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エラリア:300年の虚無を経て、ゼロから歩む人生  作者: interwal228


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第1章:新しい命

# 第1章:新しい命


# Ⅰ


死は、安らぎも虚無ももたらさなかった。それはただ、粘り気のある形のない眠気へと形を変え、彼を徐々に外の世界――光と温もり、そして音の満ちる場所へと押し出していた。


存在の最初の数ヶ月、世界はエリアンにとって、散らばる感覚の混沌でしかなかった。あまりにも眩しい日の光が、鋭い針のように目を刺す。他人の声は、まるで水底から響くように遠かった。だが、何よりも耐えがたかったのは、肉体的な無力感だった。


肉体は他人のもののようだった。言うことを全く聞かない、小さく脆い肉の塊。


幼い頭蓋骨の中で眠る意識は、未発達な脳に圧迫されていたが、その深層では最初の日から、静かで毒を含んだ苛立ちが燃え盛っていた。エリアンは思考を一つの筋道にまとめることも、自分が誰でどこから来たのかを思い出すこともできなかったが、この無力感だけは本能のレベルで彼を激怒させた。指を握りしめようとすれば小さな手足を無様に動かすことしかできず、言葉を発したい欲求は、こもったかすかな唸り声となって漏れるだけだった。


彼の世話をする者は三人いた。この質素な家で暮らす彼らは、全員がエルフだった――高い頬骨、長く美しい耳、そして気品に満ちた優雅な立ち居振る舞いを持つ者たちゆえに。


その揺り籠に最も頻繁に歩み寄るのは、メリッサだった。


エリアンの母親は、繊細で気高い美貌を持つ純血のエルフだった。出産の名残か、その青白い顔はわずかに疲れの色を滲ませていたが、その顔立ちには紛れもない気品と血統の良さが宿っていた。エリアン譲りの豊かな白銀の髪が、絹糸の波となって肩へと零れ落ちている。黄昏の空のような瞳は、無条件の深い慈愛を宿して赤ん坊を見つめていた。薄手の白い麻のドレスの下には、しなやかで引き締まった肢体と柔らかな女性らしい曲線、そして夜間に息子を胸に抱くときに押し当てられる豊かな胸元がうかがえた。彼女からはいつも、乾燥したタイムとラベンダーの香りが漂っていた。姿を見せるのはもう少し稀だったが、父親であるアーウェンは、より厳しく険しい容貌をしていた。


肩幅の広い長身のエルフで、無駄のない引き締まったアスリートのような体躯をしていた。妻とは対照的に、彼の髪は鋼の輝きを帯びた漆黒で、後ろへと綺麗に撫でつけられ、厳格なダークグレーの瞳は世界を容赦なく、幻想を排した目で捉えていた。その挙動には、使い慣れた剣の柄を握ることに慣れ親しんだ、叩き上げの戦士あるいは落ちぶれた貴族の修練が宿っていた。


三人目は、使用人のミレルだった。


尖った顎の引き締まった顔立ちをした中年のエルフで、長い耳には小さな銀の耳飾りが揺れていた。灰銀色の髪をきっちりと硬い三つ編みに結い、鋭いダークグリーンの瞳で現実的な観察眼をもって世界を見つめていた。


「また寝ていないんだよ、メリッサ」

ある夜、木製の揺り籠の傍らに立ちながら、アーウェンが低い声で言った。部屋には燃え尽きかけの蝋燭と、秋の庭の湿った匂いが立ち込めていた。「それに泣きもしない。ただ天井を見つめているだけだ」


メリッサは麻の寝具を直し、息子の肩を包み込んだ。

「子どもなんてそんなものよ、アーウェン。あなたなら分かるでしょう?」


「そうだな……」男は赤ん坊の顔を覗き込むように、さらに身をかがめた。「だが、あいつの目は子どものそれじゃない。好奇心も恐怖もない。まるで、何かをじっと待ち構えているようだ」


「領地の書類仕事で疲れきっているのよ」

メリッサは夫の肩にそっと手を置き、静かに溜息をついた。「まだ生後半年にもなっていないのよ。放っておいてあげて」


アーウェンは黙った。しかしその夜から、息子の傍らに立つ彼の仕草には、わずかに、だが確かに、底知れぬ警戒の色が宿るようになった。


---


# Ⅱ


時は緩やかに流れていったが、幼い脳の発育に伴い、エリアンの頭の中に立ちこめていた霧は少しずつ晴れていった。


一歳の終わりを迎える頃には、彼の意識は明確で観察眼の鋭い理知的なものへと完全に形作られていた。思考のプロセスは完全かつ論理的なものとなっていた。


まさにその時期、一歳から二歳の間にかけて、少年は自分がどこにいて、誰に囲まれているのかを完全に理解した。


聴覚が名前を拾い集め、記憶が断片を一つの絵画へと組み上げていく。


彼の名は**エリアン**。

家名は**ウォルター**。


父が書斎で地元の男爵への上申書に署名しているとき、それを耳にしたのだ。*エリアン・ウォルター*。父の苗字は、かつては栄華を誇るか、あるいは零落していようとも、名家としての格式を保つものであった。


