七夕集会再び
さて、集会の準備だ。
晶子は夏服の制服に黒のカーディガン。スカートは短くしてて足が色っぽい。そして頭に赤いリボンしてる。リボンが可愛い。
俺はいつも通り黒の特攻服。
胸に「陽光支部」右手に「第十二期支部長補佐」背中に「瑠羅亜連合」その下の真ん中に赤い薔薇の刺繍がありそれを上書きするように「ROSA」と銀の筆記体の刺繍で書いてある。
ショートの特攻服であり機動性重視だ。
で、2人とも撮影防止のマスクをしている。
「おっし、用意できた!」「おー、むっちゃん、晶子ちゃん集会最後だって?じゃあ写真撮ってやるよ。」
っと”映るんです”で単車を含めて数枚撮ってもらった。
「秋雄ちゃん、ありがとな。」「あー、フィルムあまってたからついでだよ。」「後で見せてね。」
「おー、気を付けてな。」っと溝口家を出る。
溝口家をでて200mほどバイクを押してそこからエンジンを掛ける。
溝口家は田舎とはいえ近所がいるから深夜にバイクの音は直管じゃなくても通ってしまう。
なので、その辺は気を遣うのだ。
「おっし、晶子、乗って?」「うん、」
チョークを引きエンジンを掛ける。
”キュルッ・・ボボボボボ・・・”チョークを引いているためアイドリングが高い。
ちょい戻しして走行暖気を行う。
「ボボボボゥ・・・ボボ・・・ボボボ・・・・」これが「フォー」って言う音になったらチョークを戻す。
夜の暗闇を俺のバイクの灯りが照らす。晶子の脚のステップ下には青のホタルランプが綺麗に光っている。
昼に温められたアスファルトの匂いと青臭い雑草のの匂い。そして虫の声が転生した時をフィードバックさせる。
「夏ってさ、いつもこう言う匂いしてるんだよ。」「どんな匂い?」「焼けたアスファルトの匂いと夏草の匂い。」
「レベッカの”真夏の雨”って歌でも出てくるんだよ。”焼けたアスファルト”はね。」「ふうん」
「今度家で掛けるわ・・って車で聞けるかもな。」「免許8月だもんね。どっか連れてってくれる?」
「当たり前じゃん。」「んふー、楽しみしてるよ。」
空を見上げれば星が瞬き。梅雨時の晴れ間だけに空気が澄んでいて綺麗だ。
その下には各家々の光。その中をオートバイの音が「フォーーーンフォンフォー・・」っと響く。
陽光の集合場所である市道直線に到着する。
エンジンを切り、バイクを道に対して45度の方向に置く。
エンジンを切るとここへ向かうバイクの音がどこからともなく聞こえる。
陽光がここに集まるのも周りが開けているために警察を確認しやすい事といざとなれば逃げる道が多い為だ、
CBX400,XJ400,GSX250E,VF400,GSX400F,初期型VT250等どんどんと集まってくる。
通常の集会と違い特攻服じゃなくても良く女性OKなので後ろに女を乗せたバイクも多い。
車も10台ほどいるが大体これ先輩たちで女を乗せてる。
陽光だと晶子を知ってる子も多いから俺のバイクの所に待たせてる。
俺はトシと陽介と他幹部と打ち合わせ。結局支部だけでも車入れたら30台近くになった。
「お、トシ、皆、お疲れ。」「和さんお疲れです。」「お疲れです。」
「今日海ルートだべ?」「ですね。時期ですし、」「今日は友惠ちゃんは?」「多分俺ケツモチなんで連れてこなかったです。」「あー、ケツモチじゃな、」
ケツモチは警察の邪魔をする役割なので単騎の方が行動しやすい。
捕まる相手が警察ならいい(良くないが・・)が違う方々だったらきっついからなあ・・
「んじゃ、頭。演説お願いします。」
トシ「皆集まれよー!!」「押ー忍!」
「集まったら座ってくれよー!」「押ー忍!」
・・・と支部の演説。
とりあえずトシが工業まで先頭。ケツモチは俺がなったがたかだか5キロほどの距離だ。
信号止めは陽介ほか幹部が行う。
信号止めは大きい交差点前に先頭(この場合はトシ)より前に行き交差点の進行方向じゃない方の車を止める。
なので2台体制が理想で、列が通過と同時にまた先頭の方へ戻る。
基本暴走族だと”特攻隊”の役目だが、ROSAの場合は特攻隊は海岸支部が兼ねていて。陽光支部で動く時は幹部が行う・・・が工業までは大きい交差点が2か所しかないのでそれ程大変ではない。
「まあ後ろってのは心細いものだよなー、前車だし・・吹かしてもしゃあないし、」「まあすぐ着くから・・ね、」
テールランプやホタル灯をぼーっと見ながらケツ持ちしてたらあっという間に工業に着いた。
本部のバイクたちの手前に陽光のバイク20台ほどが停まり待機。
信男と美姫、信二も来ている。信二は1-Hの子を連れてきていた。俺とキスしたあの子だが、今は晶子とも仲が良い様だ。
ふと見ると武藤もいた!
