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おーい、ユノさん?
目の前でフリーズしちゃってるユノさーんっ。
ねぇ、この大きく開いた口にもう突っ込んじゃっていいよね。
だって揚げ物って冷めたら美味しくないし。
「唐揚げはいりまぁーす」
えいっと。
「うぐっ⁉︎な、何するー…、ごくっ。おいし、い」
あ…動いた。
あんまりにも動かないから石化したかと。
でも今おいしいって言ったよね。
ふふふっ、王子様が町中で買い食いなんか普通はしないよね。
街の人の食べてる物を口にするなんて初めてだろ。
「この唐揚げは亭主のこだわりのタレでさらに美味しくなってるの。たまにはこういうのもいいでしょう?」
私はへらっと笑って見せた。
「あ、ああ。悪くない。」
そのまま私たちは街を歩く。
ユノはポツリと口を開いた。
「俺は、普段町に来るとしても王家御用足しのところにしか行かない。町の人がどのような物を食してるのかさえ知らなかった。だから、今俺すっごく…楽しい」
うわぁぁ、夕日にユノの髪が照らされてキラキラしてるよ。
そこに笑顔ぶち込んできたから周りの人の頬も赤らんでるよ、私もかっこいいとつい思っちゃったもん。
「そ、そうだよね。たまには馬車から降りてこうやって歩いてみるのもいいもんでしょ」
後ろについて来ていた護衛が声をかける。
そろそろ時間ですってところかな。
ユノが下唇を噛んで眉をしかめている。
まだまだ遊びたりなかったんだろーね、帰ろうの1言が言えないのが伝わる。
かっわいいなぁ。
その後私の家まで馬車で送ってくれた。
馬車の中でユノはあまり話さなかった。
ただ何か言いたそうにもじもじしてた。
ガチャ。
扉が開きユノが先に降りて手を貸してくれる。
「今日はありがとうユノ」
「…」
え、まさかの無視ですか。
おい。
今日でより仲良くなった気がしてたの私だけかな。
「っ。今日はすまなかった」
「へ?」
いやほんと、へ?ですけど。
なんなら勝手に行動して振り回した私が謝るべきよね。
王子様が簡単に頭下げないで、周りの目も痛いし。
「俺は今日リリーが喜ぶかと思って色々連れまわして結局、疲れさしただけだったよな…くっ」
いや、くっ…じゃねーし!
今日のプラン私が喜ぶように考えてくれてたってわけ?
あーーーもぉっ。
誰かに相談でもして無難に女が喜ぶデートコースでも聞いたんだろうね。
そもそもそれが間違いだからね!
私たちはデートじゃなくて友達同士で遊ぶのに的外れたことするからだよっ。
てかそんなことを馬車の中でうじうじ考えてたわけ?
「マカロン」
「?」
「次はちゃんとマカロンのカフェに連れてってよね」
ユノの瞳が輝く。
「あ、あぁ!もちろんっ」
私はべっと舌を出してクルッと向きを変え歩く。
邸に入るとすごいいい笑顔で私を待ち構えていた人がいた。
久々に見たよ、この黒い笑顔。
「た、ただいま帰りましたお兄様?」
「僕に何か言うこと、あるよね」
ないです。
ごめんなさい、本当に何もないです!
あれ?いつのまにか私何かやらかしてたのかな。
ねぇ、使用人のみんなも私から目を逸らさないでっ。
誰か1人くらい味方してよっ、ねぇってばっ。




