04:3分の2の純粋な自己嫌悪
どうやらこの身体の本来の持ち主ーー『彼』が目を覚ましたようで、俺は久々に光を見た気がした。まあ、長くても一晩ぐらいだろうけど。
その後はなんてことのない日常が続いた。
いや、俺にとっては驚きの連続なんだけど。
予想通りというかなんというか、転生したときに見た2人の男女が『彼』の両親のようだ。
この数日間だけでも、彼らが息子を愛しているのがわかった。
『彼』を見つめる慈愛の目、その目に自らの両親の目を思い出し感傷に浸った。
そして、それと同時に自分という異分子が『彼』という存在を汚してしまっているんじゃないかという罪悪感に押しつぶされそうになる。
普通の子に産んであげれなかったと両親は涙を流すだろう。俺が何度も何度も謝られたように。俺がいるせいで普通じゃなくなった『彼』は。
この世界の言葉がわからないので何を話しているかはわからないが、父のほうは毎日出かけては狩りで仕留めたであろう獲物を持ち帰ってくる。
母は基本的に家にいる。専業主婦ってやつだ。『彼』が生まれたばかりだから育休的なやつを取ってるのかもしれない。
家からはまだ出たことはないが、この家は一軒家のようだ。
電気も通ってなさそうなのに、それっぽい道具に触れれば明かりがついたりと、不思議発電も目撃した。
父が直接狩りに出て行っていたことから、少なくともこの家は貴族とかではないだろうなと予想なんてしてみた。
なんせ、やることーーできることが少ない。
考えることと魔力を探すことしかできることがないので、ここ最近はずっとこの二つをするばかりだ。
そして考えたのが、たぶん俺は魂という存在になっているという仮説だ。
地球にいたときには考えられない状況だけど、そう考えないと今の自分の存在が謎すぎる。いや、魂って考えも謎なんだけど。そもそも脳もないはずなのにどうやって考え事してるんだ。
地球にいれば人体実験コース真っしぐらじゃないかな。
話は戻るが、魂と魔力は深く繋がっている気がする。
自分という存在の奥底に、今まで感じたことがない新しい何かを感じるんだ。例えるなら、髪の毛を動かせたりするようになる感じかな。できそうなイメージだけどできない感じ。
ここらへんをもうちょっと理解すれば魔力も扱えるようになると思うんだけどな。
そんなことを考えていると、視界が徐々に狭くなってくる。
どうやら、『彼』はもうおやすみのようだ。
また暗闇の中に1人か……。早く起きてくれることを願いながら、朝が来るのを待った。




