↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
邪道転生〜思ってた転生と違うんですけど!〜  作者: 玉将
第二章 願いの塔 入門編
49/58

49:口づけ

 


 思っていたより弱かった『牛頭巨人(ミノタイタン)』を無事に倒し地上に降りると、そこにはいつのもように魔石が落ちていた。だが……


 ス、《紋様(スティグム)》の魔石より小さい……!!魔石の大きさと魔物の強さはイコールじゃないけど、《階王(カイオウ)》と呼ばれる魔物がそれでいいのか……。


 [ーーッ!アキト!]


 すると、ユリウスが呼びかけてきた。もちろん魔物が強襲を仕掛けてきたわけじゃない。そのぐらいは今の俺もわかるようになっている。じゃあ一体何がーー


「あ!」


 これだ。ユリウスはいち早く気づいたんだ。

 地面にポツンと転がり落ちている角。これは、これは……!!


「ドロップアイテムだ!!」


 きた。キタ。キターーーーーー!!!!

 ついにやってきましたドロップアイテム!それも《階王(カイオウ)》のドロップアイテム!!これはひょっとすると超強力アイテムなんじゃないの?!仮にも《階王(カイオウ)》!思ったより強くなかったけど、されど《階王(カイオウ)》!期待しないわけにはいかないだろ!!


 早速その角を拾い、360度全方向から舐めるように見る。

 それは角の形をした笛だった。角笛ってやつだ。吹けば『牛頭巨人(ミノタイタン)』の衝撃波(ショックウェーブ)が出たりするんだろうか。胸の高鳴りが止まらないぜ!


 [ユリウスさん!ナイス発見ですよ!]

 [いえいえいえ!みんなの頑張りがあってこそのものですよアキトさん!《階王(カイオウ)》のドロップアイテムなんてすごいよ!きっとすごい価値があるよ!]


 二人で大喜びだ。今まで全く出なかったドロップアイテムがまさか《階王(カイオウ)》で出てくるなんて……!


「おめでとうございます!すごいじゃないですか!」

「ありがとう!今日の頑張りが報われた気がするよ!」


 本当に。別にドロップアイテムを狙うために塔(オラシオン)に来ているわけじゃない。しかしラッキーアイテムがゲットできるとできないじゃ気分が全然違うんだ。


「これ、使ってみていい?角笛だし、たぶん吹いて使うやつだろうし!衝撃波(ショックウェーブ)とか出るかもしれないからさ!一応空に向かって吹いてみるからさ!」

「ふふ。アキトくんったら本当に嬉しいんですね。ぜひ吹いてみてください」


 俺がトドメを刺したわけだけど、これはみんなで倒した魔物だしみんなのドロップアイテムだ。俺一人が独占していいものじゃない。けど!それはそれ!ドロップアイテムはドロップアイテム!嬉しいものは嬉しいんだ!


「では!いきます!」


 深く息を吸って肺に空気を入れる。そして、天に向かって思いきり角笛を吹いた。しかし……


 ブモォ〜〜〜〜〜


 なんとも間抜けな音が響き渡り、なんとも気まずい空気が場を支配した。


「ご、ごめんごめん。俺、笛とか使ったことないからさ。ちゃんと吹けなかったのかも……」

「そ、そうですね!もう一度お願いします!」


 取り繕うように笑うメアリーちゃんを見て、泣きたくなった。次こそは失敗しないように。なにが成功かはわからないけど、あれが成功なんてことはないはずだ。


 息を整えて、再挑戦。

 だが……


 ブモォ〜〜〜〜〜


「……」

「……」

 [……]


 いたたまれない。さっきまで大喜びしてた自分をぶん殴りたい。みんなからの哀れみの視線が辛すぎる。もう帰りたい……。


「あっ!い、一度私がやってみますね!もしかしたらきれいにできるかも!」

「そ、そうだな!頼む!俺の無念を晴らしてくれ!」


 メアリーちゃんが角笛に口を付け、息を吸い込む。

 あ、あれって、か、かっ、間接キしゅっ……!!なんて考える心の余裕は俺にはなかった。頼む……!成功してくれ!《階王(カイオウ)》から出たドロップアイテムがゴミなんて、悲しすぎる……!《階王(カイオウ)》がそんなに強くなかったから尚更不安になるんだ!


 そして、メアリーちゃんが奏でた音はーー


 ブモォ〜〜〜〜〜


「……」

「……」

 [……]


 地獄。ここが地獄じゃなかったら他に地獄はない。誰も悪くない。だからこそ、俺達はこの胸の悲しみと虚しさを発散することができなかった。


「よし。今日の目標はここまでだったけど、どうする?」

 [さ、さっきまでのことをなかったことにしてる……!]


 ユリウス。そういうときは黙ってスルーしてやるもんだぜ。それが優しさってやつだ。


「え、えっと、《階王(カイオウ)》がそんなに強くありませんでしたし、《魔力回復薬(ポーション)》もまだたくさん残ってますから次に進んでも問題ないと思います!」


 メアリーちゃんは優しいんだね。涙が出そうだよ。


「第十五階層には転移魔法陣もあるし、いけるとこまでいってみようか」


 [ユリウスもそれでいいか?]

 [うん!まだまだ余裕だよ]


「じゃあみんな同じ意見ってことで、次の階層に進もうか!」


 忌々しい角笛も腐ってもドロップアイテム。魔法袋にしまってからユリウスと入れ替わった。


 ここからまた領域が変わる。第2ステージだ。だが、俺達ならきっと協力してやっていける。そう信じて、階段を登っていった。未だ遠い最上階にたどりつくために。












 次の階層に待ち受ける惨劇の元へと、足を運んでしまったんだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。