咲耶と即席チーム
「さて、そろそろ本題に入りたいと思います。カザミ、ギルドで何か収穫があったようですね。」
「あー、そうやった。どうもウチとクロガネを探している奴らがおるみたいやねん。」
食事が終わったタイミングで問いかけられたカザミは、自分の行動を報告した。
「片方の魔族は、ウチらが黒曜石の採掘場で追い返した奴や。で、もう1人っていうのがなぁ〜。1人じゃあ太刀打ち出来ひんから、助っ人を呼んだんやろうね。」
「そうですか。また面倒ごとがやってきたようですね……」
あれだけ痛めつけられても、仲間を連れて仕返しする粘着質。小説や物語に出てくる神に背きし者のようだと、ふと咲耶は思った。
「魔族に目を付けられたのは、得策ではありませんな。ただでさえ今は、街の再生に力を入れている大切な時です。魔族の行動などに構っている暇などありませんな。」
「じゃがカンザール、放置しといてワシらの畑に気付かれると面倒じゃぞ?」
魔族はクルクリの周辺地域を手中に収めてからは、街の外側でしか人間を襲う事はしなかった。だが、いつボロボロになった魔族が、カザミ達を探しにこないと言う保証は、何処にもないのも事実である。
「ならば、私とカザミが暫く街の外側で魔物退治でもして、魔族を誘い出すしか方法は無いでしょうね。不本意ですが……。」
「なんやクロガネはん。ウチと行動するのが嫌なん?」
糸目を薄っすらと開きクロガネを静かに睨むカザミに、慌てて言い足すクロガネ。
「いやいや。そうではなくてですね、私の顔を覚えられるかもしれないと思うと、憂鬱になるのですよ。まあ、カザミの様に擬態化すれば良いのでしょうが、私はどうも苦手でしてね。」
「ならばー」
言い争いになりそうな2人に、カンザールが口を挟む。
「ならばカザミ殿、私と一緒というのはどうですかな?」
「カンザールはんと?」
「はい。プランター造りはクルード殿に任せておけば安心ですし、色々とやる事の多いクロガネ殿の手を煩わせるならば、私が同行した方が効率が良いでしょう。」
カンザールの提案に、カザミは暫し悩んでいたが、たまには別の者と組んでみるのも面白そうだと思い直した。
「分かったわ。なら、明日からのギルドの依頼は、カンザールはんと一緒にやらせてもらいますわ。」
「はい、お手柔らかにお願い致します!」
ここに即席のパーティーが誕生したのだった。