険しい眼差しと黒髪を持つ男の名は**アーウェン・ウォルター**――この家の当主であり、寂れゆく領地の主人だった。白銀の髪と優しい黄昏の瞳を持つ女性は**メリッサ**。そして、毎日絞り立てのミルクを運び、洗濯をこなす灰銀の三つ編みの険しい使用人は**ミレル**だった。


自身の置かれた境遇を理解しても、エリアンに喜びは湧かなかった。自分が零落した貴族の家系に生まれたエルフであることを彼は悟ったが、何よりも重大なのは、自分の内側にある大きな不協和音だった。彼の思考は年齢にそぐわなかった。メリッサが買い与えてくれた木製の玩具で遊ぶことなどできず、子ども向けの童話にも魅力を感じなかった。


一歳半になると、彼はしっかりと自分の足で歩き始めた。普通の子どもたちとは違い、エリアンは何もないところで転んだりはせず、初めの一歩を踏み出すときにも笑わなかった。乾いた、計算された慎重さをもって立ち上がり、バランスを確認すると、ただ行きたい場所へと歩いていった。


扉の傍らでそれを見守っていたミレルは、やれやれと首を振るだけだった。

「まったく……涙もなければ、擦り向いた膝もないなんてね」

使用人は銀の三つ編みを直しながらぶつぶつと言った。「小さな旦那様は、まるで人生のずっと前から床の上を歩き慣れていたかのように動くねえ」


エリアンはその明るい瞳で彼女を一瞥すると、何も答えずに窓辺へと歩み寄った。


彼は言葉を短く、要領よく話すことを学んだ。両親は彼の最初の「ママ」という言葉に喜んだが、エリアンには子供らしい歓喜のかけらもなく、ただ最低限必要なコミュニケーションの手段として発したにすぎなかった。大半の時間、彼は沈黙を守り、家や家族、そして窓の外の世界についての情報を貪欲に吸収し続けていた。


---


# Ⅲ


三歳になる頃には、エリアンは自分の肉体を完全に自分のものとして使いこなせるようになっていた。小柄で華奢なエルフの少年であり、青白い肌、整った顔立ち、そして額に垂れる異常なほど豊かな白銀の髪を持っていた。


ある夏の日のこと、ミレルが彼の寝室の掃除を終え、出ていく直前に銅の縁取りがされた小さな卓上鏡を木の机の上に置いた。

「自分の顔を見てごらん、エリアン様」

少年を呼び止め、使用人は微笑んだ。「地図を眺めていたときに、絵の具を顔に付けちまっていないかメリッサ様が確かめてくれってさ」


エリアンは無言のまま机へと歩み寄った。重い椅子を引き寄せてよじ登り、磨き上げられたガラスの表面を覗き込んだ。


鏡の奥から、一人の子どもが彼を見返していた。


青白い肌。細く美しいエルフの耳。白銀の髪。そして瞳――子供らしからぬ、細められた、凍てついた煙や深い井戸の水面を思わせる薄灰色の虹彩。


エリアンはゆっくりと手を持ち上げ、自分の頬に指で触れた。反射した像も同じ動きをした。


*(これは……本当に、俺なのか?)*

その思考は、幼い子供の細い声ではなく、冷たく重く、深い残響となって脳裏を駆け抜けた。


その瞬間、後頭部に鋭く麻痺するような激痛が走った。


窓の外の夏の日の音――鳥のさえずり、庭を揺らす風の音――が、一瞬でかき消された。それに代わって響いたのは、猛り狂う吹雪の耳を裂くような howling(咆哮)だった。柔らかい日の光の代わりに、目を眩ませる白い帳が視界を覆い尽くした。


エリアンは凍りつき、白く変色するほど強く銅の鏡枠に指を食い込ませた。


彼の内なる視野の中で、猛烈なスピードで一つの光景が駆け巡る。


雪に覆われた細い峠の小道。深く重い雪面。濡れたマントを容赦なく引き裂く冷たい風。交差して火花を散らす剣戟。そして、吹雪の向こうから歩み寄る黒い影――手袋を嵌めた手と、記憶に深く刻み込まれた手の上の呪わしい印……**「黒い円」**。


