咲耶と自由な青年
「これこれ、絶対にこれが良い!」
水晶の中に虹色の煌めきを秘めた石。
アイリスクォーツ
生成過程において圧力や温度の変化が加わり、結晶内部に歪みや亀裂が生じる。本来の光の光の屈折率が変化して虹色の煌めきを放つ水晶。
恋愛、結婚、就職など人生の転機をバックアップしてくれる石。また、心を癒しあらゆる夢を叶えるパワーを秘めている。
「まあ、いいかな。」
宝石類の様なダイヤモンドやルビーがいいと言われるよりも、このアイリスクオーツの方が数倍好ましい。
「それでさ、身につけておけるなら、この首から掛けてるのがいい。」
そういうと青年は、本に描いてあるペンダントをトントンと指弾く。
「ペンダントなら、石を具現化する際に周りを形取る様にイメージすればいいから、大丈夫だと思う。で、材質は何か希望はあるの? 私としては、金よりも落ち着いた銀の方が好きだけど。」
咲耶のイメージでは、金は裕福層が好んで身につけるという考えが昔からあった。本や小説に出てくる有名な者達も、金の誘惑には敵わない。それよりも、邪気を払う銀の方が断然良い。
「なら銀の竜が守る様な形をしたペンダントにしよう。で、2人だけのお揃い!」
青年は咲耶にべったりと纏わり付き、早く創って見せてくれとせがむ。
「ねえ、もう少し離れてくれないかな? なんだか近すぎると具現化に集中出来ない」
「ならこの機会に、誰か近くに居ても平常心で創れるように練習すれば良いよ。
ほら、集中してやって見せて?」
「分かった。だけど静かにしててよね。」
咲耶が何度も言うが離れてくれない青年。何時もなら嫌なら嫌だと言っている自分が、青年にだけは何故か強く言えないでいる。
「今は集中しないと……」
咲耶は意識を切り替えて、何時もの様に落ち着いて石創りに取り掛かるのだった。




