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邪道転生〜思ってた転生と違うんですけど!〜  作者: 玉将
第二章 願いの塔 入門編
47/58

47:階王




 塔(オラシオン)には10つの領域が存在する。第一階層から第十階層が大森林に似た空間であるように、10階層毎にその領域が変わる。

 そして、その領域の最後の番人として待ち構えるボスーー通称、『階王(カイオウ)』。


 その名前からわかるように、その領域の中で最も強い。文字通り『王』というわけだ。


 事前に仕入れた情報によると、第十階層の『階王(カイオウ)』は1匹で待ち構えているタイプらしい。つまり、『階王(カイオウ)』を倒すだけで第十階層は終わりだ。先程のドラゴン祭りを思い返せば、少しは戦いやすいんじゃないだろうか。逆に言えば1匹でも十分強力だってことだけど。


『階王(カイオウ)』は一度倒されれば復活するまでに時間がかかる。第十階層に待ち受ける『階王(カイオウ)』は復活までに丸二日を要する。運良く倒されたてホヤホヤで第十階層はスルー……なんて期待はしないほうがいいだろう。第九階層にウジャウジャいた『竜(ドラゴン)』を考えると、直前の二日に誰かがここを通ったとは考えにくい。


 だから階段を登る前に戦闘準備を万全にしておく。今回も初めから俺が表に出て行く作戦だ。


「【神秘(レーテル)】風雷坊(ふうらいぼう)」


 《比翼・黒式》もすでに手の中だ。いつ襲いかかられても大丈夫なように。転移した途端に攻撃されたらまずいもんな。


「【神秘(レーテル)】疾風の鎧」


 メアリーちゃんも同様に魔法を唱える。彼女の複合魔法『花炎風(かえんふう)』は切り札的な要素が強いから、ここぞという時のためにとっておきたい。


「よし。準備オッケーだ。いこう」

「だいぶ強力な魔物と聞いてますからね。怪我したらいつでも言ってください。すぐに治しますから」

 [牽制は僕に任せてよ。アキト達には近づけさせないから」


 頼りになる仲間と共に階段を登る。

 さあ、どれほどの強さを持つのか。第十階層の『階王(カイオウ)』ーー『牛頭巨人(ミノタイタン)』は。



 ーーーーーー



 階段を登っていると視界が切り替わり、俺達は森林領域にいた。この感覚にももう慣れた。第十階層に転移したんだ。


 俺達の目の前ーーというには遠すぎるだろうけど、それぐらい近くに感じるほどに巨大な魔物がいた。


 牛の頭を持つ、全長30メルターの巨人『牛頭巨人(ミノタイタン)』。額からは2本の長い角が伸び、右手にはその腰に届くほどに巨大な斧を持っていた。


「でっか……」[でっか……]


 思わずユリウスとハモってしまった。

 今まで見た魔物の中でダントツでかい。近づけば視界に入りきらないだろう。


「えーと、あれ、ほんとに斬れるんですかね?」


 メアリーちゃんも同じ感想を抱いたんだろう、というか人間なら全員同じ感想を抱く。


「斬る!それしか道はない!」


 絶対にやれると自分に言い聞かせる。魔法はイメージの力、こういうことも結構大事なんだ。

 まあ、もしヤバくなったら転移魔法陣に逃げればいい。逃げることぐらいならできるはずだ。《紋様(スティグム)》より強いと仮定すると、苦戦することは間違いないからな。


 俺達の驚きをよそに、遂に『牛頭巨人(ミノタイタン)』は動いた。


「ブモオオオオオオオオオ!!!!!」


 天に向かって鼓膜が破れそうになるほどに巨大な咆哮をあげた。俺達に気づいたようだ。


『牛頭巨人(ミノタイタン)』はこちらを見下ろし、その斧をーー


「させるか!先手必勝!『紫電一閃』!」

「『槿花一刃(きんかいちじん)』!」

 [【神秘(レーテル)】焔々の業火球《えんえんのごうかきゅう》!]


 振り上げる前に斬りかかった。俺は右足、メアリーちゃんは左足。ユリウスは顔面にズドンだ。

 誰がわざわざそんなでかい斧の攻撃を待ってやるか!こちとら命がかかってますからね!


 ただ、ここで想定外のことが一つ起きた。


「ブモオオオオオオオ!!!!」


 牛頭をミディアムに焼かれた『牛頭巨人(ミノタイタン)』は絶叫をあげた。


 俺の《比翼・黒式》には『牛頭巨人(ミノタイタン)』の血がべっとりとついていた。


「あ、あれ?思ったよりスパッと斬れたな……」


《紋様(スティグム)》はこんな楽に斬れなかった。一太刀に全力の力を込めて、それでやっと斬れたんだ。それなのにこいつは……


 もしかするとーー『牛頭巨人(ミノタイタン)』ってあんまり強くないのかもしれない。



ミノタイタンくんは初めはざっくり50mぐらいの大きさにするつもりだったんですけど、50mは巨人漫画のあの人と同じ大きさだと知って小さくしました。それに伴って前回までのドラゴン達も一回り小さくなりました。



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