11話・夏祭り
見てくださってありがとうございます!
差し支えなければ☆評価やブックマークで応援していただけると嬉しいです!
「ちょっと待ってひめちゃん!? それってどういうことっ!?」
姫香の突然の言葉に陽菜は慌てる。
「姫香、急にどうしたの? 誰かに何か言われた?」
「ああ! ごめんなさい。言葉が足りなかったわ。」
葵が質問した後、陽菜の慌てぶりを見て姫香も慌てて付け足そうとする。
「私、ひなを守るためにもっと強くならなくちゃいけないの。だからひなから離れるわ。」
「強く……。ってなんでそれが私と離れることに結び付くの!?」
陽菜は姫香の言葉を聞いて少し泣きそうになりながら言った。
「私は確かにひなのおかげで昔と比べて強くなってきてるわ。でも、この前の魔物との戦いで気付いたの。私が足を引っ張ってるままだって……。私が成長するよりも早く陽菜たちはどんどん強くなっていってるって。」
「足なんて引っ張ってないよ……。だからそんなこと言わないで……?」
「私はひなと一緒にいると甘えちゃうわ……。私はひなが傷つきながら戦っている姿を黙って見ているのは辛すぎるわ。」
「それは……。」
陽菜自身、姫香の立場だったら同じことをするかもしれない。そう考えると引き留めたい言葉が喉を通らなくなった。
「昨日両親に直談判したわ、学校を辞めるって。」
「親に言ったの? じゃあ反対されたんじゃない?」
陽菜の代わりに葵が質問した。
「最初はされたわ。でも私は、ひなのために世界一強い魔法使いになると言ったわ。
もともと両親は私が弱いときは物として扱うくらい強さ至上主義。だからその言葉を聞いた時には何も反論しなくなっていたわ。」
「学校を辞める理由は……?」
姫香の説明を聞いた後、陽菜は弱々しく聞いた
「それは時間を確保するためよ。私は全てを投げ打ってでもできるだけ早く陽菜を追い越したいわ。いつまたこの前みたいな戦いが起きるか分からないし……。」
「うぅ……。でも嫌だよ……。ひめちゃんと別れたくない。」
陽菜は姫香の答えに納得はしていないようだ。
「ひな、何も一生別れるわけじゃないわ。できるだけすぐに戻ってくる。」
「でも……。でも……。」
陽菜はしゃがんで頭を抱えたままうずくまっている。
「ひな、学校を辞める決断は変わらないけど……。ひながどうしても嫌だったらひなと一緒にいるわ……。」
「え?」
急に選択を迫られた陽菜は動揺している。
「私はひなのことを愛してるわ。だから、この『選択』はあなたに委ねる。」
「そ、そんなこと言ったら。私行かないでって言っちゃうよ……!」
「ええ、ひなが決めたんなら私はそれに従うわ。」
(ただでさえ陽菜は二瀬先生との出来事で傷心してるのに、姫香までいなくなったらきっと耐えられない。だけど、あの子は……。)
「ずるいよ、ひめちゃん……。最後に私に選ばせるなんて。」
姫香と葵は陽菜を見つめる。
「行かないで……。これは私の我儘な願望。でもそれじゃ駄目だよね……。ひめちゃんの悩みを無視してまで私に縛り付けるのは。……頭では分かってるの。
……ひめちゃん、さよならじゃないよ。絶対に戻ってきてね。行ってらっしゃい……。」
「ひな……。大好きよ。行ってくるわ。」
「絶対、絶対すぐ強くなって戻って来てねーーー!」
去る姫香の背中を目に焼きつけつつ、その姿が見えなくなるまで陽菜は見送った。
――そして、時は過ぎ小4の夏
「ねえ、葵~。今日の帰りアイス食べに行こ!」
「いいよ。いつものクッキー&クリーム?」
「うん! 楽しみ~!」
姫香が去ってしばらく経つ。陽菜は寂しさを紛らわすように、葵への依存が強くなっていた。
「ねえ、陽菜ちゃん、葵ちゃん! 来週のお祭り一緒に行かない? 今5人くらい決まってるよ!」
