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エラリア:300年の虚無を経て、ゼロから歩む人生  作者: interwal228


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第3章:他人の人生の欠片

# 第3章:他人の人生の欠片


ミレルはそっとオークの扉を閉め、ナイトテーブルの上に一本の灯火を置き残した。彼女の足音が階段の上で徐々に遠ざかり、五歳のエリアンの部屋には再び夜の静寂が戻ってきた。ただ、軒先を叩く雨粒のまばらで規則正しい音だけが響いていた。


エリアンはベッドに座ったまま、自分の小さな手のひらを掲げ、ゆっくりとそれを握り締めた。


指先はまだ、雪に覆われた峠の幻の寒さにわずかに震えていた。後頭部には鈍く重い耳鳴りが残っていたが、頭の中の霧は完全に晴れ渡っていた。ここ数ヶ月の間に少しずつかき集めていたモザイクのピースが、ついに一つの恐ろしい全体像へと組み上がったのだ。


三百年前、吹雪の中で命を落としたエルフ……。わずかなマナの量と並みの剣の腕を同族に嘲笑われた、古きエルフの名家エラリスのエルフ……。歴史の記録から抹消され、黒い円の刻印をまとった何者かに殺害されたエルフ……。


それは他でもない、彼自身だった。ケイル・エラリス。


「ケイル……」


彼はその名前を確かめるように、小さくつぶやいた。


その名はもはや他人事とは思えなかった。だが、前世の記憶が戻ったからといって、大いなる悟りや古代の強大な呪文が手に入ったわけではない。ケイル・エラリスは伝説の魔導師でも、無敵の戦士でもなかった。彼の家系において、彼は歴史の掃き溜めに捨てられた落ちこぼれとみなされていたのだ。そして今、彼の魂は、零落した分家であるウォルター家の、五歳のエルフの少年の身体に閉じ込められていた。


エリアンはベッドから立ち上がり、壁掛けの鏡に近づいて自分の姿を見つめた。


滑らかなガラスの向こうから、白銀の髪と薄灰色の凍てついた瞳を持つ子供が彼を見返していた。しかし、その瞳には子供らしい恐怖や戸惑いの色は一切なかった。そこには冷徹で現実的な計算だけがあった。


彼は無から救い出された。だが、彼の新しい身体は脆く不完全な器にすぎない。数ヶ月前、言葉なしで最も単純な共鳴のマトリクスを紡ごうとした際、彼は狭い経絡を焼き焦がしかけ、鼻血を噴き出すことになった。また、五歳児の筋肉では、まともな鋼の剣の重さすらまだ耐えることができない。


「焦るわけにはいかない」木製の鏡枠に指をかけながら、エリアンは思考した。「私は弱い。記憶は断片的にしか戻らず、経絡は蜘蛛の巣のように細い。あのとき峠で私を追ってきたのは誰なのか、そしてなぜ彼らが歴史からケイルの名を消し去ったのかを知りたいなら、この身体をゼロから鍛え直さなければならない。ゆっくりと、計画的に。無駄な一歩を踏むことなく」


---


翌朝、屋敷はひんやりとした湿った霧に包まれて迎えた。


馬小屋の裏の踏み固められた広場には、濡れた木と湿った土の匂いが漂っていた。アーウェン・ウォルターは両手を背中に組み、広場の端に立っていた。ウールのカフタンの上に簡素な革のベストを着た彼のダークグレーの瞳は、厳しく、要求を帯びた眼差しで息子の動きの一挙手一投足を見つめていた。


その目の前にエリアンが立っていた。彼の両手には、堅いトネリコから削り出された重い訓練用の木剣が握られていた。木片の重さは半キログラムにも満たないが、まだ発達しきっていない子供の腕には、本物の鉄の棒のように重く感じられた。


「もっと足を広げろ、エリアン」アーウェンの硬く響く声が飛んだ。「静止したバランスの取り方は完璧だ、それは見てきた。だが、実戦でじっとしている者などいない。移動する際、重心をブレさせてはならん。一歩、そして固定。突き、そして引き戻す」


エリアンは一歩踏み出し、トネリコの剣でまっすぐな突きを繰り出した。


木の剣が湿った空気を切り裂いた。肩の筋肉が瞬時に鈍い痛みを訴え始め、指の関節がこわばる。子供の肉体はすぐにスタミナを切らした。しかし、エリアンは声を一切漏らさなかった。彼はただ呼吸を整えた――鼻から深く吸い込み、父親が教えた通り、下腹部へと息を吐き出す。


