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王妃?え、時代は騎士でしょ!  作者: 吉那 薫
32/43

32.新事業

「リリー、マチスのやつが遂に例のものを完成させたと報告を受けている。朝食後、一緒に見に行こうか」

「ほ、本当ですか!楽しみですっ」

うほ〜、遂に完成しましたかっ。

楽しみすぎる。

ちなみな今は日課の朝練タイムです。

父との朝練はなかなかハードだ。

私に甘いはずの父が剣を持つと…

「違う。そうではない。ムチを巻き付けるのは相手の剣先だ。そしてそのまま相手の剣だけを奪うつもりでこい」


父よ、そう簡単にムチは使いこなせないっす。

むずい。

普通にむずい。

しかも地味に腕の力が必要だからもう腕がパンパンよ。

「っわ、きゃあっ」

ドタンッ。

巻き付けたと思ったらそのまんま引っ張られ体勢を崩して倒れ込んでしまった…いてぇ。

「っ、リリー。すまない。つい熱くなってしまった。大丈夫か?怪我はないか?」

「へ、平気です!」

「よし、朝食にしよう」

そう言って私を軽々と持ち上げた。

「わわっ」


でたよ、またお姫様抱っこだよ。

なんかデジャブ。

そうだ最近お兄様からもお姫様抱っこしてもらったんだったわ。

なんかあれなのかな、お姫様抱っこやったらイチコロですよーとか誰かに吹き込まれた?

だれ、私の弱点広めたやつ。

もっと広めてよっ、もう。




朝食を食べ終えた後、みんなで庭師のマチスの元を訪れた。

「これは皆様お揃いで」

「よい、楽にしろ。それで、例のものは?」

「はい、こちらでございます。木材は赤樫を用いております。赤樫はブナ科の常緑高木であり、秋にはどんぐりが実木でございます。特徴と致しましては赤みを帯び、堅く、細工物など用途が広いものでございまして今回、使用しました。お嬢様のご要望通りあまり重くなりすぎないように致しました」


うぉぉぉ、かっけぇ。

この感じすっごい手にしっくりくる、なおかつ懐かしいよぉ。

あーごめん、説明もちゃんと聞いてたよ。

でもなんか、赤樫ってワード聞いた瞬間とりあえず色々試行錯誤してくれたことは伝わった。

ほんとありがとう。

「マチス!色々無理言ったのに材質までこだわってもらいありがとうございます。とても持ちやすく、重すぎず、素敵に仕上がっています!」

「これが、リリーの言ってた木刀か。うん、これなら剣の練習の際も怪我の心配はないね」

「うむ、これなら我が団でも利用できる出来栄えだな。感謝するぞ、マチス」


うーん、せっかく産み出した木刀。

もっと世に広めたいな。

「あっ…マチスさん!この木刀、あえてもっといろんな材質の物を用意するのはどうでしょう。そうすれば貴族だけでなく平民の方にも手が入りやすい武器となるのでは」

「…なるほど。面白いことを考えますね。確かに今までの剣といった物は鉄でできていることもあり高価でした。ですがこれなら平民でも手に入れやすく、かつそこら辺の棒切れを振り回すのと違って強度もあります。そして子供の手の届くことにあっても大丈夫という安全性。旦那様、いかがされますか?」


考えてる。

考えてる男の人の姿ってなんかグッとくる。

父だからかな、真剣な顔かっこよすぎ。

「確かに一理あるな。では、木刀生産専用の工場を用意しよう。マチス、お前にそこを任せてもよいか?庭師の方は新しい者を雇えばいい」

「っはい。是非お任せ下さい。お嬢様、新しい物を作るにあたり、また何か意見など頂いてもよろしいですか?」

「ええ。私なんかでよろしければ」




木刀の売れ行きはすごかった。

特に学園での剣の授業でも用いられることとなり、国が認めたこともあり1人一本持っていて当たり前の物となるほどだった。

その後クロノス公爵家の新事業は大ヒットと共に、同じ国民同士での血を流すことに心を痛めた美しい御令嬢としてリリアナの名が世間に広まった。

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