34.ある日の王宮(ヨルロク視点)
俺はヨルロク・レサード。
小さい頃から殿下の側近になるべくして育ってきた。
暗殺一家ということもあり、暗殺も勉強も力を入れてきた。
俺はたぶん人より器用なのだろう。
だかそんな俺でもどうしようもできないこともある。
妹のキャシス…キャシーのことだ。
どっちかって言うと俺の方が魔族みたいな見た目なのに、妹は内気なせいか周りに色々言われる。
こんなに可愛いのに。
キャシーはどんどん笑わなくなっていった。
だがある日を境にキャシーは明るくなった。
なんでもクロノス公爵家のリリアナ嬢のおかげみたいだ。
どんな女性なんだろう、すごく気になる。
リリアナ嬢の誕生日でその姿を見た時は驚いた。
かわいい。
瞳が少しつり目がちだが、そこにはきつい印象ではなく知性を感じられる。
俺は身内びいきなしに、キャシーが世界一可愛いと思っていたがリリアナ嬢も類稀なる美貌の持ち主だった。
殿下はリリアナ嬢のことが好きみたいだ。
誕生日の時少し会話をしただけで睨まれたし、その後リリアナ嬢を連れ去ったあたり間違い無いだろう。
今日は王宮にリリアナ嬢を呼んで剣の稽古後お茶をしている。
2人を見る限り、気持ちに大きく差が見られる。
まず残念だが、リリアナ嬢は殿下のことを好きではない。
それは殿下があれほど毎日大切に使っているハンカチを、くれた本人に見せた時の会話じゃないのから読み取れる。
たぶんあのハンカチをあげたのは自分なんて微塵も思っていない。
殿下が気の毒だ。
そして気になることもある。
リリアナ嬢の俺と殿下を見る眼差しだ。
いつもすごくいい笑顔でみてくる。
あの天使のような微笑みの下で何を考えてるのか。
俺は相手の表情から感情を読み取るのは得意な方だと思っていたが全く見当がつかない。
あまり柄じゃないが少し手助けをしよう。
少しわざとらしいが咳をして話し出した。
どんな物ならリリアナ嬢は身につけるのかと言う質問だ。
あくまでも戦闘…戦うことが第一条件てどんな御令嬢だよ。
これは前途多難だな。
リリアナ嬢の騎士になるという思いは本気だ。
殿下と付き合うとなったら間違いなく王妃になる。
そうなったら彼女の夢は難しいだろうな。
まぁ、この事は今すぐに考えなくてもいいだろう。
殿下が超ド級の鈍感リリアナ嬢を手に入れるために、自分の瞳と同じアクセサリーをあげて周りを牽制するという手段に出るほど好きなら俺は協力するつもりだ。
だから殿下、諦めずに頑張りましょうね。