そして――胸を抉るような、野生の、凍てつく冷気。完全で絶望的な無力感と、奥歯が砕け散るほどの猛烈な憎悪。


*(結局、本当のことは分からないままか……)*


「エリアン様!」


閃光は、始まったときと同じように唐突に消え去った。


エリアンは荒々しく息を呑んだ。震える手から鏡が危うく滑り落ちそうになる。心臓が猛烈な勢いで胸を打っていた。


すぐ傍らでは、青ざめたミレルが彼の両肩を掴んで立っていた。

「どうしたんだい? 画用紙のように真っ青だよ! 目が眩んだかい?」


エリアンは苦労して鏡から使用人へと視線を移した。鏡の中の景色は元通りに戻っていた。雪も、吹雪も、黒い印もない。ただの、白い麻のシャツを着た三歳の少年の姿があるだけだった。


「雪……」

とかすかに呟いたが、自分の声があまりにも細く、他人のもののように感じられた。


「雪だって? おやおや、坊や」

ミレルはほっと息をつき、机から鏡を遠ざけた。「外は七月だよ、猛暑じゃないか。また悪夢でも見たのかい? 最近、寝言でやけにうなされていたようだったけどね」


「おそらく……夢、ですね」

エリアンは小さく答え、自分の小さな手のひらに目を落とした。


だが、彼は知っていた。これがただの悪夢などではないことを。


その日から、朧げなビジョンは繰り返し襲うようになった。お伽話のような夢ではなく、三、四日おきに、彼は冷や汗を流しながら肺に冷たい空気を詰まらせた状態で目を覚ました。彼の脳裏には、果てしない吹雪、見捨てられた小屋、折れた剣の音、そして敗北の重苦しい感覚が蘇った。


名前は分からない。過去の自分の顔も思い出せない。その頭の中にはまだ「ケイル」という言葉はなかった。あるのは感情の断片だけだった――寒気、屈辱、答えへの飢え、そして記憶に焼き付けられたシンボル――「黒い円」のみが。


三歳のエリアン・ウォルターにとって、それらの閃光は、自らの後を執拗に付け狙う異国の恐ろしい影のように感じられた。


---


# Ⅳ


エリアンが四歳になったとき、彼の世界は完全に子ども部屋の外へと広がっていった。


彼は自分が生まれた家を詳細に調べ始めた。ウォルター家の屋敷は、本に書かれているような壮麗なエルフの宮殿とは似ても似つかなかった。それはオーク材の梁があり、黒ずんだ外壁と灰色のスレート屋根を持つ二階建ての石造りの家だった。


あらゆる場所に、緩やかな衰退の影が差していた。ホールの絵画のキャンバスにはひび割れが走り、タペストリーは色褪せ、交差した剣と様式化された樹木が描かれた家門の紋章はすり切れて忘れ去られているようだった。


ウォルター家は零落した分家にすぎなかった。そこには華やかな従者も近衛兵もおらず、家事のすべてはミレル、老いた料理人、そして一対の馬丁たちによって支えられているにすぎなかった。


アーウェン・ウォルターは毎朝のように近隣の町や、領地が所有するわずかな土地へと出かけ、インクや封蝋、湿った皮革の匂いをまとわせて夜遅くに帰宅した。メリッサは家計を切り盛りし、鍛金で作られた小箱の中でしばしば銅貨や銀貨の数を数えていた。


エリアンはそれを静かな注意力をもって観察した。彼はすぐに自分たちの家族の構造を理解した。ウォルター家には名門の名跡があるものの、その富と影響力は遠い昔に失われていた。彼らはひっそりと、つつましく暮らしていたのだ。


だが、古い絵画よりも何よりも、少年の興味を惹きつけたのは「施錠された扉」だった。


一階には父親の書斎があり、そのすぐ隣には分厚い鉄板で補強され、巨大な錠前が掛けられた重厚なオークの扉があった。そこからは、武器用オイル、金属、そして古い蝋の乾いた匂いが漂ってきていた。


ある日の夕方、アーウェンが書斎で祖父の遺したボウガンを手入れしているとき、エリアンはその入り口の敷居で立ち止まった。


「あの扉の向こうには何があるんですか?」

少年は鉄板の扉を指差しながら尋ねた。


アーウェンは油まみれのウエスを置き、息子を見やった。書斎の薄明かりの中で、彼のダークグレーの瞳はほとんど黒く見えた。

「古い資料室と武器庫だ」と、父親は平坦な声で答えた。


「どうして鍵がかかっているんですか?」

「そこには、四歳の子どもが触れてはならないものが保管されているからだ。剣は子どもの手には馴染まない、エリアン。そして古い記録も、まだ未熟な頭脳には早すぎる」


「見てみたいです」


アーウェンは眉をひそめた。他のどの子どもであれば、この願いはただの我儘に聞こただろうが、エリアンは両手を下ろし、完全に真っ直ぐな姿勢で立ち、父親の目をまっすぐ見つめていた。恐怖もなく。子どもらしいしつこさもなく。ただ冷たく、重圧を伴う要求として。


