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21話・桜の試験

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 「……ねえ、葵も一緒に。」


 「……ごめん、私は他の子と約束してるから。」


 「そっか……。」


 陽菜は意を決して葵を誘ったが、陽菜といるのはまだ心苦しい葵は断る。


 「陽菜ちゃん! お昼ご飯一緒に食べよー!」


 「あっ……。うん、食べよう。」


 「ひなは私の隣ね。」


 「……私は香耶の横。」


 「私は陽菜ちゃんと香耶の間に入るね。」


 お昼になったので机を寄せて一緒に食べる。今の並びは陽菜、姫香、千影、香耶、朱莉の順に輪を作っている。


 「あれ? 陽菜ちゃんと水野さんのお弁当の中身一緒だね!」


 「ああそれはね、私がひめちゃんの分もお弁当作ってるからだよ。」


 「そうよ、ひなの料理は美味しいから嬉しいわ。私は料理作ったことないし。」


 「良いなぁ。友達に作ってもらうって最高だね!」


 陽菜と姫香のお弁当を見てほとんど同じ中身に疑問に思った香耶は聞いてみた後、羨ましそうにしている。


 「香耶ちゃんと千影ちゃんはパンなんだ?」


 「そう! パン美味しいし色んな味あるからいっぱい買っちゃうんだよね~! 千影の分も買って来てるよ!」


 「……香耶は大食い。」


 「そんなこと無いよ! 千影が小食なだけ!!」


 香耶と千影はどうやら毎日買ったもののようだ。


 「朱莉ちゃんのお弁当は女子力高いね~。美味しそう!」


 「ふふっ。ありがとう。良かったら一口食べる?」


 「食べたい! 私の唐揚げと一個交換しよ~。あむっ……。おお、朱莉ちゃんのハンバーグ凄く美味しいよ!」


 「お口に合って良かったわ。陽菜ちゃんの唐揚げもいただくわね。……とっても美味しい。」


 「くっ……。ひなと交換羨ましい。私も料理作れたら。で、でも料理できるようになったらひなの料理食べられなくなるし……。」


 朱莉のお弁当を見た陽菜は興味津々で見ていた。朱莉の提案でお互いのおかずを交換したら2人とも満足している。そんな様子を見た姫香は1人で悶々と考えこんでいる。


 「そういえばさ! 陽菜ちゃんって相沢さんと知り合いなの?」


 「えっ。急にどうしたの?」


 「さっき呼び捨てで話してたの聞いちゃったから!」


 「……知り合いと言うか幼馴染だよ。」


 「やっぱりそうなんだ! 今度は相沢さんも入れて一緒に食べたいね~。」


 「……そうだね。」


 「香耶、陽菜ちゃんの事知りたくてしょうがないんでしょうけどそんなにグイグイ行ったら駄目よ。」


 「ハッ!? それもそうだね! 陽菜ちゃんごめんね!」


 「ううん。良いよ全然!」


 香耶の想定外の質問に陽菜は少しドギマギしていた。様子の変化に気付いた朱莉が香耶を注意した。


 「香耶ちゃん達3人は付き合い長いの?」


 「……莫逆の友(ばくぎゃくのとも)。」


 「ん~? 千影は難しい言葉使うね!? それどういう意味!」


 「……ん、以心伝心ってこと。」


 「私達3人も長い付き合いなの。……家族に近い感じかな。」


 「なるほど! 素敵な関係なんだね~!」


 香耶達3人に深い絆を感じた陽菜は感激している。


 「私は、ひなとかなり長い付き合いってわけじゃないけど。想いは負けて無いわ……。」


 「そうだね! よしよし。」


 姫香は自分1人だけそう言った長い付き合いというものが無いと思ったので気落ちしつつ陽菜に頭を寄せた。陽菜は慈愛の表情で優しく撫でた。



 お昼が終わった後、最後のテストをするようだ。


 「最後のテストだ。今回、校舎裏に集まってもらったのはもしものことを考えてのことだ。」


 「もしもの事ですか?」


 「ああ、平年よりとても優秀な生徒がいるからな。今回使う魔道具は土地を使うからできるだけ邪魔にならないようにするためだ!」


 「土地?」


 土地を使う、そのことに疑問を感じている香耶達。


 「今回のテストはマナの安定供給を測るものだ。安定供給ができるほどマナの変換効率も高くなるからな。安定するには高い集中力あるいは独特のセンスがいる。」


 「どんな魔道具を使うんですか!」


 「使うのはこのマナ供給測定器具SAKURAだ。上手く供給できると大きな1本の桜ができるぞ。因みに先生は毎年やってるが10年中ようやく去年桜ができたぞ!」


 「桜かあ。地球で有名らしいよね!見てみたいな~!」


 (地球以外だと桜はあんまり無いのかな。ということはこの魔道具は地球の人が作ったのかな?)


 香耶の言葉を聞いた陽菜はふと疑問に感じた。


 ……


 「みんな挑戦してるのにまだ苗すらできて無いね! かなり難しそうだけど私やるよ! あっ! 苗すらできずに終わっちゃった~。」


 「……香耶は雑だから。んっ……これ欠陥品。」


 「ちょっと~。ふふふっ千影も失敗してるじゃない! 朱莉もやって!」


 「ええ。うーん思ったより全然成長しないわ。苗くらいだから平均ね。」


 優秀な香耶達3人でも平均以下だった。


 (葵は……。凄いや、若木まで成長してる。)


 「葵、今の所あなたが最高のようね。流石と言ったところだわ。」


 「……姫香とまでは行かないけど、あの子の後ろを私もずっと追いかけてたからね。あの子は新しい友達と元気にしてる……?」


 「もちろん元気よ、表面上はね。早くあなたも普通に接することができるようになれたら良いわね。」


 「そうだね……。あの子の事もうしばらくよろしくね……。」


 「分かったわ。」


 姫香は葵の結果を褒める口実で話しかけに行った。葵はまだ陽菜と普通に接することができるのに時間がかかりそうだ。


 「私もやるか。……動揺なんてないと思ってたけど。苗以下ね。」


 「え~! 水野さんなら作れると思ってたから以外!」


 「……やはり欠陥品か。私は下手じゃない。」


 「……水野さん。(相沢さんと話してたけど何かあったのかな?)」


 「よし最後は陽菜ちゃんだね! みんな期待してるよー!」


 「ありがとう。期待に応えられるように頑張るね!」


 姫香がまさかの結果に終わり一同不思議に思っている。最後に陽菜の番がやってきた。並列試験での圧倒的な成績により皆から期待されている。


 (さっき、葵にひめちゃんが話しかけていたことは何だろう……。葵とはしばらくまともに話せてないから凄く気になる。本当に元の関係に戻れる日が来るのかな……。)


 「……今やるべきことに全力で挑む。それしか道はないよね。『世界解答(ワールドアンサー)』」

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