咲耶とホワイト再び
少し時間を遡って……
咲耶とクロガネが一悶着を起こしていた頃、カザミは1人でクルクリの街にやって来ていた。
ここ最近、石の採掘やらなんやらと細々とした事ばかりで、カザミのお得意の情報収集が疎かになっていたのだ。
そうは言っても、カザミの姿では差し障りがあるので、もう一つの姿のホワイトでギルドや店に顔をだす。
「昼過ぎだから、冒険から帰還した奴らが姿を見せる頃だな。最近は冒険依頼を受けていなかったから、何か小物の依頼でも受けておくべきだろうな。ダンジョンに潜ってきてもいいんだかなぁ。」
ホワイトはまだまだ人気の少ない街中を歩き、目的地のギルドへ顔をだす。
ギルドの中は、あいも変わらず昼間から酒に溺れる奴もいれば、ダンジョンの成果を自慢する奴らもいる。
そんな者達の横をすり抜け、依頼が貼り出された壁に向かうホワイト。
壁には、ランクの低い仕事から高ランクの仕事まで貼り出されている。まず低ランクは、薬草の採取・食糧となる魔物の駆逐依頼。
薬草は、この世界特有の種類が自然に生えており、街の外に出れば幾ばくかの採取と、運が良ければスライムや野生化した動物と遭遇する事がある。
「本当ならカンザールを連れて、ダンジョン探索をしたい所なんだが、今日の所は薬草採取にしておくかな。ついでに、街の外の情報収集も出来て好都合だからな。」
そう考えをまとめたホワイトは、低ランクの薬草採取の依頼書を壁から剥がし、ギルドの受付の元に持ってゆく。
「こんにちは。冒険登録以来ですね。」
「ああっ、登録してくれた人か。オレの事を覚えていたのか?」
依頼書を渡しながら会話を交わす。
「はい。職業柄、だいたいの方は覚えていますよ。あと、ソロの冒険の方は珍しいので覚えていたんです。この街は、魔物との戦いが多い為なのか、パーティーを組む方たちがほとんどですから。」
「そうなんだな。まあ、オレはちょっとした知り合いがいるから、そいつが帰って来るまで街の外側で出来る依頼にしておくさ。」
そういうとホワイトは、さっさと手続きをしてもらう様に願い出る。
「承知しました。薬草ならば、依頼書に書かれたものなら引き取りいたします。その際、新鮮な物であれば、多少の上乗せもあります。また、食糧系の魔物であれば、喜んで引き取ります。」
「分かった。ところで、ここに居る連中は怪我をした者達が目立つが、何かあったのか?」
「それがですねーー」
受付嬢は、少し憂鬱そうに事情を語りだしたのだった。