アーウェンが歩み寄り、息子の動きを注意深く観察した。


「また腰を早く回しすぎているぞ」間違いに気づき、父親は厳しく言った。「なぜだ?」


「その方が軌道が長くなるからです……」荒い息を整えながら、エリアンは答えた。


「それは、お前が真っ二つに斬り伏せられる死角を生むだけだ!」アーウェンは片膝をつき、胼胝のできたざらついた手で息子の肘の位置を直した。「複雑にするな。今の お前の課題は、最も単純な打撃を完全に体に染み込ませることだ」


アーウェンは立ち上がり、腰から自身の鋼の剣を取り出した。彼は刀身を抜くことなく、鞘のまま空中で素早く三度振ってみせた。動きはシンプルで、どこまでも直感的だったが、長年の従軍生活で極限まで研ぎ澄마されていた。


「私を見ろ、エリアン」アーウェンは息子を見据え、厳めしく言った。「余計な幻想を抱かないよう、真実を話しておこう。私は偉大な剣士ではない。自然は私に魔法の才能を与えなかった。私には深い原初はなく、都の魔導剣士たちのように鋼を燃え上がらせたり、マナの衝動で突撃を加速させたりすることはできん」


アーウェンは言葉を切り、息子を鋭く見つめた。


「私にあるのは、この剣と、この胼胝と、乾いた持久力、そして痛みに耐える力だけだ。私は普通のエルフの兵士ができる限界までこの身体をしぼり出した。お前にしっかり地に足をつけ、正しく呼吸し、打撃を受け止める方法を教えよう。厳格な基礎を与えてやる。だが、私はお前の天井だ。真のマスターになりたいなら、自分で別の師を探し、鋼と魔法を融合させる道を歩まねばならない」


エリアンは父親を見上げた。五歳の少年の胸の内で、深く、偽りのない尊敬の念が湧き上がっていた。


アーウェン・ウォルターは自分を大きく見せようとはしなかった。彼は自分自身と息子に対して誠実だった。自分の限界を認め、子どもに最も確実な土台を与えようとしていた。


(父の言う通りだ)トネリコの柄を強く握り締めながら、エリアンは思った。(真のマスターはマナを用いて腱を強化し、反応速度を高める。アーウェンにはそれがなく、彼のスタイルは純粋な生存術だ。今の五歳の身体にとって、この土台は十分すぎるほどだ。そしてその先は……その先で、この天井を突き破る方法を見つければいい)


「わかりました、父上」エリアンは落ち着いた声で答え、木剣を次の構えへと移行させた。「あと二十回お願いします」


アーウェンはダークグレーの目を細め、その瞳に一瞬だけ驚きの色が走った。普通の五歳児なら、半時間の訓練の後に疲労で泣き出すところだが、エリアンは不自然なほど大人びた自制心を見せていた。


「二十回だ」アーウェンはうなずいた。「呼吸を乱すなよ」


---


午後になり、腕や背中の筋肉が鉛のように重い疲労で熱を帯びる頃、エリアンは二階へと上がり、母親の小さな書斎へと向かった。


メリッサはオークの机に向かって座っていた。彼女の白銀の髪が肩に流れ落ち、黄昏色の瞳は柔らかくも不安を帯びた慈愛で輝いていた。彼女は、五歳の息子が一言も発することなく純粋な光の球を作り出したあの庭での出来事を、今でも畏怖と潜在的な恐怖を伴って思い返していた。


「座りなさい、エリアン」彼女は優しく言い、傍らの小さなスツールを指し示した。


少年は黙って腰を下ろした。


メリッサは彼の目の前の机に、きれいな水が満たされた小さく深い小鉢を置いた。


「あのときあなたがやったこと……あなたの魔力への共鳴は驚異的よ。調整の言葉を使わずに幾何学的マトリクスを作り上げた。魔導師にとってそれは信じられないレベルだわ。だが、あなたも代償を見たはずよ。あなたのマナの経絡はまだあまりにも未熟で狭い。もし再びあのような放出を試みれば、自分の原初を焼き尽くし、廃人になってしまうわ」


「覚えています、母上」エリアンは落ち着いた調子で答えた。


「だから、最も安全な方法から始めましょう」メリッサは水を張った小鉢に指を浸し、その表面に穏やかで均一な波紋を広げた。「硬質な構築物は一切なし。光もなし。あなたの仕事は、ただ意識を原初に向け、一滴一滴の極小の雫のように、マナを経絡を通して指先まで流すこと。力ずくで従わせるのではなく、流れるままに任せるのよ」


