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破滅悪魔セラさん、なぜか俺に懐いてます。  作者: 桐原悠真
第3章

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第14話 願いは進行している

 セラは悪魔界へ戻った。


 そして、いつもの受付へ向かう。


 古い石畳の道を進み、暗がりの角を右へ曲がる。


 このあたりは少し寂しい。

 けれど、中へ入ると意外と賑わっていた。


 悪魔たちは依頼を受けるため、ここへ集まってくる。


 ここにいる悪魔たちは様々だ。


 楽しくて依頼を受けている悪魔。

 要するに、趣味でやっている悪魔。


 それと、稼ぎたい悪魔。


 だが――ほとんどの悪魔は、解放されたくて依頼を受けている。


 土の悪魔も、基本的にはそうだ。


 破滅ポイントだったり、別のポイントだったり。

 それぞれが、自分の契約で動いている。


 対価だ。


 対価を支払い、悪魔契約をした者が、基本的には悪魔になる。


 ただ、それとは別に。

 悪魔になりたくて悪魔になる者もいるし、堕とすこと自体を趣味にしている悪魔もいる。


 そこはまた別の話だ。


「すみません」


 受付の悪魔が顔を上げる。


「あの……今回の依頼、終了しました。次の依頼を受けたいのですが」

「できれば……同じ地区でお願いします」


 淡々と話は進んでいく。


「はい。案件はこちらになります。どれにします? 結構ありますけど」


「破滅ポイントって、どれくらいで終わります?」

「これ全部したら終わりますか?」


「これ全部したら……いけますね」


 受付の悪魔が資料を見ながら続けた。


「何というか……時間が延びると、破滅ポイントが加算されていくシステムなので、長期で請け負う場合は……もう少し必要になります」


「ああ……やっぱり」


「少しでも早い方が、短い期間で終わりますよ」


「破滅ポイントって、終わったらどうなるんですか?」


「解放されますが」


「解放って?」


「破滅ポイントを、もう稼がなくてもよくなります」

「それと……依頼した願いが叶いますよ」


「はい」


「ただ……わかっていますよね」

「願いは叶いますけど、あなたは、その願いを頼んだ記憶を完全に失いますよ」


「わかってます」

「もう、ほとんど忘れてます」


「ですよね。大切だったのに……いいんですよね」


「はい」


 受付の悪魔が、少しだけ表情を曇らせた。


「あの……セラさん。無理しないでくださいね」

「私は、ここで受付業務をすることしかできませんが」


「はい。ありがとうございます」


「あの……色々なこと、教えてもらえないんですよね?」


「すみません。私もわからないんです」


 申し訳なさそうに、受付の悪魔が言う。


「私も、ここに縛られた一人ってことです」


「お互いに……ポイント頑張りましょう」

「解放されるまで」


「はい」


 セラは頷いた。


「とりあえず、全部請け負います」


「わかりました」


 受付の悪魔が手続きを進めていく。


「これ……全部処理しましたので、依頼内容はそちらに表示されるようになったと思います」


「ありがとうございます」


「それと、こちらなのですが……ここで到達までどれくらいかが表示されるようになりました」


「えっと……セラさんの場合は、もう少しだから表示されるようになったのだと思います」


「だから、わかりやすくなったと思います」

「それと、ここまで来ると体感も出てくるはずなので、わかりやすくなるのではないでしょうか」


「ここからは、体感も反映されるんですね」


「それと……願いも反映されていっているはずです。破滅ポイントが進むにつれて、進行中でもありますから」


「進行……してるんですか。わかりました」


 セラは少し考えてから口を開く。


「あの……記憶が抜けるってことは、記憶に関することが私の願いだったとかあります?」


「それだけではないと思います」

「何となくですが」


「答えられないことばかりでごめんなさい」

「あの……上しかわからないんです」

「特に破滅ポイントは、わからないことが多くて」


「でも……悪魔って、ほとんど破滅ポイントですよね」


「まあ……そうです」


「でも、破滅ポイントが一番契約はきついですけど、一番しっかり作られてるみたいです」


「だから、契約内容とポイント量がおかしいってことはないみたいです」

「他のは、ちょっとおかしいこともあるみたいですけど」


「だから、皆、破滅ポイントで結ぶんだと思います」

「願いも、あまり歪みにくいですからね」


「はい」


「確か、他の契約だと歪み率があって、それで術をかけるから歪みが発生するんです」

「だから、成功率が高いもので契約すると、これしかないですよね」


「私も……破滅ポイントでしました」

「ちなみに……八割は破滅ポイントですよ」


「ですよね」


 受付の悪魔が、小さく苦笑する。


「上の悪魔たちは良心的なんだって言ってましたけど……本当に? って言いたくなりますよ」


「でも……対価としては、かなり細かく数値を入れて決めたらしいので、一応ちゃんとしてるみたいですけどね」


「でも……わからないようになっていくっていうのが……対価の厳しさですよね」


「はい」


「もう少し緩くなってくれたらいいんですけどね」


「なかなか難しいですよ」


 受付の悪魔は、少しだけ困ったように笑った。


「依頼……頑張ってくださいね」

「破滅ポイント、早く獲得できて、解放されるといいですね」


「ありがとうございます」


今回は、少しだけ悪魔界側の仕組みを書いてみました。


破滅ポイントがどういうものなのか。

そして、悪魔たちがどういう理由で依頼を受けているのか。


セラ自身も、まだ全部を理解しているわけではありません。

ただ、“忘れていく”ことだけは、少しずつ実感し始めています。


受付の悪魔との会話も含めて、静かな回になりました。


次回から、また依頼側へ戻っていきます。

引き続き読んでいただけたら嬉しいです。


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