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家事代行先は闇堕ち寸前魔法少女の家でした~貧乏一人暮らしの俺は生活力を買われて内緒の焦れ甘同棲生活を始めることになる~  作者: 水瓶シロン
第四章~新学期開始編~

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第42話 知り合いの目を誤魔化すためのアイテムとしてはアリ?

――――――――――――――――――――

【月ヶ瀬妃菜】

魔力量上限値:30

白魔力量  :6

黒魔力量  :7


☆☆☆☆☆☆・・・・・・・・・

・・・・・・・・■■■■■■■

※白魔力:☆ 黒魔力:■ 枯渇:・

――――――――――――――――――――



「……どう?」

「何と言うか、妃菜と初めて会ったときを思い出す魔力だな」


 悪の組織の幹部襲撃から二日目の朝。

 息抜きにどこかへ遊びに行こうという話の流れから、望は外出を決める前に妃菜の魔力を計測しておくことにした。


 重ねていた額をそっと離した望は、すごろくでふりだしに戻されたような心地になる。


「コレ、出歩いて大丈夫な状態か?」


 見た感じあからさまに体調が悪そうということはない。


 魔力が枯渇しているうえに黒魔力の割合が多く、日夜戦い続けて積もる疲労と不摂生が負の相乗効果を生んでふらっふら――そんな初めの頃の姿とは違う。


 魔力は少なくなっていても、しっかり休んでしっかり食べているため身体の健康は保たれているということなのだろう。


「大丈夫、大丈夫」

「妃菜の大丈夫はホント信用ならんからなぁ」


 最近こそ空元気を見せなくなったものの、基本的に妃菜はすぐに無理と無茶をする。


 望が訝しんで半目を向けると、妃菜がどこか得意げな表情で右手の人差し指をピンと立ててみせた。


「少なくとも、指一本で望くんを倒せるくらいには大丈夫だよ」

「生身で?」

「な、生身は無理だよ。変身して」


 望はフッとニヒルに微笑み、腕を組んだ。


「俺はお約束を守らない悪いお友達だからな。妃菜が変身中でも遠慮なく倒しに掛かるぞ? この距離なら俺が手を伸ばす方が早いからな」


 証明するように右手を伸ばし、妃菜に左頬を優しく摘まんで引っ張る。


(え、なにこれ超柔らかい)


 よくマシュマロや餅に例えられる頬の感触だが、妃菜の頬はまさにそれを体現していた。


「おぉ……」

「の、望くん……?」

「おっと、すまん」


 ついいつまでもムニムニしていたくなる触り心地だったが、そんなことをしていたら妃菜の頬が伸び切ってしまう。


「ほっぺ触りたいの?」

「違う。俺のムニムニ攻撃に耐えられないようでは外出が出来ないと考えて試しただけだ」


 そういうことにしておいた。

 悪いお友達は嘘も吐くのだ。


「まぁ、ノーダメージみたいだったし、遊びに行くくらいはいっか。気晴らしにもなるだろうしな」

「ノーダメージというより、むしろ望くんの手は温かくて心地いいからちょっと回復したかも」

「そりゃよかった。でも、帰って来たら妃菜は春休みの課題終わらせるんだぞ? もうすぐ休み終わるのに全然進んでないだろ」

「うっ、今のは特大ダメージだよ……黒魔力が一増えました……」


 それは自業自得だ、と望は肩を竦める。


 確かに春休み期間中、街に出没するシャドウとの戦いで忙しかったとはいえ、課題に手をつけられないほど駆り出されていたワケではない。


 単純に妃菜が課題を先延ばしにしていただけ。


(ま、帰ったら俺も手伝ってやるか……)


 もちろん代わりに課題に手を出すなんてことはしない。そこは甘やかしません。


 しかし、せめて傍できちんとやっているか監視――もとい見守って、わからない問題の解法を説明するくらいのことはしてもいいだろう。


 望はそう考えながら、外出の支度を始めた――――



◇◆◇



「あ、見て見て、望くん」

「ん~?」


 これといった目的地もなかったので、取り敢えず街に繰り出して大型ショッピングモールまでやって来た。


 基本的に望はインドア派なうえ、買い物をするとしても目的の物へ直行して購入したらすぐ帰るというスタンスなので、ウィンドウショッピングなんてものとは無縁。


 なので、もう何度か来たことのあるこのショッピングモールでも、妃菜が次々興味を示す先に目を向けてみれば、こんな店もあったんだなと新鮮な気持ちになれて思った以上に楽しかった。


「どう、似合ってる?」

「意外に似合うのが驚きだな」


 妃菜が目元にカチャッと掛けたサングラスは、形がスクエアでフレームもメタリックとカッコいいデザイン。


 美人というより美少女といった可愛らしい雰囲気の妃菜にはミスマッチかとも思ったが、どうやら美形な人間はなんでも似合ってしまうそうで。


「まぁ、今日の服ワンピースだからそこはアンバランスだけどな」


 寄って顔に焦点を当てれば文句の付け所はないが、全体図を見れば少しおかしなことになっている。


「うぅん、スラックスとシャツにすればいい感じかな」


 妃菜がサングラスを掛けた自分の姿を鏡に映してそう言ったあと、外したそれを優しく両手に持って望の顔に掛け直した。


「ちょ、おい」

「ふふっ、望くんも似合ってるよ」

「えぇ……」


 そうかなぁ、と望も鏡で自分の顔を見てみると、おかしすぎるということもなければ凄く似合っててカッコいいということもなく、一番反応に困るベターな感じに思えた。


(自分のことはよくわからん……)


 基本的に望は全体を俯瞰したり客観的にモノを見たりすることが得意。だから、他人のことはよく見えるし、今回のように妃菜の似合う似合わないも判断出来る。


 ただ、それが自分のことに置き換わると変わってくる。


 ファッションで言えば、ある程度こういうコーディネートをしておけば一般的で変じゃないだろうという程度のことはわかるが、そこから更にオシャレと言える領域にしろと言われても、自分に何が似合って何が似合わないのかは判断出来ない。


「まぁ、何にせよこのアイテムの装備枠は、俺のレベルが足りなくてまだ解禁されてなさそうだな」

「そ、装備枠?」

「あー、えっと」


 ついRPG風に言ってしまったが、妃菜が何かゲームに手をつけているところは見たことがないし、やはりこの手のネタは通じないらしい。


 首を傾げてこちらを見つめてきていた。


「俺にはハードルが高いってことだ」

「え~、そんなことないよ」


 望が少し自嘲的に笑って肩を竦めると、妃菜は恥じらうように色付いた顔の前で両手をピトッと合わせて、淡紅色の瞳を上目に向けた。


「カッコいい……よ?」

「~~っ!?」


 真正面から褒められてカァと顔が熱くなり、望は少し慌てた様子でサングラスを外して商品の並びに丁寧に戻した。


「お、お世辞でもどーも」

「違うもん、お世辞じゃないもん」

「ほらほら、行くぞ」

「もぉう……」


 眼鏡屋をあとにする望の背中を小走りで追い掛ける妃菜だった――――

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