咲耶と難題の2人組
「やれやれ……、ここもですか。」
ダンジョンの入り口付近、竜と聖樹の銅像の足元に数人の冒険者たちが倒れ伏している。
「さすがに敵さんも、聖域に逃げ込まれては、とどめを刺せなかったか。」
カザミことホワイトが、倒れた冒険者たちに近付き傷の状態を確かめ。
傷は何か縛られた様な跡や斬撃の跡、装備品に何処に焼け焦げた形跡があり、ホワイトがギルドで得た情報通りの有り様だ。
「とりあえず手当てをしておきましょう。私が癒しの魔法を使えれば良かったのですが……ね」
苦虫を噛み潰したような表情のカンザールに、ホワイトが自分の鞄から取り出した回復薬を手渡す。
「ほら、あんまり自分をいじめてやるな。魔法を封じられてなければ、お前や倒れてる奴らも、簡単に負ける筈がないだろ?
それよりも、咲耶にこの薬を創ってもらっていて正解だったな」
この世界には、傷を癒す方法として魔法と薬草が使われるのが一般的だ。
だが、数日まえからダンジョン巡りをしていたホワイト達は、異状事態に遭遇していた。
まず、ダンジョンに潜った途端に、回復の魔法が発動しない。理由は未だ不明だが、巡ったダンジョン全てが同じ状態になっている。そして薬草だが、効果が強いと言われた物も、余り効き目が弱い代物だった。
「なあ、こいつらが持っている薬草が、こちらの回復薬なんだろ?」
「はい、冒険者たちに流通している薬草ですが、かなりの効能がある筈……なんですが…な」
自分の知識として得た情報が、ここ数日で砕かれたカンザールは、ホワイトの問いかけに申し訳なさげだ。
「まぁいいさ、とりあえず応急処置だけをしたら、コイツらをギルドに運んでやろう。」
「ええ。急ぎましょう。」
2人は手早く止血すると、数回にわたってダンジョンの外に運ぶ。
「これはやっぱり、咲耶に力を借りるべきなのかなぁ……」
力無く倒れる冒険者たちを見て、ため息を溢すホワイトだった。




