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17話・『復讐』への誓い

次話で1章完結となります!

見てくださってありがとうございます!


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 「お母さん、どうしたの? さっきの音は?」


 陽菜はリビングから出てきて玄関を除くと無くなった父が無残に横たわっていた。


 「えっ?」


 「陽菜こっち!」


 陽菜が父の死亡を認識する前に燈火は陽菜は抱きかかえて裏口から外に逃げようとした。


 「さ、さっきの……お、お父さん……なん、で……」


 「ひ、陽菜、落ち着いて。今は自分のことだけ考えて!」


 陽菜は徐々に理解して動悸が激しくなり気が動転しそうになっていた。燈火自身もかなり動揺しているが自分の命が無くなったとしてもこの子だけは助けるという意思を強くした。


 「裏口にもあいつの仲間が……。どうすれば……。それなら中級(ミディム)・炎球(フレイムボール)」


 「ほう、天井に穴をあけたか。しかし、もう逃げることは出来ん追い詰めたぞ。」


 燈火は天井に穴を空けることで他の人への緊急事態だと知らせるとともに上部からの脱出ルートを作った。しかし、背後には既に禍津(まがつ)が来ており間に合わない。


 「念のため言っておくが上から脱出は出来んぞ。脱出する素振りを見せた瞬間外の奴が範囲魔法でこの家を押し潰せる。」


 「くっ……。」


 「お母さんだけでも逃げて……。あいつの目的は私なんでしょ。だったら……。」


 陽菜は何か策は無いか『世界解答(ワールドアンサー)』を使って禍津(まがつ)達の目的が自身であると分かった。


 「そんなことできるわけないわよ!!」


 「で、でも……。」


 「陽菜、あなたは私の、私達の宝物なの。仮に私が生き延びてもあなたを亡くす絶望に耐えられないわ……。」


 「家族の愛情ごっこの所悪いが時間が無いんでな。さっさと死んでそいつを渡してもらおうか。」


 禍津(まがつ)は何やら時間が無いようで即始末するつもりだ。


 「陽菜、離れてなさい……。私が命にかけても守るわ! 上級(グラーヴ)・業火の矢(インフェルノアロー)」


 「上級とはいえ、その出力程度では防ぐまでもない。」


 「な!?」


 禍津(まがつ)は上級魔法の矢の雨を一切防ごうとせず受けるがかすり傷すら負わない。


 「今度はこちらからだ、上級(グラーヴ)・破滅の斬撃(ドゥームスラッシュ)」


 「がっ、あぁ、……!」


 「お母さんっ! そんなっ……うそっ……!?」


 「ひ、ひな……。いき……のびて……あい……してる。」


 陽菜は状況が呑み込めない。しかし深い怒りが目覚め


 「お前を絶対に殺す。上級(グラーヴ)・業火の大砲(インフェルノキャノン)」


 「ふん、効かん……と言いたいところだがなかなかやるな。」


 禍津(まがつ)は陽菜の上級魔法を軽くいなそうとしたが思ったよりも出力が高く少しダメージを負った。


 「だったら、『世界解答(ワールドアンサー)』!

 これで最上級魔法を……。最上――。

 ごほっ……。な、なんで……。」


 「ふん、『世界解答(ワールドアンサー)』で最上級を使おうとしたようだがお前の年齢じゃ体が耐えきれないだろう。無駄なあがきだ。」


 陽菜は上級魔法が通用せず、最上級で相討ち覚悟でも殺そうとした。しかし、たとえ『世界解答(ワールドアンサー)』を使っても肉体自身が耐えられなければ意味がないと思い知らされた。陽菜はもう無理だと母の所に近づいた。