「もうお祭りの季節か〜。うん私行きたい! 葵もいいよね?」
「そうだね。一緒に行こうか。」
クラスメイトからお祭りに誘われた陽菜と葵。陽菜は祭りが好きなので即決である。
――祭り当日
「葵お待たせ! 浴衣可愛いね!」
「ありがとう。陽菜の浴衣姿も可愛いよ。下駄だから、怪我しないようにゆっくり歩こうね。じゃあ待ち合わせ場所にいこっか。」
葵は陽菜が転ばないように手をつないで待ち合わせ場所に向かった。
「2人ともこっちこっちー!」
「わあ〜。2人とも浴衣凄く似合ってるね~。」
「ありがと〜。あ! わたしりんご飴食べたーい。」
「いいね! じゃあ先に食べ物買ってから他の屋台回ろうか!」
「賛成~。」
集合した後、とりあえず食べものを買いに行くことになった。
「みんな、何食べたい?」
葵はとりあえず食べたいものは何か聞いた。別れて買いに行こうと思ったからだ。
「私は、りんご飴とカステラ!」
「焼きそば!」
「たこ焼き!」
「唐揚げとポテトかな。」
「ラムネ~。」
「かき氷も欲しいよ。」
「いっぱいあるからはぐれないように2手に分かれて買いにいこっか。欲しい個数だけ聞いてね。」
「そうだね! お互いの分買いに行って後で渡し合おうか。」
「了解~。」
陽菜たちは後で合流する場所を決めて分かれた。
「ねえ、さっきから気になってたんだけど手つないでて仲いいね~。」
「それもあるけど、陽菜がこけたら心配だからね。」
「こけたら葵も道連れだね!」
「もー。そうならないようにしっかり歩いてよね。」
葵は照れくさそうにしながら言った。陽菜は楽しくなって葵を茶化してみると、葵は仕方のない子だなぁという表情をしつつも陽菜の手をしっかりと強く握りしめた。
「毎度あり!」
「これでこっちの分は全部買えたね! 集合場所に行こ~。」
買い物が終わって集合場所へと向かう。握っていた手は食べものを持つため既に離しており陽菜は周りの屋台を眺めている、その途中で、
「ねえ、葵ちゃん。」
「どうしたの?」
「葵ちゃんって陽菜ちゃんの事好きなんでしょ? 陽菜ちゃん人気だから取られちゃうよ?」
「急にどうしたの?」
葵は友達から急に陽菜に聞こえないようにひそひそ声で言われ困惑する。
「だって今までは水野さんがいたでしょ! 水野さんちょっと怖い雰囲気あったからみんな陽菜ちゃんに近づきにくかったけど、今はみんないっぱい陽菜ちゃんと話せてるよ。」
「それは、そうだけども。私は確かに陽菜のことが好きよ。でもそれは姉みたいなものと言うかなんというか……。完全に否定はできないと言えばできないかも……。」
「ねえ、さっきから何ひそひそ話してるの?」
周りを見ていた陽菜が葵達がこそこそ話しているのを見て疑問に思って聞いた。
「ええっと……。」
「花火の時間までにどれだけ屋台回れそうかっていう計画だよ!」
「そうそう……。」
「え〜。それなら私も混ぜてよ~。」
「あっ、ごめんね陽菜。」
咄嗟に友達が思い付いた嘘に葵が乗りかかると、仲間外れにされたと思った陽菜は不満顔をわざとらしく作った。
「でも、できるだけいっぱい回りたいね~。」
「そうね。陽菜、足は痛くない?」
「うん、大丈夫! 葵達も無理しないでね!」
陽菜は心配されたことが嬉しそうに笑っている。
「閃いた!」
「嫌な予感なんだけど……。」
「葵ちゃんも今日は陽菜ちゃんにぐいぐいアピールしようよ!」
「私に拒否権はあるの?」
「無いよ! みんな合流したら手伝ってもらおーっと!」
「ちょっと、待っ……。」
葵が引き留める前に合流して、みんなに提案している。
「はぁ……。この後一体どうすればいいのかな。」
葵はこの後の時間を陽菜とどう過ごせばいいんだろうと悩みながら合流するのだった。




