車でデート
るらぽーとの近くのシティホテル。
なんかゆさゆさと体が揺れる・・・
「おはよ。朝だよ?」「・・・・おお!おはよ」
隣を見ると裸の晶子がいる。
毛布の中だが目の前に手に入りきらないくらいの大きさの物が2つあるからそこに顔を埋める。
「うーん・・・晶子ー、最近やってばかりいるけど俺の事嫌にならない?」
「むっちゃん体目当てじゃないの知ってるからなー、大丈夫だよ。」
「昨日はあたしが誘ったような物だし・・・」「それならいいんだけどな、」
「嫌なら嫌と言えよ?」「嫌ではないかな、でも分かった。」
チェックアウトまでそこそこ時間がある。
「取り敢えず一緒に風呂入って出かけるか、」「あー、お風呂お湯入れといたよ?」
と、言う事で一緒に風呂に入り出発準備をする。
「今日はどこ行くの?」「そうだな、折角こっちに泊ってるし・・・・ご飯食ってどこか行こうか?」
「了解。」
外は相変わらずいい天気で朝から糞暑い。
車に乗り込みカークーラーを掛けて暖気する。キャブ車はここが面倒くさい。
「あー、朝でも流石に暑いねー、」「エアコンあるだけまだいいけどなあ、」
150キロ位走っていたので途中で給油をする。24リットル入ったのでリッター6強。
L型エンジンならなかなかの燃費だ・・・・が、
当時はリッター100円程度だったので2400円。高速代が1900円だったのでホテル代も合わせれば学生にはなかなかの痛手だ。
恐るべき車の維持費・・・
ちなみにやっている株の方はなかなか上がらない。バブル前のはずなのに・・・まあいつか上がるだろう。
今の資産が車と教習所代を払って残金250万位。任意保険とガス代でこの額はどんどん減って行く。
これは来年辺りに来るであろうオグリキャップに掛けるしかないか・・と・・・
当座は海の家のバイトで凌ぐ。頑張らないと・・・
「むっちゃんどうしたの?」
金勘定とは言えないので「昨日の晶子の可愛さを思い出してたんだよ・・」と言っといた。
昨日はまた晶子にキスマーク付けられた・・・・俺が付けようとすると激しく抵抗する癖に・・・
見えないとこなら良いらしいのでそこにしといたけどね。
「これは俺の!」「これはあたしの!」お互いのマーキングだな。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
首都高速に入りアクセルを開ける。
キャブレターの吸気音が「クゥオーーーーーン」と鳴きアクセルに反応して加速する。
窓を閉めているから適度な音だ。
オーディオからはTUBEの歌が流れている。とても夏っぽい。グラフィックイコライザーのスペアナが音量に合わせてピコピコ光を出していて非常に懐かしいがこの時代では新しい物だ。
晶子は歌を聴きながら鼻歌で歌に合わせてる。
「ドライブっていいねー、」「車調子良いし、隣に晶子はいるしな、」
晶子の髪の毛を撫でる。
首都高湾岸線はまだ昭和島辺りまでしか開通してなくここから横羽線に入る。
「うわー、家がごちゃごちゃ・・」河崎辺りを通り新山下で降りる。
「・・・ここどこ?」「横浜w」
まだみなとみらい地区も無い時代だが横浜は当時からオシャレ感が満載だった。
車を停めて氷川丸やポートタワー、山下公園辺りを散策する。
「・・・・まさかお出かけがこんな事になるとは・・・」
晶子がそう言った。俺たちは歩きながら話をする。
「嫌だった?」「ううん、まさかデートでこう言う所に車で来るとは・・ね。」
「そう言えばさ、晶子は俺以外に何人付き合ったの?」「むっちゃんは?」
そう言うのって意外と聞けないよねw過去にも聞いた記憶があまりない。
「俺?晶子の前の千恵だけだよ?」「うそだー!」「言う程モテないってw」
山下公園近くにはレンガ倉庫や貨物線などがあり歩いていても飽きない。ちょっと歩けば東横線沿いのガードのアート画がある所もあるしね、
