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破滅悪魔セラさん、なぜか俺に懐いてます。  作者: 桐原悠真
GW外伝:青斗の実家

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20/20

外伝7話 帰る場所が増えた日

 ゴールデンウィークも、もう終わる。


「セラちゃん、また来てね」

 母さんが言う。


「セラちゃん、いつ来てもいいからね。いつでも歓迎だから」

 父さんも続けた。


「喧嘩したら、ここに逃げてきたらいいんだよ」

 橙也が笑う。


「喧嘩しないから大丈夫だ」

 俺はすぐに返す。


「いや、わからないだろ。いきなり出て行ったらどうするんだよ。兄ちゃん、結婚相手いなくなるぞ」


「お前な……」


「そうよ。青斗、セラちゃんに逃げられないようにね。こんなにいい子なんだから」


「結婚式、楽しみだな」

 父さんが言った。


「あの……まだ早いですから」

 セラが、少しだけ困ったように笑う。


「また、来ますね」


 そう言って、セラと俺は家を後にした。


 ***


 帰り道。

 俺たちは、ゆっくりと歩いていた。


 セラの姿は見えないのに、すぐ隣にいる気がする。


「結婚式って言ってたな」


「うん。私、見えないのにね」


「人間だったら……よかったけど」


「いや、そういう意味じゃない」


「悪魔なんだから、仕方ないだろ」


「うん」


 少しだけ、間が空く。


「ねえ、青斗。

 私がいたら――彼女もできないんじゃないの?」


「まあな。別にいないからいいんだよ」


「そうだけど……結婚とか、したいんじゃないの?」


「それより、相手いないだろ。気にするな」


「……そう」


 小さく返ってくる。


「それよりさ……破滅ポイントって、いったいどこまで行くんだ?」


「私も……わからないわ」


「削られてるわけじゃないよな?」


「私、終わらせたいの」


「少しでも早く」


「これに縛られたくないっていうか……」


「でも……どうなるんだろ」


「セラ……いつか俺たち、離れるのか?」


「……どうかしら」


「でも……そうなるよね」


「私は、こんなだし」


「私は……何を願ったのかしら」


 ***


 俺たちは電車に乗った。


 やっぱり、異様だ。


 慣れないな……。


 俺の隣だけが空いている。

 まるで、最初から誰も座れない席みたいに、自然にスルーされていく。


 ――そこに、セラがいるのに。


 やっぱり、セラの座っている場所には誰も近づかない。


 なかなかのホラーだった。


 行きのときと同じで、やっぱり似たような感じだった。


 今度は――おじいさんに、勝手に拝まれるし。


 俺が拝まれているみたいだ。


 何だか、怖い。


 いや――セラがいるだけだ。


「このお姉ちゃん、綺麗ね。お姉ちゃん、バイバイ」


 そんなふうに、子どもに話しかけられることもある。


 やめてくれ……。


 よく考えたら、こんなホラー現象と一緒に住んでるのか。


 そして――結婚とか言われてるのか。


 俺って、実は普通にやばくないか?


 ちょっと間違ってる?


 厄介事を抱え込みすぎてるのか?


 ***


 それに――帰ったら、赤石のこともあるよな。


 赤石か……。


 あいつもあいつで、連絡してくるんだよな。


 ゴールデンウィーク中も、

『青斗、何やってる?』

 って、毎日来てた。


 女子高生かよ、って思ったが……まあ、そんなものか。


 赤石だし。


 帰ったら遊ぼうって言ってたな。


 仕方がないな。


 俺も、友達いないし……。


 ***


 ゴールデンウィークが終わる。


 これから、またあの日常が始まる。


 セラと俺の、異常な日常が。


 こいつに懐かれて、暮らしている。


 破滅ポイント……いつ終わるんだ?


 そんなことを考えながら、電車に揺られていた。


 ***


 家に着いた。


 帰宅した家は、いつもと同じだった。


「ねえ、青斗」


「何だ?」


「もう一度、悪魔界に戻る」


「この前も行ってきたんじゃないのか?」


「あの件は、もうポイントを稼いだの」


「え?」


「実は……少し削ったから」


「ああ……そうだったんだ」


「それで、今度もできるだけ同じように行くといいんだけど」


「待っててくれるかしら」


「ここにいてもいいんだよな?」


「行くところ、ないんだろ?」


「うん」


「待ってるから」


「早く戻ってこい」


 ***


「破滅ポイントの件……まだまだあるのか?」


「うーん、今度の案件がどんなのかはわからないけど、内容次第で結構進むから」


「もしかしたら、終われるかも……って思ったりもしてる」


「私……本当に大丈夫かなって思ったり」


「ほら、悪魔だしね」


「ああ……そうだな」


「でも、無事に解放されることを願ってる」


「ありがとう」


 ***


 今度は、何があるのか……。


 早く終わればいい。


 ――そう思っているはずなのに。


 ほんの少しだけ、引っかかっていた。

ゴールデンウィークが終わって、日常に戻る――

はずなのに、少しだけ何かが変わっている。

そんな回になりました。


家族に受け入れられていくセラと、

それをどこか当たり前のように感じている青斗。


でも、その一方で、

“終わるかもしれない関係”でもある。


この二つが同時に進んでいるのが、

この物語の少しだけ歪なところです。


電車のシーンも含めて、

日常の中にある違和感を楽しんでもらえたら嬉しいです。


次回は悪魔界側の動きも含めて、

少しずつ“破滅ポイント”の輪郭に触れていく予定です。


引き続き、よろしくお願いします。

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