10話・それぞれの思い
見てくださってありがとうございます!
差し支えなければ☆評価やブックマークで応援していただけると嬉しいです!
「『世界解答』を使って上級魔法を無理やり使えば、あのウツボカズラの魔物は倒せると思うけど……。その前に先生を取り出さないと巻き込まれて死んじゃう……。だから作戦を教えるね。」
「どんな作戦なの?」
「私と葵の中級魔法で飲み込まれたとこを切り裂いて先生を引っ張り出そうと思うんだけど……。ひめちゃんには葵が魔力を貯める間私と一緒に囮になって欲しいの。」
「そうね。それが無難な作戦だと思う。でも囮にひなはいらない。私だけでやるわ。」
陽菜の作戦を聞いた姫香が囮は自分1人だけでいいと言った。姫香には足手まといだという自覚があった。
「うーん……。分かった! でも無理そうだったら言ってね?」
「分かってるわ。」
「『世界解答』!」
少し悩んだが時間もないため陽菜は納得した。陽菜はまだ火属性以外中級は使えない。風属性の中級を使うために今回は『世界解答』に補助させることにした。
(陽菜はそんなに長くスキルを使えないはず。しかも今回は上級魔法と得意属性じゃない風の中級を使うみたい……。絶対に外さないようにしないと。)
葵は陽菜の『世界解答』が長時間使えないことを分かっていた。長くても5分は持たないだろうと思い、絶対に一発で成功させるつもりだ。
「お前の相手はこっちよ。初級・閃光弾」
「キュイイィィィィ!!!」
姫香は囮として近づき魔法で魔物の注意を引き付けようとする。魔物は姫香の方を向いて消化液を飛ばしてきた。
「当たったら骨まで溶けそうね……。」
「ひめちゃん! その攻撃はチャージに5秒かかるけど射程はこの部屋全部だから気を付けてね! 他の攻撃はさっきの丸呑みとツルでの物理攻撃があるよ!」
「分かったわ! ひな達の方に撃たせないようにする。」
陽菜の『世界解答』で敵の攻撃手段を教えた。
(早く魔力を貯めないと5分経っちゃう……。)
「んん~……。」
「葵、焦っちゃだめだよ! 大丈夫! 私たちが負ける未来は絶対に回避させるから!」
葵が早く中級を撃とうと焦っているのを見て、陽菜は『世界解答』を使って最悪の未来は避けるから大丈夫だと言った。
(落ち着け……。焦ったら焦るほど遅くなる。陽菜を信じて私は私のできることに全力で……。)
「……貯まった! いつでも撃てるよ。」
「よし! ひめちゃん合図したら離れてね!」
葵のチャージが貯まったのを確認した陽菜は『世界解答』を使って絶対に当たるタイミングを見た。
(当たるタイミングは今から30秒以内に5回ある。そのうち最も効果的になる『選択』は8秒後……!)
「もうすぐ撃つよ! 葵、3カウント目で発射してね!」
「ええ!」
「1、2の、3! 中級・疾風斬撃」
「中級・潮流の刃」
2つの中級魔法が魔物を切り裂く。
「今助けるよ先生! 生きてて!」
陽菜は切り裂かれた場所から二瀬先生を引っ張り出した。
「良かった〜。脈はある!」
「陽菜、鼻血が! 『世界解答』の使い過ぎだわ!」
「大丈夫! もうこれで終わらせるから!」
既に5分は経過している。陽菜にとってこれ以上『世界解答』を使わせるのは良くないと葵は思ったが陽菜の意志は固い。
「ひな……。ぶっ飛ばしちゃいなさい。」
「うん! 2人とも私の後ろにいてね!」
「キュウゥゥゥゥゥ!!」
魔物は切り裂かれた場所を既に修復しており陽菜に向かって酸を飛ばしたが軽く回避。
「これで終わり! 上級・業火の爆風」
直撃した魔物は塵となって消滅した。そして部屋は元の空間に戻った。
「う……ここは? 私生きてるの?」
「生きてますよ! 痛みが強いところはありますか?」
「っ! 魔物は!? まさかあなたたちが倒したとでもいうの!?」
徐々に意識を取り戻してきた二瀬先生がまさかと言うような表情をしている。
「その通りよ。本当は見殺しにするつもりだったけど、ひなに感謝しなさい。」
「天宮さん、あなたなんで? 私あなたにいっぱい酷いことをしたのに……!」
姫香から助けようと言ったのは陽菜だと聞いた先生は驚きと困惑を隠し切れない。
「二瀬先生。私は確かにあなたに酷いことをされたのかもしれません。それが許されることではないのも理解しているつもりです。
でも、先生が担任をしてくれた3年の間に貰った優しさは絶対に嘘なんかじゃありません! 先生がいなかったら私は今の私になれていませんでした。」
「そ、そんなの……。あなた達が勝手にそう受け取っただけでしょ……。」
「そんなことありません! 先生が今まで私以外のみんなにも向けていた笑顔を見てきたから分かります!
