40.
私はミルとキャシーに遅れると伝え王子との待ち合わせ場所へと急いでいた。
なんで馬車で待ち合わせなんだろ。
周りの目線を気にしてとかかな?
正直助かる。
王子とこれ以上変な噂流れるのは嫌だったんだよね。
コンコンッ。
「リリアナです」
扉が開いて中へと促される。
王子の向かいに座る。
…どうしよう、いざ謝るってなると緊張してきた。
なんていおう。
王子も黙ってるし、よし。
もうどーとでもなれっ。
「すみませんでしたっ」「すまなかった」
ゴチッ。
ったぁ。
「うひゃ?え?あの、王子?」
「っ、ったぁ」
私と王子は同時に頭を下げたみたいで勢いよく頭でこんにちはしていたようだ。
いたい。
痛すぎるよこれ。
「王子の石頭。…おでこ割れるかと思いましたよ」
「なっ、俺はいたって普通だ。リリーが硬いんだろ」
2人で睨み合った。
すると王子から声が漏れる。
「くっ、くくくっ。」
私もつられて笑みがこぼれる。
「ふっ、うふふふふっ」
しばらく笑った後王子が口を開いた。
「その、すまなかった。昨日あいつのこと名前で呼んでて…その。俺も同じ友達なのに!お、俺のことはいつまで経っても王子呼びだし。それでついカッとなって」
…?
つまり友達だと思っていたのは俺だけかよー的な?
ほほぅ。
王子よ、友達がとられて寂しかったのだね。
そうならそうと言えばよかったのに。
「…ユノン様」
私がそう口にした瞬間、王子が勢いよくこちらを見る。
おうおう。
わかりやすいな、名前呼ぶだけでここまで喜んでくれるとは。
なんかかわいいかも。
「ユノ」
私はにひっと歯を見せて笑った。
王子の目がまたも見開き口をぱくぱくさせている。
ちょいやりすぎたね。
顔真っ赤にして、これめちゃくちゃ怒っちゃったパターンかも。
「あーごめん、調子に乗りました。ユノン様でいいー」
「ユノっ!ユノと呼ぶことを特別に許してやる」
「は、はぁ」
勢いに押されてつい返事しちゃった。
まぁ、ミルもニノもキャシーも名前呼び出し、ここまできたらもう1人名前呼びになろうが変わらなか。
仲直りの印って感じで、よしとしよう。
「り、リリー。その。この後街で人気のマカロンが美味しいカフェがあって…よけばこのままどうだ?」
「え?今から掃除残ってるし無理よ。って、もうこんな時間⁉︎私行きますねっ」
ガチャッ。
「じゃあねっ」
「あぁ」
何そのどよんとした空気、仲直りしたとこなのに。
もしかして、ユノってばそんなにマカロンのお店行きたかったのかな。
確かにヨルロク様と2人だと男同士で入りずらいもんね。
しょーがない。
「ユノ、週末の予定は?」
「へ?」
「だから、週末ならカフェ付き合えるわよ。私もマカロン好きだしさ」
「っ!じゃあ、週末迎えに行くっ」
「ほーいっ」
私は軽く返事をしてぴょんっと馬車を降りた。
なんか王子も…ユノも私と同じ12歳の子供なのね。
仲良い友達がとられて寂しがったり、マカロン食べたくて拗ねちゃったり?
ふふっ、なんかそういうところ知れて良かったかも。
人間味溢れるっていうかね。
嫌いじゃないな、ユノのそういうところ。