 「お母さん、起きてよ……。お願い目を覚まして……。」


 陽菜は泣きながらずっと言い続けても、動くことのなくなった燈火の体を揺すり続ける。

 既に父が扉の前で亡くなっており、母は数秒前に命を落とした。


 「ついに、この日が来た。俺が世界を支配するための始まりの日が。お前が『世界解答(ワールドアンサー)』でこの世界線を『選択』してくれたことに感謝だな。」


 両親を殺した禍津(まがつ)が高笑いして言った。禍津(まがつ)は渇望していたものを手に入れられる瞬間に体中から喜びが沸き上がっており身震いをした。その後、手を陽菜に近づけ魔法を発動しようとする。


 「私が『選択』? そんなはずは……。」


 「お前がその能力を使うことで俺たちはこの広い宇宙から見つけ出すことができた。

 その能力は代々継承されているものだ。過去の能力者が書き残していた本を基にレーダーを開発したのだ。

 お前が『世界解答(ワールドアンサー)』を使うごとに少しずつ範囲を絞れそして2週間前遂にこの星だと特定できた。」


 禍津(まがつ)は満足そうに説明した。


 「2週間前、まさか二瀬先生に面会に行った時……。」


 「最後に使用した時には近くに3人いたな。2人は刑務所にいて始末した。もう1人はお前の居場所を吐かせるために人質にしてその母親から聞き出せたぞ。ふはは!」


 「3人、あの時にいたのは先生と葵と、あとは襲って来た受刑者……。ちょっと待ってその言い方だとまるで先生も殺したって……。」


 「ああ、そうだ。あいつは最後まで頑なに口を割らなかったからだ。喋っていれば生かしておいたのにな。」


 「わ、私のせいだ……。私がこの能力を使ったから……。こんな能力なんか発現したから……。私のお母さんもお父さんも、先生も……。私なんかが生まれたから……。うわあああああああああ……。」


 陽菜は自身の能力のせいで母、父、二瀬先生の3人が亡くなったと自覚してしまった。ただでさえ亡くなったことに絶望を抱いていたのに、その結果を招いたのは自身のせいだと分かり錯乱状態に。


 「安心しろ。殺して親の元へ連れて行ってやる。ついにこの魔法を使う時が来た。極限開放(リミットブレイク)・死の誘拐《ネクロ・アブダクション》」


 錯乱状態の陽菜に禍津(まがつ)は謎の魔法をかけた。


 「よし喜べ。これでお前が死ねばお前の『世界解答(ワールドアンサー)』は俺の物になる。では、痛みの無いように一発で殺してやろう。」


 魔法を唱えようとしたその時、


 「上級(グラーヴ)・雷衝波(サージバスター)」


 「なに!? くっ何だ。」


 「ひなを殺させるわけにはいかないわ!」


 「ひ……めちゃん?」


 「私だけじゃないわ。」


 突如、電撃が禍津(まがつ)を襲った。不意を突かれた禍津(まがつ)は離れ迎撃態勢を取った。


 「レンジ! 一度脱出する! 奴らが来たぞ!」


 「ああ、お前の言うとおりだったな。やはりやつらも来たか。」


 禍津(まがつ)が外に出てレンジと合流した。しかしすでに数十人に囲まれていた。


 「やはり、お前らも『世界解答(ワールドアンサー)』を狙っていたか?」


 「ええ、そうよ。久しぶりね。ただ、あなた達と違って私達『蛍火(ほたるび)』は彼女の保護を目的としているのよ。」


 禍津(まがつ)が相対した相手は、『蛍火』と名乗る組織に入っている女性だった。


 「禍津(まがつ)、どうする?」


 「目的はほぼ達成した。あいつには既に極限開放の魔法で呪いをかけている。どのみちすぐ死ぬさ。その後は『世界解答(ワールドアンサー)』は自動的に俺の能力になる。ずらかるぞ。」