「もっとましな遊びを探すんだな」

アーウェンは冷たく言い放ち、再び手入れの道具に手を伸ばした。「お前が成長し、法を学び、この世界がどう成り立っているかを理解したときには、俺が自らその扉を開けてやろう。だが、それまでは――自分の立場をわきまえろ」


エリアンは反論しなかった。ただ軽く会釈をすると、黙って書斎から出て行った。


議論しても無駄だった。しかし、父親の拒絶は少年の内にある飢えを一層激しく燃え上がらせた。彼には知識が必要だった。この肉体に閉じ込められた知性は、乾ききった木が水を求めるように、世界の情報を求めていた。


そして、その答えは邸宅のもう一つの翼で見つかることになった。


---


# Ⅴ


ウォルター家の図書室は、かつての時代の息吹が辛うじて残されている唯一の場所だった。暗いクルミの木で作られた高い書棚には、何百もの古文書、巻物、そして地理地図が詰め込まれていた。そこには埃と乾いた紙、そしてなめし革の匂いが満ちていた。


ここは、誰も立ち入りを禁じられていない場所だった。


息子がそこで一日中過ごすようになったとき、メリッサは大いに喜んだ。彼女自身が文字を教えたのだが、少年が驚異的なスピードで複雑な言葉を吸収していくことに心底驚かされたものだった。通常の子どもたちが三つの単語を繋げるのすらやっとという年齢で、エリアンはすでに歴史的記録や地理書をスラスラと読みこなしていたのだ。


彼が興味を示したのは、子どものお伽話などではなかった。大陸の地図、隣接する男爵領の血統書、気候帯の解説、身分制度の構造。それらを貪り読んだ。都市、河川、山脈の名前を吸収し、自分がいつの時代のどの国に迷い込んだのかを突き止めようとしていた。


だが、ある秋の日、エリアンが四歳半を迎えたころ、彼の注意を惹きつけたのは一番奥の書棚の最下段、重厚なオークの机にほとんど隠された一冊の本だった。


その一角、長年放置された収穫高の分厚い報告書の背表紙の裏に、薄い本が横たわっていた。


時間によって黒ずみ、ひび割れた黒革の表紙は、薄い灰色の埃に覆われていた。湿気で銅の角は緑色に変色し、背表紙には色褪せた型押しの文字でたった三つの単語が記されていた。


*『魔術の基礎』*


エリアンは動きを止めた。


考えるよりも早く、彼の手がその本へと伸びていた。小さく、青白い子どもの指先が、ざらついた革の装丁に触れる。


その瞬間、彼の人生でかつて一度も感じたことのない現象が起きた。


周囲の空気が、まるで密度を増したかのように重くなった。胸の奥深く、肋骨のすぐ裏側で、小さく、だが信じられないほど鮮明な熱のパルスが弾けた。


それは記憶ではない。雪の夢でもない。


それは現実の、肉体的な感覚だった。彼の身体の内部で、かつて灯火を消し、氷の中に閉じ込められていたはずの小さな火花がうごめいた。見えないエネルギーの糸が、表紙に刻まれた型押しの文字に応えたのだ。


少年の腕の血管が一瞬浮き上がり、その瞳に冷たい銀色の光が閃いた。


エリアンは重く息を呑み、両手でしっかりと本を抱え込んだ。心臓が激しく鳴ったが、今度は悪夢への恐怖からではなかった。


彼は表紙の埃を払い、書棚の傍らの床板の上に直接腰を下ろすと、最初のページを開いた。


黄ばんだ羊皮紙の上に、黒いインクで最初の行が記されていた。


*『マナは創造されることも破壊されることもない。それはすべての生けるものの内を流れ、ただ意志と理性の構造にのみ従う……』*


エリアンはそのテキストに目を釘付けにした。


この古びた本が、失われた力へと戻る長い旅路の、そして「黒い円」の謎と、三世紀の厚い層の底に葬られた名前へと至るための、最初の第一歩になるのだと――彼はまだ知らなかった。


雨が降り続いていた。図書室は静まり返っている。そして白銀の髪の少年は、はじめての魔術書を読みふけっていた。

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