「で、晶子は?」「2人位は付き合ったよ?でもご存じの通り味めてはむっちゃんだからなあ、」「でも好きだから付き合ったんでしょ?」
「うーん、恋に恋してるってのかな、」「分かる気がする。」「やっちゃいそうになったのは?」「2人ともあるよ?w胸は触られた」「・・・殺す!名前を!!」・・・・”バシッ”
・・・叩かれた。
「あたしが千恵さんに焼きもち焼くの一緒だよ。」「・・・まあな・・」
「まあ今は晶子は俺の物だから・・・いっか、」「そそ。」
手を繋いで歩いていたが・・・・・
「やっぱ夏は手も繋げねーなw」「だね-、熱いw」
2人で笑った。
時間も時間だったので中華街に行ってランチ。ヤンキーの癖にオシャレなデートをしている。
そして、横浜のこの辺りは観光地&繁華街で人手も多いのでヤンキーに絡まれることもない。
Zも族車には見えないからねー、
ちなみにZちゃんは駐車場に停めている。
横浜の中華街は異国情緒にあふれる。三國志の関羽を祭った関帝廟や店先、店の前で売っている出店でさえ変わっている、
学生と言う事もあり、安いランチの店で2人で食べる。って言ってもそれなりの値段だけど、
でも、本格中華ってのがそんなにない時代なだけに晶子は新鮮だった様だ。
「焼かない餃子って美味しいんだね?」「あれが元々の餃子の形なんだ。昔の貧乏な中国の役人が接待の料理の残りの餃子を次の日に焼いて食べた事から焼き餃子が出来たって」
「ちなみに餃子の形が昔の中国の古銭の形に似てるから”縁起の良い物”って事で正月に食べるらしい、」「へー、」
「そしてその中に1つコインを入れてそれに当たった人が今年1年良い事があるって言う風習があるってさ」「お金餃子に入れちゃ汚いじゃん!」「だよなwある意味不幸だw」
「あとゴマ団子美味w」「あー。あれは・・美味いよなw俺も好き。」
・・・恋愛話が食後は食べ物の話になる。
中華街をぶらぶらして車に戻り港に向かう。
「むっちゃん・・・ここ港だけど何するの?」「まあ待ってて。」「?」
俺は色々手続きをして車に戻る。
「これからフェリーでA県に帰るからw」
フェリーの係員に誘導されて車をフェリーに乗せて降車する。
「・・・・・まさか船に乗るとは・・・・船なんて初めて・・・」「面白いべ?」
車と乗客が乗り込んでいくらかすると出港する。
港を出て外海に出ると直線的に船は動く。船の後ろを見ると船の通った後が波で線を描いている。
俺らは外で海を見ている。湾内である事から周囲に工業地帯が見え、羽田を発着する飛行機がひっきりなしに飛んでいる。
そして、フェリーの周囲にはカモメの姿が、
「晶子さん、これをあげよう!」「・・・かっぱえびせん?これ食べるの?おなかいっぱいだよ?」
「まあ見てなさい!」おれはカモメに向けてえびせんを投げる。
カモメはえびせんが大好きなのだ。
「うひゃー・・・・・」
手に近いえびせんまでも取りに来るのだ。
「面白いべ?」
外でカモメと海を堪能した後、船内で休憩した。フェリーの利点はドライバーが休める事。俺は船のシートに腰掛けた。
「船から見る景色って綺麗だね、で、むっちゃんは色々知ってるんだね?」「知ってる事だけ知ってるだけだよ」・・・と聞いた事のある返事をした。
それなりにフェリーは空きもあったので晶子は俺にべったり寄りかかっている。
「あ、キスマーク発見!」晶子の肩よりやや下の胸のちょい上に俺が付けた奴だ。
「あんたが付けたんでしょうが
w」
1時間ほどの船でのクルージングを堪能した後に晶子を家まで送ってった。
着いたらもう夜の帳が降りていた・・・・
「むっちゃん今日・・昨日からかw・・はありがとw」「こっちこそな」
「なんか家に戻りたくないな・・・」「まあデートはいつでも出来るから。」「だね。」
「それにいつかは一緒に住んでるかもだぞ?w」「!」「家着いたら後電話するわ」「待ってる」
思い付きで始まった初めての車デートはこんな感じで終わりを告げたのであった。