エリアンは目を閉じた。


胸の中心で、原初が静かに脈打っていた――小さく、だが純粋な光。彼は意志の力で、最も細いエネルギーの糸を引っ掛けた。


前回のように複雑な共鳴のマトリクスを構築する代わりに、エリアンは最小限の、かすかな流れで右腕の経絡へとマナを送り込んだ。前腕にすぐに馴染みのある、乾いた痛みが走った――発達しきっていない彼の回路は、あらゆる負荷にまだ反発していたのだ。だがエリアンは歯を食いしばり、その流れを維持した。


小鉢の中の水がわずかに揺れ、やがてそこからごく微かな、冷たい光が放たれた。


「とてもよく出来ているわ……」メリッサはささやくように言い、その声には安堵の色がにじんだ。「完璧なコントロールね。一番大切なのは、引き際を知ることよ」


エリアンはまぶたを開き、原初とのつながりを一気に断ち切った。光が消えた。


彼は母親の言っていることを理解していた。彼の経絡は今や、細いガラス管のようなものだ。そこに高い圧力をかければ、簡単に破裂してしまう。将来、健康を害することなくエラリス家の真の紋様を詠唱できるようにするためには、日々の絶え間ない夜の瞑想が必要だった。そうやって一歩ずつ、経絡の網を少しずつ広げていくことでしか、より本格的な魔法に耐えられる身体を作ることはできないのだ。


---


深夜、家中の誰もが眠りに就いた頃、エリアンは音もなく図書室に忍び込んだ。


オイルランプを手に取り、彼は最も奥にある、埃をかぶった書棚へと歩み寄った。空気にはおなじみの、押し固められた蝋と羊皮紙、そして古びた木材の匂いが漂っていた。


エリアンは一番上の棚から重い一冊の書物を取り出した――『大いなる諸家および貴族分家の記録』。


彼は冷たい寄木細工の床に直接座り、傍らにランプを置いて古文書を開いた。ウォルター家が千五百年前にエラリスの大いなる家から分かれた分家であることはすでに知っていた。だが、彼が探さなければならないのは別のことだった。三百年前何が起きたのかに関する、あらゆる記述だった。


五歳のエルフの指が、黄ばんだページを繰っていく。


クロニクルには、古代の時代、戦争、偉大な統治者や魔導師の名が詳しく記されていた。だが、記述が三百年前の時代に近づくにつれ、記録は次第にそっけないものになっていった。エラリスの本家に関する項目は、まるで何者かが意図的に削り取ったかのようだった。


そしてクロニクルの最後のページで、エリアンはついに探し求めていたものを見つけた。


羊皮紙の下部に、黒ずんだインクで書かれた、乾いたかすかな追記があった。


「創世暦3226年、北部峠における出来事に関する記録は一般公開から除外され、最高評議会の決定により封印された。本家の人物に関する言及はすべて失われたものとみなす」


そしてその文のすぐ下、ページの隅のほうに、革の表紙に焼き付けられた小さなシンボルが黒々と浮かび上がっていた。


完全で均整のとれた円。その内部には、底知れぬ黒い虚無以外、何ひとつ存在していなかった。


黒い円。


その瞬間、エリアンの後頭部で熱せられた起爆装置が作動したかのような衝撃が走った。


目の前に、一瞬にして白い吹雪が広がった。唸るような冷たい風、雪上の血、凍てついた指に握られた折れた剣、そしてフードの奥からの冷たく無関心な声――「お前は、自分に属さない答えを探求した」。


エリアンは荒々しく本を閉じ、手のひらを胸に押し当てて、鼻で均等に呼吸をするよう自分に言い聞かせた。


心臓が肋骨を激しく打ち付けていたが、その黄昏色の瞳にパニックの色はなかった。


パズルは完全に組み上がった。悪夢に現れたシンボルは偶然ではなかった。「黒い円」の刻印を身に纏う者たちが、三百年前、ケイル・エラリスの名を歴史から拭い去り、すべての記録を封印したのだ。


エリアンはゆっくりと立ち上がり、重い古文書を慎重にもとの場所に戻した。


(私は弱い)オイルランプを消しながら、彼は思った。(今の私は、零落した領地の、ただの五歳の少年だ。力もなければ、軍勢もない。私の経絡は、一番簡単な呪文でさえ破裂しかける。もし早々に頭角を現せば、ケイルが消されたように、あまりにも容易く抹殺されるだろう)


彼は図書室を出て、暗い廊下を通り自分の寝室へと歩き出した。


(父から学ぼう。彼の基礎訓練からすべてのものをもぎ取る。夜ごとに経絡を鍛え、待ち続けるのだ。だが、一日一日、一年一年と、私は力を蓄えていく。そして時が来たなら……「黒い円」を身に纏う者の一人残らず、探し出してやる)

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