 禍津(まがつ)はそう言って、魔道具でゲートを開きレンジと共に去っていった。陽菜は状況を理解できないまま意識を失った。



――1週間後


 「う、……んっ。」


 「良かったひな……。目が覚めた……。」


 「……ひめちゃん? ここは?」


 「ここは病院よ。」


 「病院?」


 陽菜は数日間寝込んでいたこともあり頭が回らない。


 「あら、目が覚めたのね? 無事で何よりよ。」


 「あなたは?」


 「私は『蛍火』のトップ、周防(すおう)マリアよ。ご両親のことは助けに間に合わなくて申し訳ないわ。」


 「あ、頭を下げないでください……。」


 蛍火のトップを名乗った女性マリアが陽菜に深く頭を下げた。陽菜は突然のことに戸惑っている。


 「あれは、夢じゃないんですね…………。」


 「ええ。断念だけど……。」


 「や、奴らはどうなったんですか!?」


 「あの2人組は既に逃走したわ。今頃自分たちの組織の中で今までと変わらない生活を送っているでしょうね。」


 「そ、そんな……。」


 「『深淵の救済(アビス・リリーフ)』っていうのが奴らの組織だけど私達『蛍火』と同じ『星間治安組織群』に所属しているの。

 向こうの方が『蛍火』よりも規模が大きくて表向きは宇宙の治安維持に貢献しているから告発ももみ消されるの。」


 「……そんなことって。」


 陽菜は怒りとやるせなさで頭がいっぱいになっている。


 「そういえば、3時間も気絶してたんですか?」


 陽菜は時計に表示された時間と曜日を見て言った。


 「ひな……1週間よ。」


 「え?」


 「あの日からちょうど1週間眠っていたのよ……。」


 「1週間!? そんなに時間が経って……。」


 姫香に告げられた1週間という言葉に陽菜は驚きを隠せない。


 「それと天宮さん、目覚めたばかりに酷なことを言うわね……。」


 「は、はい。」


 「……葬儀は既に終わったわ。」


 「………………う、嘘……ですよね……?」


 「いいえ、本当よ。」


 「そんな……お母さんとお父さんが……死んじゃった時に……何も言えてないのに……。葬儀で最期に、今までありがとうも言えなかったなんて……。

 う……うわあああっ!」


 最期の別れも言えなかった、その事実に陽菜は打ちのめされた。


 「私……私は……、両親を殺したあいつらを殺したい……。私自らの手で奴らに後悔と絶望を味わわせたいです。」


 「……なるほど、『復讐』というわけね。なら私たちの組織、『蛍火』に入るのはどうかしら?」


 「え?」


 深い絶望の中、陽菜は両親を殺した者への復讐心が心の奥から湧き上がってきた。その言葉を聞いたマリアは陽菜に自身が作った組織に入らないか勧誘した。


 「奴らの組織は大きすぎる。個人で倒そうにもそもそも辿りつけることすら困難よ。それにあなたは奴の呪いを受けてしまった。あなたが意識を失っている間に検査したらあなたの呪いを中和するためにあなた自身が持っているマナの95%以上を使っているわ。」


 「中和? どういうことですか?」


 「奴に受けた呪いは本来は数日の間に対象を死に至らせるとともに能力を奪ってしまうものよ。これは憶測だけど、あなたの『世界解答(ワールドアンサー)』があなた自身の大部分のマナを使って呪いを抑え込んでいるのよ。」


 「……? あっ! それじゃ……まさか!?」


 「そうよ、あなたがこれから先使えるマナは今のままだと5%以下程度しかないのよ。今のあなたは中級魔法すら満足に使えないわ。」


 「そんな……。それじゃあ復讐なんてできない……。」


 「『蛍火』に入ってくれれば2つ方法を提供できるわ。

 1つ目は解呪する方法を見つけてあなた自身が奴を殺す。

 2つ目はあなたの代わりに私達『蛍火』が奴を殺すサポートをしてもらうこと。

 今決めなくてもいいわ。しっかり考えてからね。」


 「はい……。」


 陽菜は自身を蝕んでいる呪いについて知った。「復讐」をするためには今のままでは成し遂げることはほぼ不可能だということも。


 「私ができることは……。」



――2日後


 「私は『蛍火』に入ります。この命を懸けて奴らを殺します。だから、力を貸してください!」

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