「あれ、武藤?どしたん?」「いや、車買ったからよ。女と来た。ちょっとでバックレるけどな。」
「おー、おめでとー」
晶子は晶子でクラスメイトが数人いるとは思わなかったらしく嬉しそう武藤の彼女と信二のツレと話している。
そこは華やかだなあ・・・w
「じゃ、武藤、晶子たち見といて?」「おー」・・・俺は幹部の集まる場所に行った。
「おっし、じゃあとりあえず幹部会の通りな。演説は俺がやるけど今日は並木とトシで主に立ち回ってくれ。」「「分かりました。」「12期幹部はフォロー中心で、特攻隊も今日は気を付けて動いてくれ。」
「はい」「まあ特段変わった事する訳じゃねーからよ。」「はい」
こんな感じの打ち合わせだ。
集まり切った集団はバイクが約110台、車が約30台なかなかの数だ。
「おーっし!皆集まれよー!!!!」いさ君の演説が始まった。
周囲はいきなりシーンとなる。
「今日はよー!七夕集会で祭りだけどよ、敵対とかも最近南下してっから、喧嘩になっても気合入れてけよ!」「「「「押ー忍!」」」」
「先頭は赤のFXだからよー!」「「「「「押ー忍!」」」」」「ケツ持ちは白のVFだからよ!」「「「押ー忍!」」」
「お巡りヤ〇ザ出て来てもバックレんなよ?」「「「押ー忍!」」」
皆がこの後一斉にエンジンを掛ける。
さっきの静粛が嘘の様にエンジンの咆哮が唸りまくる。
いさくんのFXが出た後前から単車がどんどん出発して行く。
アスファルトの匂いだけじゃなくマフラーからの直管の独特な匂いも漂う。
今日は珍しくGT380がいるらしく妙に耳に響く直管音がする。
ピンクのタンクで3段シート。おまけにケツにはソバージュっぽい可愛い女の子。
モーターの様な4発の様な良い音なんだけど鼓膜に響く音。超うるさいw
よく見ると・・・・秀さんと裕子が乗っていた・・・・
「秀さーん・・・どしたんですか、そのサンパチ」「いやーよ、裕子が集会出たいって・・」
「むっちゃんやほー!」「裕子ちゃん・・・スカート短けえな・・・若女って今そんなん?」
「最近ねー、」晶子「裕子さんスカート可愛いね?」「晶子もみじけーなw」
浅香唯似の美人がミニスカでバイクのケツ乗ってりゃそりゃー目立ちます。
いさ君も「秀さん、何やってるんすか?w」「おー、いさ、ストレス解消だよ。」
・・まあマスクはしてるけど・・ねえ、
しっかし運転は上手い。バンク角の浅いサンパチをローリングでステップ左右から火花を散らしながら走って行く。
アクセルを「フォッ」「フオッ」って煽ってバンク掛ける度にステップから火花だ。超格好いい。
そのうちGSX400Fに乗った信男と美姫が来たので横に行き吹かしまくった。
「フォーンフォンフォフォンフォーンフォンフォフォン!!」
信男も併せて吹かす。
「ファーンファーファーンファーファンファンファー」
GSX400Fは4バルブのDOHCなのでCBXに近い高音をだす。XJ750がトルクで動くバイクなだけにXJより高い音がでる。
「おー、信男のGSX良い音すんなー」「これもイノウエですよ?」「やっぱイノウエいいな。」「スズキだと本当はヨシムラ何ですけど、高いんですよね・・・」
後ろでは「晶子お前リボンめっちゃ目立ってんな、何そのスカート」「可愛いっしょ?」っと女子トークが行われていた。
「カーンカカンカン」「ファーンファファンファン」「ホワーンホワンホワン」・・・・
バイクの気筒数、バルブ数、マフラーの種類。同じバイクでも音が色々違う。
すると、先頭の方から声が・・・
「前、おまわり出て来てるから、突破すっぞ!」
警察署の前で警察官が6尺棒を持ち出て来ている。
前方がそういう時にどうするか?
こういう時にUターンすると誰かが捕まる物で、答えは”加速して突っ切る”だ。
集会は大体20キロから30キロ程度ののろのろ走るのですがこの時ばかりは急加速する。
棒物の欠点は手元近くに行くと威力が無い事で俺もおまわりさんに向かって急加速をする。
大体その時90キロ近くにはなっただろう。なんぜ750ccのバイクなのだから、
高速で向かって来るバイクには流石に警察の人も流石に焦る。
その焦るお巡りさんを横目にちょい逸れて回避をする。
高速で来られるとフルスイングするにも自分が怪我をしてしまうので出来ないのだ。
なので全台がここで回避できた。
なお、車は渋滞が出来る為に一般車と参加者が混ざる為に捕まっても「一般車なんです・・巻き込まれて」と言う言い訳が効いたりする。
工業から若葉の町へでてそこから国道を上り途中の海岸町の4車線道路へ降りる道を曲がる。
またまた前から「おー敵くっぞ!ぶつかるからなー!!」
特攻隊が前へ出て、幹部(俺も)も大体前へ行く。
・・・あ、ここ前世で榎市の殺戮とぶつかった(避けて行った)所じゃん・・・・
っと思ったら今回も同じ。うちらの左右を避けて交差する様にして逃げて行きました。
あちらは30台程度だったので流石にぶつかる訳にはいかないのでしょう。
うちも本来は「走りのチーム」だし、今回は女連れOKな集会なので「まあ別にいいべ、追っかけなくっても、」
・・との事。
信二がバイクで近付いて来た。
「和さん、こういう時って喧嘩にならないんですね、」と、
「おお、こっち女多いからもし当たってもデメリットがあるだろ?攫われたりな。」
「あっちも俺らを避けたからこれもある意味良い落としどころなんだよ避けてなきゃ喧嘩。」「へー、納得です。」
チームに限らず組織の長は色々な場面で自分たちの出来るだけ最善な道を選ぶ事をしなけらばならない。
そう言った面でも「頭ってのは大変だな」と思う。




