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6話・夢と過去のトラウマ

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 「二瀬(ふたせ)先生! 回収物ここに置けばいいですか?」


 「そこでいいわよ。ありがとう天宮さん!」


 陽菜は授業の終わりに集めた回収物を二瀬先生の手伝いとして職員室に持っていった。


 「天宮さん、いつも魔法の実技1位で流石ね! 将来なりたいものとかあるのかな?」


 「うーん? どうなんですかね。お母さんがヴァイオリニストで私にも教えてくれてるのでそっちの道にも興味があります。……魔法の道だと自分の手で守ることができるけど戦う恐怖とか今はまだ実感できないですし……。」


 「音楽の道も素敵ね。戦うことで直接命を救うだけじゃなくて人々の心に安寧をもたらすためには色々な手段がありますからね! 応援してますよ。」


 「ありがとうございます、二瀬先生!」


 陽菜は二瀬先生と軽く将来の夢の話をした。自分がなりたいものは何だろう。それはまだはっきりとはしていないが二瀬先生と話せて良かったと陽菜は思った。



 「陽菜〜。姫香が早く陽菜成分チャージしたいって言ってるよ!」


 「葵、からかわないで。ひな成分は朝来るときに手を繋いでチャージ済みよ。」


 教室に戻ってすぐに葵が姫香をいじっていた。


 「2人とも仲良しさんだね!」


 「ひなもからかわないで!」


 姫香が陽菜にからかわれていじけたと思ったらハグしてきた。


 「あはは、結局チャージしてるじゃない。」


 葵が笑いながらツッコミを入れた。


 (今の雰囲気だったら姫香ちゃんに言えるかな?)


 「ねえ、姫香ちゃん。……。」


 (あれ、言葉が出てこない。『世界解答(ワールドアンサー)』について言わないといけないのに……。)


 「どうしたの、ひな?」


 「ええと、その……。今日ごはん何食べる?」


 (違う! そうじゃないよ……。ひめちゃんがあれだけ覚悟を持って話してくれたのに。私だって覚悟を持って話さなきゃいけないのに。そもそも、ごはんってお弁当でしょ~!?)


 「今日の夜は、陽菜の好きなお寿司でも食べに行く? なーんてね!」


 「そうね。たまにはいいんじゃないかしら。」


 「冗談だよ〜! お弁当今日は何入ってるかな!」


 葵達は陽菜の違和感に気付いたが変に否定せず陽菜の話に合わせる。



――数日後


 (全然話せてない! なんで……。話せるタイミングはいっぱいあったのに、いざ口にしようとすると喉でその言葉が引っかかっちゃう……。)


 葵と姫香は陽菜が何か話そうとしているのに気が付いている。しかし、無理やり聞きはせずに陽菜から話せる時が来るのを待っている。



 「天宮さん、どうしたの?」


 「二瀬先生……。実は――。」



 「なるほど、友達に自分のことで言いたいことがあるけれど勇気をもって言えない、ということね。」


 「はい。私は友達からのものなら何だって受け止められますけど、自分のことを伝えられない臆病者なんです……。」


 (天宮さんがここまで落ち込んでいるのは珍しいわね。いつも明るくて元気いっぱいなのに。)


 「天宮さん、それは臆病なことじゃないわよ。人間誰にだって言えない、言いづらいことはあるわ。私にだってあなたたちに決して言えないこともあるわ……。」


 「二瀬先生も……?」


 「ええそうよ。私にもあるわ。だから無理して天宮さんが伝えることは無いんじゃないかしら。ただ、どうしても伝えたいって言う場合は協力できる人に手伝ってもらうっていうのもいいんじゃないかな。天宮さんは相手のことを信頼してる?」


 「はい。それだけは言い切れます。」


 「だったら大丈夫よ。どっちの『選択』でもあなたから友達が逃げることなんてないわ。」


 「私の『選択』…………。分かりました。二瀬先生ありがとうございます!」


 陽菜は深く頭を下げて出て行った。


 「柄にもないことしちゃったかしら。」




 「ひめちゃん! 聞いてほしいことがあるの!」


 「ひな、聞くわ」


 「葵、協力してもらっていいかな? 私のユニークスキルについてだけど私だけじゃ上手く言葉が出なくて……。」


 「陽菜、分かった。私が主体で喋ろうか? それとも……。」


 (葵が全部話してくれると楽だ。でもそれだと流石に覚悟を持って話してくれた姫香ちゃんへの対話になってない。だから……。)


 「私が主体で話すよ……。でも、どうしても最初の言葉が出ないの。だから最初だけお願い。」


 葵はうなずき、陽菜とアイコンタクトをして話しだした。



 「姫香、陽菜にはね、あるユニークスキルがあるの。そのスキルの名前は『世界解答(ワールドアンサー)』」


 「『世界解答(ワールドアンサー)』?」


 「ええ、この能力を簡単に説明すると何でも分かるの。情報だけじゃなく、今から起きる未来の多数の世界線。」


 「なるほど。でも、そんな凄い能力をひなが使ってるのを見たことは……。あっ。」


 (そういえば、小1のひなが魔物を倒すときに何か使っていたような。あの時使っていたのかしら。)


 姫香はあの時のことを思い返していた。


 「ひめちゃん、そうだよ。あの魔物退治の時に使ったの。」


 陽菜は姫香の察したことが正しいと言った。


 「葵、もう大丈夫……。ここから先は私が言うね。」


 「陽菜……。分かった。無理しないでね。」


 「ひめちゃん、私がこの話がなかなかできなかったのは、それは…………。」


 陽菜は一度深呼吸した。


 「……それは、私がこのスキルを使ったせいで……いじめにあったからなの。」

登場人物


天宮陽菜(あまみやひな)

若草色の髪色でセミロングのワンサイドアップ。眼の色は緑。

得意属性は火

明るく優しい性格で困っている人を放っておけない。

2月の早生まれ


相沢葵(あいざわあおい)

紺色のロングヘア。眼の色は青

得意属性は水

陽菜が生まれた時からの幼馴染。

5月生まれ


水野姫香(みずのひめか)

黄色のロングヘアで毛先をふんわりと巻いている。眼の色は黄色

得意属性は雷

陽菜たちとは小1で初めて出会う

4月生まれ

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