先生、本当に、本当にありがとうございます。」
「……。」
陽菜からの想い、感謝の気持ちを受け取った二瀬先生は言葉が出ずに黙ってしまう。
「ずるいわ……。」
「先生?」
「あなたみたいな子が、私が学生の時にいれば変われたのかな……私の人生?」
「今からじゃダメですか? 私は待ってますよ。先生が罪を償ってここに戻ってくることを。」
「天宮さん……。」
しばらく先生は目をつぶり沈黙の時間が続いた。
「人間、そんなすぐには変わることはできないわ。」
「そんなこと……!」
「天宮さん、私はいつもあなたを見て不思議な気持ちになるの。何であなたはいつも全力で、友達思いで純粋な心を持ち続けているのか。
あなたを見てると何でもやり遂げてくれそうなそんな期待を抱いてしまうわ。きっと私は変われない……。でもあなたが信じてくれるのなら少しは努力してみるわ。」
「先生~……。」
二瀬先生の言葉を聞いた陽菜は色んな感情があふれ出て涙を流した。きっと先生は変わることができるそんな根拠のない思いを陽菜は抱いた。
――翌日
陽菜はあの後、数時間気絶したが後遺症も残ることがなく無事回復した。
先生は警察に全てを話したようだ。魔法水晶という道具で測った罪は5年間のようだ。更生施設に入り5年間その中で働きつつ罪を償ったら出所できるようだ。
「ねえ、二瀬先生捕まったって本当!?」
「優しい先生だったのにわからないものねえ。」
「ショックだよ。今まであんな人が担任をしてたなんて……。」
担任の突然の出来事に児童たちはみな騒いでいる。
「ねえ、陽菜? 本当にあの教師が更生してくると思ってるの?」
「うん! 私は信じるよ。」
「そう……。なら私も信じる。」
葵は教室の中で陽菜の言葉を改めて聞いてその思いの強さを実感した。
「そういえば、今日は姫香遅いね。」
「そうだね〜。ひめちゃん迎えに行ったときは『先に行ってて』って言われたけど何かあったのかな?」
その後、副担任が来て新しい担任が来るまでは自分が担任をすると言った。また、姫香が今日は欠席であると言った。
「心配だね。後でお見舞い行こ!」
「珍しいよね。分かった。」
そんな話をしていると、姫香からメッセージが届いた。
「放課後、ひなの家の近くの公園に来て。」
陽菜たちは何か大切な話があるのではないかと心配になったが行ってみないと分からないので放課後向かった。
「ひめちゃん! 良かった顔色は悪くなさそうで……。それで今日はどうしたの?」
「ひな、私は……。」
姫香は言い淀んで少し沈黙した。そして深呼吸していった。
「私は陽菜から離れたいわ。学校もやめるわ。」
見てくださってありがとうございます!
おかげさまで10話まで毎日投稿を継続できています!
作品を楽しんでいただけましたら、ぜひ評価やブックマークで応援していただけると嬉しいです!




