10:親バカは盲目
初ブックマークを頂きめちゃくちゃ嬉しかったです。
面白いものが書けるようにがんばります!!
「それでね!ユリウスが階段から落ちたんだけど、私の魔法は間に合わなかったのに不思議な動きでユリウスは無事だったの!」
「ん〜、いや、それほんとにどうなってるんだ?とにかくユリウスに怪我はないんだな?」
「怪我はなかったわ!きっとユリウスには神様の加護があるに違いないわ!特別な子なのよ!」
「いや、神様の加護なんて聞いたことないんだが……」
ユリウスくんの第一声記念パーティーのための豪華な食事がテーブルに並び、それを食べながらジェシカさんは未だ興奮冷めやらぬ様子で階段の一件をユージーンさんに報告していた。
ちなみに先ほどユージーンさんが捕獲してきた『黄金鳥』というのは高級食材のようで、光が当たるたびにその肉はキラキラと黄金色に輝いていた。
ユリウスくんが食事をしても、俺は味わうことができない。物凄くもどかしい。どんな味がするんだろう。
俺ができるのは『見ること』と『聞くこと』だけなのだ。
五感のうちなぜ視覚と聴覚だけ使えるのかはわからないが、考えてもわかりそうにもないので早々に考えるのは諦めた。それよりも魔力を鍛えたほうが良いだろう。
しかし、魔力を使えば触ってる感覚は味わうことはできるので、触覚もあるといえばあるのかもしれない。第六感ってやつかな。
話を戻すと、ユージーンさんはジェシカさんの話にいまいち納得がいっていない様子だった。
神様の加護というのはジェシカさんの思いつきだったようで、実際にはないみたいだ。ま、信じることは個人の自由だよね。
この世界にも神様はいるらしいけれど、本当に実在するのか、それとも信仰の対象として存在するだけなのか、今の俺にはわからない。
ご飯のときには必ず神様にお祈りしてから食べるんだけどな。
「まあなんにせよ無事でよかったよ。しかし、次からは俺がいないときは気をつけくれよ?」
「む〜。あんまり信じてないわね。でもやっぱり元は私の不注意が原因だし、次からは気をつけます。ごめんなさい」
「わかってくれたらいいさ」
一旦この話は終わりを迎えたようだ。
ユージーンさんは途中からは話半分で聞いていたようで、そんな彼の様子にジェシカさんは不満気でありながらも自らの過失を謝罪していた。たしかに俺がいなかったらわりと本気で危なかったしな。
この世界にも治療院っていう病院みたいなところはあるらしいんだけど、即死だとそれも意味はないだろう。あ、蘇生魔法とかあるのかな。
なんにせよ、次からは気をつけてもらいたいものである。
なお、話の間ユリウスくんは机をぺしぺし叩いたり、スプーンをベロベロしたり、柔らかくしてもらった鳥肉を食べているだけだった。呑気なものだ。静かで空気の読める物分かりのいい子、とも言えるかもしれない。
とにかく、俺の存在がバレるようなことはなく、一安心したところで話はとりとめのないものへと変わり、お祝い会は続いていった。
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お祝い会の片付けと寝る準備を終えたところで、ジェシカさんに抱えられて3人で川の字になってベッドの上に寝転ぶ。2人がユリウスくんを挟む形だ。
寝る前に2人は軽く会話を始めた。
「んー。ユリウスも喋れるようになったことだし、1歳の誕生日祝いが終わったら塔に成長祈願にでもいこうかな」
「また行くの?ユリウスが生まれる前にも行ったばっかりじゃない。今日みたいなこともあったばかりだし、しばらくはこっちにいてほしいわ。もちろん私も気をつけるけどね」
「それはそうなんだが……まあ、そうだな。とりあえずしばらくはやめておくよ」
塔か…神社みたいなものもこの世界にはあるのかな。
もし神様がいるのなら俺の今後をぜひ聞いてみたいものだ。ユリウスくんに行く機会があるなら、俺もこっそりお祈りなんてしてみようかな。
今日はユリウスくんの成長と事故と、慌ただしい1日だったが、幸せな家庭っていうのは見てるだけでも幸せな気分になるものだ。
そんなことを考えているとユリウスくんは眠りについた。
さあ、今日はどんな訓練をしようか。




