか?」
「やめとけw」
「何で?」
「俺の知り合いがあそこで缶コーヒーを買ったら酸っぱいすえた味のコーヒーが出たと・・・」
「どうも賞味期限切れてたらしい・・・」
「・・・・まじか!」
「多分冬に温めた奴の使いまわしだな・・」
「・・・・それはそうとこんな暗い所へあたしを連れてってどうするの?」
「まあ一緒に来いよw暗いから気を付けてな・・・」
手を繋ぎちょっと歩く。夜風が俺らの頬を撫でる。そして数分後・・・・
「うわー!!!綺麗!!!!」
お台場は元々幕末の海防の為に埋め立てられた砲台の後で当時はそのままの状態に近かった。
暗い場所でありそれだけに対岸の夜景が綺麗に見える。東京タワーを中心にしたビル群、そして手前には海。
初めて来た人は必ずと言って良いほど感動する位の絶景がそこにはあった。
「むっちゃんすごいよ!まさか今日こんな所来るとは思わなかった!」
「綺麗だよな、」
晶子がすごく喜んでいる。
「・・・むっちゃんって色々物知りだけど、なんで?」
「んー、きっと未来の記憶があって,朧気ながらに思い出してるのかもな、」
「ふふ、空想的だね。」
「ぶっちゃけ晶子を喜ばすために本屋で立ち読みして調べてるんだよw」
嘘をついといた。
晶子がギュッと抱き着いて来て俺を見ている。
「今日むっちゃんと遊べてよかったなー・・」
晶子はテンションも上がっている様で暗い所だけに積極的だ・・・・
が良く見ると周りにカップルが結構いてどこもかしこもLOVELOVE中だ。
俺らも負けずに・・・・とは行かない。見られるのやだもん。
車に戻ると一気に爆発する。
晶子が俺に抱き合いキスをする。手はお互いえっちな所に・・・・・
「ちょっと待て!晶子さん、今日は積極的過ぎ!」
「うん、そう言う時もあるんですよ。」
「車で30分の所にホテルあるからちと待ち。」
「エー?・・・分かった・・・・」
ホテルに付いた二人は・・・・・・
まあ、いつもの事です笑




