【1章完結】18話・幼馴染と歩む道
1章完結しました。
次回から2章「聖セレニティ学園編」になります。
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「良かったわ。その言葉が聞けて。でも、2日でよく決断してくれたわね。」
陽菜が『蛍火』に入ることを宣言したのでマリアは安堵している。
「昨日決めましたから……。」
「良い表情ね。あなたと水野さんこれで2人ね。いやもう1人。入って来て。」
「っ!? どうして……。もう来てくれないと思ってたのに……。」
――前日
「ひな、おはよう。悩んでるの?」
「ひめちゃん、おはよう。……うん、かなり。そういえば色々あって昨日聞けなくて今更だけど、もう戻ってきてくれたんだ……。」
「ええ。ひなを守るために必死に毎日修行してようやく。待たせて申し訳ないわ……。ひなの両親を助けるのに間に合わなかったのも……。」
「ううん、そんなことないよ! ひめちゃんがあの時魔法で奴の攻撃を止めてくれなかったら私も死んでたから……。ありがとうひめちゃん。それと、……おかえり。」
「……ただいま。私はこれから先何があっても陽菜が行くところに付いていくわ。もう決してあなたに離れたりはしない。」
姫香との再会に陽菜は涙を流して喜んでいる。
「そういえば、葵は大丈夫なのかな……?」
「葵は無事よ。両親も含めて怪我はないみたいね。」
「なら良かった……。葵にも心配かけてると思うし会いに行きたいな。」
「そうね。今からひなが行きたいなら私も付いていくわ。」
「それじゃあ、お医者さんに外出していいか聞いてくるね!」
陽菜は葵のことも心配だったが無事だと消えて一安心。姫香の提案を聞き一旦外出していいか聞くことに。
「行って良いみたい! 支度したら行こ!」
「分かったわ。」
葵の家に着いた後インターホンを鳴らした。
「はい。」
「葵! 無事でよかった……!」
「っ……陽菜!? ご、ごめんなさい。合わせる顔が無いの。」
「ちょ、ちょっと待っ――」
ばたん!
「どうしたんだろう……。今具合悪いのかな……?」
「……そうかもしれないわね。」
葵が玄関を開けて出てきたが陽菜の顔を見るとすぐに謝って扉を勢いよく閉めた。
葵は扉を閉めた後母の寝室へ向かった。
「ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……。」
「お母さん……。」
「燈火……ごめんなさい。私があなたを殺した……。私があなたの娘の居場所を言ったからあなたが殺された……。私のせい、私のせいなのよおお……。」
涼恵はあの事件以降約1週間ずっとこの状態だ。
(最初は、どうして私が人質にされたときに陽菜の居場所を教えたの、って怒りの感情が湧いていた。でも、それはお母さんが私のことを1番に思ってくれてたから……。
お母さんは陽菜のお母さんのことも私と同じくらい大切に思っていたはずなのに……。)
「お母さんごめんなさい……。私のせいで……。私が人質になんかならなかったら……。」
葵は泣き続ける母を後ろから抱き締めて自身の無力を嘆いた。
「葵にメッセージ送るね。」
「何を送るの?」
「どうしてもお話したいことがあるから3時間後にまた来るねって。」
「見てくれるかしら?」
「どうだろう。でも、どうしても話しておきたいことだから。」
葵にメッセージを送った陽菜は姫香と共に一旦帰った。
――3時間後
ピンポーン
「来ないで、って送ったのにどうして来たの?」
「……どうしても伝えたいことがあったから。」
インターホンを押されたので出て来た葵。ひなのメッセージを見た後に、「来ないで」と送っていたがそれでも構わず陽菜が来たので身構えている。
「単刀直入に言うね。私、地球を離れて『蛍火』っていう組織に入ろうと思うの。だから今日はお別れを言いに来たよ。」
「ちょっと待って、陽菜! どういうこと!?」
「それだけ言いたかったの! 葵、元気に過ごしてね! じゃあねっ!」
「待っ――」
葵に伝えたいことを伝えた陽菜は笑って走り去っていった。
「なによ、あの子……。急に変なこと言って……。きっと、そうドッキリか何かね……。だって、そんな……。」
葵は陽菜の言うことはきっと嘘でからかっているだけだと決めつける。そうでもしないと現実を受け入れられないから。
「ねえ、ひな……。あんなあっさりで良かったの? ってどうしたの、ひなっ!?」
「う、ううううう。ぐすんっ。」
あっさりと帰った陽菜に姫香は不思議に思ったが突如号泣し始めた陽菜にあたふたしている。
「ひっく、葵と別れたくないよおおおお。本当はあの直前まで葵にも一緒に『蛍火』に入ってもらえるように頼みたかった……。
でも、葵を苦しめてる原因は私だって分かったから……。あの目を見て分かったの……。だから……だから私は。うわあああんっ。」
「ひな、大丈夫よ。私がいるから。」
大泣きしている陽菜を姫香は優しく抱擁した。陽菜が泣き疲れた後、姫香はおんぶして病院へ連れて帰った。
ピンポーン
「はい。もしかして、また陽菜? えっ姫香!?」
「あなたに私も言いたいことがあるんだけど良いかしら。入るわね。」
「えっ? ちょっと!?」
姫香が1人で葵の家に来た。そして部屋に無理やり入って葵を真っすぐ見つめている。
「葵、あなたのひなに対しての想いはその程度なのかしら?」
「な、突然何を言い出すの。」
「あなたはもう一生ひなに会えないかもしれないわ。」
「そんなはずは……。だってさっきのは嘘でしょ……?」
「嘘じゃないわ。あの子は全てを投げうってでも復讐するつもりよ。」
「で、でも……。仮にそうだとしてももう陽菜に合わす顔が無いよ……。私がいたから、私が人質にされたから陽菜のご両親が殺される羽目になったんだし……。」
「だからこそよ。あの子の傍にはもう大切な家族はいないのよ。姉のように慕っているあなたまであの子を捨てたら心の拠り所が無くなってしまうのよ。私には悔しいけれどあなたの代わりを務めることはできないわ……。」
「姫香……。……本当は私も陽菜とずっと一緒にいたい。その気持ちは変わらないの。だけど陽菜の顔を見るだけで思い出してしまうの……。あの時の後悔と恐怖が。」
姫香の言葉に心を動かされそうになるが、葵は自身に芽生えたトラウマにより一歩前に踏み出せない。
「……悪かったわ。私はひなのことばかり考えてあなたの気持ちをないがしろにした。今日来たことは忘れて。ごめんなさい……。」
「あっ……姫香。」
謝罪した姫香は葵の家から立ち去った。
「うぅ……。どうしたらいいの。どうしたら。陽菜と別れたくない。でも、見れない。陽菜の顔を見れないよ。」
「葵……。」
「お母さん……。具合は良くなったの……?」
「葵、行きなさい。」
「……えっ?」
「行かないと絶対に後悔するわ……。私は燈火のことが好きだった。でも、思いを伝えずにずるずると引き延ばして逃げたのよ……。私があの時、思いを逃げずに伝えていたら変わったのかもしれない。ずっと後悔しているの。」
「……。」
「葵、ごめんなさい。私が葵を守ろうとして陽菜ちゃんを危険な目に合わせ、そして燈火達を殺してしまった。」
「お母さん……。」
「今すぐ切り替えるのは無理だと思うわ。私もそうだもの。でも今行かなかったら絶対にあなたは後悔し続けるわ。私のようにならないで……。」
「……くっ」
葵は走り出した。姫香の元へ詳しく話を聞くために。追いつくとちょうどそこにマリアもいた。
「私も、……私も連れて行ってください。」
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